やっぱり「緑のたぬき」? 小池百合子という政治家の本質―編集長コラム
2017.10.02
編集長コラム 衆院選直前・特別版
安倍首相の"計略"を上回る小池旋風
安倍晋三首相は「今が一番勝てるチャンスだ」とばかりに突然の衆院解散・総選挙に踏み切ったが、その"計略"を上回るスピードで、小池百合子都知事率いる「希望の党」の旋風が吹き荒れている。
民進党が解党し、希望の党へ合流することで、この政局の主導権を小池氏が完全に握った。
安倍首相の"計略"はよく練られたもので、今までの年金や医療中心のバラマキ政策を教育にも広げ、教育無償化などによる「合法的買収」をしようしている。1千兆円以上の政府の借金がありながら、選挙に合わせてさらにバラマキをすることに、マスコミから厳しい批判はない。
これぞポピュリズム(大衆迎合)の極致というべき策だったが、小池氏の大衆人気はそれを遥かに上回っている。
小池氏は世論が許せば、今回の衆院選に出馬するだろう。しなかった場合でも、今後、日本初の女性首相の有力候補であり続ける。
小池氏が政治家として何を目指し、何を実現しようとしているのかを、国民としては知っておかないといけない。
「勝負師」としての小池氏
小池氏のイメージはやはり、「勝負師」であり、「ケンカ上手」ということにある。
1992年7月の参院選に細川護熙・元熊本県知事(後に首相)率いる日本新党から出馬し当選。93年に衆院選に鞍替え出馬し、自民党政権を倒して細川政権をつくる道筋をつくった。
小池氏の約25年の政界遍歴は自民党との「ケンカ」から始まったというわけだ。
その後、細川政権に参加した政党を中心にできた新進党、そこから分かれた自由党に参加。その間、党首の小沢一郎氏を支えたが決別し、保守党を経て自民党に移った。
「勝負師」の印象が定着したのは、2005年の小泉純一郎首相による「郵政解散」で、「刺客」として手を挙げて郵政民営化反対の議員に圧勝したためだ。
そして、2016年の都知事選出馬、今回の新党立ち上げと、「勝負」と「ケンカ」が続いている。
(1)「利権まみれのオヤジ」に挑む「正義のヒロイン」
小池氏の手法は、必ず敵をつくり出し、真っ向から批判し、自分は「正義のヒロイン」の立場に立つ、というものだ。
日本新党時代は「守旧派vs.改革派」、郵政選挙は「民営化反対派vs.賛成派」の図式で、昨年の都知事選では、都議会の自民党を"悪の巣窟"に仕立てて大勝した。
その「敵」は必ず「利権としがらみにまみれたオヤジ」たちで、それに健気に挑むヒロインという、分かりやすい対立軸にマスコミは飛びついた。
テレビ局側とすれば、小池氏は、カメラクルーさえ出せば、極めて安い製作費でそこそこの視聴率が取れるありがたい存在。小池氏も自分の強みを理解しており、いわゆる「ワイドショー政治」とともに政界で生き残ってきた。
今回、希望の党を立ち上げた「正義のヒロイン」は、誰を「敵」とするだろうか。まだそれほどボルテージを上げていないが、安倍首相がやはりターゲットだろう。
バラマキのポピュリズムと、不満増幅のポピュリズム
イギリスの通信社ロイターは、「日本で新たな政党がポピュリスト・スローガンを掲げて安倍首相に挑戦する」と書いている。有権者の歓心を買ったり、既得権益への有権者の不満を増幅したりして、票を集める政治家がポピュリスト。その政治家の言動は、ポピュリズム(大衆迎合)と呼ばれる。
安倍首相や自民党の政治は、選挙のたびに税金をバラまくポピュリズム。小池氏のほうは、有権者の不満をかき立てて人気を得るポピュリズムで、アプローチはやや違うが、同種のものだ。
(2)政党を"乗っ取る"スタイルに転換
小池氏は、日本新党、新進党、自由党、保守党、自民党と所属政党を変えてきたので、「政界渡り鳥」と揶揄されることがある。
現実には、所属政党というより、細川氏、小沢氏、小泉氏、そして安倍首相と、権力者の"庇護"を受けながら、勝負勘を働かせ、生き残ってきたと言っていい。
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