
ソフトバンクのオンライン専用ブランド「LINEMO(ラインモ)」が、データ容量3ギガバイト(GB)の低容量の新料金プランを始めた。
月額料金は990円。LINEのトークや音声・ビデオ通話使用時のデータ量がカウントされないのは従来プラン(20GB)と同じだ。
20GBもいらない人のために
新料金プランの名前は「ミニプラン」。
料金の990円は、大手通信事業者から回線を借りる格安スマホ(MVNO=仮想移動体通信事業者)に近い。
格安スマホ最大手のIIJmioは、2GBが858円、4GBが1078円で、今回のLINEMOのミニプランとほぼ同額だ。
大手通信事業者が提供するプランとしては異例の安さと言える。
元々、LINEMOの料金プランは、NTTドコモのahamo(アハモ)やKDDIのpovo(ポヴォ)と同様、20GBの一本だけだった。
料金は2728円で20GBのプランとしては安いが、データ利用量の少ないユーザーにとっては割高になっていた。
また、ソフトバンクはサブブランドのワイモバイルで3GBプランを提供しているが、料金は2178円で、前述した格安スマホより高い。
店舗サービスなどのコストが乗っているためだ。
ワイモバイルは好調に契約者を獲得しているが、オンライン契約だけで安く済ませたい低容量の利用者のニーズは満たせていなかった。
総務省のデータによると、月間のデータ利用量が2GB未満の消費者は全体の約半数にのぼる。
母数が大きいだけにニーズも多様だ。
契約をオンラインで済ませる利用者が格安スマホに流れているなか、
LINEMOにミニプランを投入して歯止めをかけたいというのがソフトバンクの狙いだ。

LINEモバイルからの移行を促す
もう一つの目的は、LINEMOの前身であるLINEモバイルからの移行を促進することだ。
LINEモバイルはドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社から回線を借りる格安スマホ事業者としてサービスを展開していたが、
18年にソフトバンクと資本提携を結び、ソフトバンク傘下に入った。
21年4月には、ソフトバンクが残りの株式を買い取って完全子会社化し、新ブランドとしてLINEMOを発足。
LINEモバイルの新規申し込みも停止した。
一方で、LINEモバイルはサービス自体を停止したわけではなく、現在も利用者は残っている。
格安スマホのLINEモバイルは低容量プランが中心で、LINEMOの20GBプランとはミスマッチが起きていた。
LINEMOにミニプランを新設すれば、LINEモバイルの利用者が他社に流出する前にLINEMOへの移行を促すことができる。
格安スマホと比べると、データ通信速度も速いため、料金が近ければ移行するメリットは大きい。
オンライン契約専用プランの岐路
LINEMOのミニプランに人気が出れば、ドコモやKDDIも、オンライン契約専用の料金プランを拡充せざるをえなくなりそうだ。
ただ、LINEMOという別ブランドを立ち上げたソフトバンクとは異なり、
ドコモやKDDIは、オンライン専用の20GBプランをメインブランド内の料金プランと位置づけている。
総務相が、メインブランドでの値下げに固執したためだ。
オンライン契約専用の低容量プランを作ると、ドコモやauの中で近いデータ容量の選択肢が乱立してしまうことになり、
料金体系が複雑になりかねない。シンプルさと料金の安さを両立させる工夫が必要になりそうだ。
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