全国公開中

 

 

《本記事のポイント》

  • ダークヒーローの存在理由「懲罰」
  • たとえ捕まらなくても死後、確実に裁かれる"ネット犯罪"
  • この世の地位も肩書も「心の善悪」とは関係ない

 

 

アメリカの片田舎で養蜂家(ビーキーパー/Beekeeper)として隠遁生活を送る謎めいた男アダム・クレイ(ジェイソン・ステイサム)。ある日、彼の恩人である善良な老婦人がネット詐欺に遭って全財産をだまし取られ、絶望のあまり自ら命を絶ってしまう。

 

怒りに燃えるクレイは、社会の害悪を排除するべく立ちあがる。世界最強の秘密組織「ビーキーパー」に所属していた過去を持つ彼は、独自の情報網を駆使して詐欺グループのアジトを突き止め、単身乗り込んだ末にビルごと爆破。

 

その後も怒とうの勢いで事件の黒幕に迫り、事態は米連邦捜査局(FBI)や中央情報局(CIA)、傭兵部隊や元同業者まで入り乱れる激しい闘争へと発展していく。

 

 

ダークヒーローの存在理由「懲罰」

この映画の痛快なところは、法律も人権も完璧に無視して、荒唐無稽ともいえる超人的なパワーで極悪人を徹底的に懲らしめ、死に至らしめる、ビーキーパー・クレイのダークヒーローぶりである。

 

ほぼ素手に近い状態で乗り込み、屈強なボディーガードやFBIの武装チームを次々となぎ倒し、ついには大統領警護隊の防御ラインまでも軽々と突破してしまう無敵ぶりをジェイソン・ステイサムが黙々と演じている。

 

ここで思い出されるのは、幸福の科学・大川隆法総裁の『小説 地獄和尚』に登場する無敵のダークヒーロー、地獄和尚だ。

 

地獄和尚も、強盗や悪徳官僚を火あぶりにして一瞬で炭の塊に変え、法律も人権も乗り越えて、悪事を働く者たちに次々と鉄槌を下していた。

 

こうしたダークヒーローの存在理由について、同小説の中では、地獄和尚から、自身について次のように語られていた。

 

この世では、地獄を信じる人々も少なくなったので、地獄和尚として姿を現わして、『悪を許さない』という御仏の意志を代弁している。

 

この世でワシに炭にされた人間は、それ以上の悪事は止められ、その魂は、閻魔庁に引き渡される。そして執行官としての赤鬼・青鬼・黒鬼たちに反省行をやらせておる。

 

この世の生命を生きながらえることのみを『善』と考える傾向があるが、大きな間違いである。仏法は、この世の法律をすり抜けた犯罪人をも裁き、『心と行ない』における悪事をも裁くものじゃ。

 

ダークヒーローとは、法の網をすり抜けて悪事を働く者を懲らしめ、地獄送りにする存在だ。「決して悪を許さない」という神仏の意志の代弁者でもあるのだ。

 

 

ネット犯罪はたとえ捕まらなくても死後、確実に地獄に堕ちる

本作品でビーキーパーが徹底的に追い詰めるのは、ネット詐欺を繰り返して、高齢者を食い物にしている悪人たちである。

 

劇中に登場する「テレマーケティング詐欺」は、コンピューターを通じて偽物のアンチウイルスをダウンロードさせ、あらゆる個人情報を奪い、銀行口座から預金を引き出して甚大な被害を与えるものだという。

 

FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)が発表した「Internet Crime Report 2023」によると、2023年の米国でのネット詐欺やサイバー犯罪への苦情件数は年間88万418件に上り、被害総額は125億ドル以上に達しているという。

 

ネット空間で巧妙な手口を使って行われるため証拠が挙がりにくく、足がつきにくいのが特徴だとも言われる。

 

しかし、大川隆法総裁によると、地獄にも「ネット地獄」ができ始めており、たとえこの世で捕まらなくても、確実に裁かれるのだと言う。

 

『電脳地獄』というか、『電脳空間の地獄』まで今できてきて、これまた専門家が出てきています。

 

意外に人材の供給は出ていまして、今そういう仕事をしている人が多いので、そのなかで真っ当な人、まともな人をお呼びして、閻魔の法廷での基本的な法則を教えて、そして、『あなたの専門知識から見て、これは正しいと思うか、思わないか』というようなのを審議させています」(『地獄の法』より)

 

また、実際に存在する様々な地獄の様相が描かれた大川隆法総裁の著書『地獄に堕ちないための言葉』の中には「ある時、お年寄りを騙して、詐欺をしていた集団が、養殖池で、多数の毒フグに襲われるところを見た」とある。たとえ逃げおおせたとしても、この世とあの世を貫く"因果の理法"をくらますことはできないのである。

 

 

この世の地位も肩書も「心の善悪」とは関係ない

最後にビーキーパー・クレイは、ネット詐欺の元締めが、大統領子弟の関係企業であることを突き止め、単身、大統領親子の保養先に乗り込んでいく。

 

たとえ、相手が大統領そのものであったとしても、社会的な地位や身分を一切考慮することなく、その人物が善人なのか悪人なのかで懲罰を決めるその姿勢は、実に単純明快だ。

 

前出の『地獄に堕ちないための言葉』には「偉い立場で、多くの人々を苦しめた人ほど、罪は重くなる。嘘つきは八十センチメートルの鉄のやっとこで舌を引き抜かれる。美女ばかり追いかけていた者は、目玉をくり抜かれる。間違った政治をした者は、腰斬の刑に処せられる者もいる」とある。

 

社会的な地位や身分は、「心の善悪」とは関係がない。その人物の心が汚れているのか、清らかなのかだけを見て、邪な悪人に厳罰を加えて懲らしめるダークヒーローの存在は、いつの時代にも、人々が求めて止まないものである。

 

社会が裁きを必要とする時、どこからともなく現れて厳罰を下していくダークヒーロー・ビーキーパーを描いたこの映画は、世の不正に対しては鉄槌を下すこともいとわない神の正義の峻厳さを描いているとも言えるのではないだろうか。

 

 

『ビーキーパー』

【公開日】
全国公開中
【スタッフ】
監督:デビッド・エアー
【キャスト】
出演:ジェイソン・ステイサムほか
【配給等】
配給:クロックワークス
【その他】
2024年製作 | 105分 | アメリカ・イギリス合作

公式サイト https://klockworx-v.com/bkp/

 

 

【関連書籍】

 

小説 地獄和尚

『小説 地獄和尚』

幸福の科学出版にて購入

Amazonにて購入

 

 

地獄に堕ちないための言葉

『地獄に堕ちないための言葉』

幸福の科学出版にて購入

Amazonにて購入

 

いずれも 大川隆法著 幸福の科学出版

 

 

【高間智生氏寄稿】映画レビュー

過去記事一覧はこちら