ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

昭和残侠伝「唐獅子牡丹」を観る

2013年01月09日 21時41分07秒 | ひまつぶし
年末のNHK BS放送で高倉健主演映画の連続放映があるとのことなので録画をして置いた。
正月の行事を終えて一段落してからゆっくり鑑賞しようと思ったわけである。
高倉健オールナイトは大晦日の午後6時から元旦の午前7時半まで、ドキュメント番組が1本と映画が6本もの連続放映なのであった。

若い頃に任侠映画を深夜興行で5本までは連続してみた事があった。池袋にあった文芸地下の劇場には週末になると良く出かけたものである。五本連続で映画を観て、すごく疲れてしまったことを思い出した。
6本連続で映画を流すとはNHKも思い切った事をするものである。しかも地上波では自局で紅白の放送をしているのです。「名画座」顔負けの大判振る舞いなのである。ちなみに放映された映画を時刻順に挙げると次のようになる。
( )内は公開年
1 幸せの黄色いハンカチ(1977年)
2 駅(1981年)
3 居酒屋兆治(1983年)
4 野性の証明(1978年)
5 昭和残侠伝・唐獅子牡丹(1966年)
6 遥なる山の呼び声(1980年)
これらの映画で4と5の作品だけが他の四作品と毛並みが違っている。4と5の二つの作品は極めて暴力性が強い作品なのである。
そして、放映順が映画の公開年の順序にはなっていない事に気が付いた。放映順序を公開年の順序にすると昭和残侠伝が一番になってしまう。その時刻は未だ「お子様タイム」なので、さすがにそれはまずいと言うことになったのであろうか。4と5の作品の放映時間帯を深夜から早朝にしたのにはそんな訳でもあったのでしょうかね。NHKらしい配慮を感じてしまう。

さて、文芸地下でその時代(1960年代)に見たものの中に「昭和残侠伝」のシリーズがある。
観客のほとんどは二十歳前後の若者で占められていました。
映画が始まる直前に舞台に上り「健さんに替わり厚く御礼申し上げます」などと言う口上を述べて、仁義を切ったりする者もいましたね。
また、上映が始まると高倉健演ずる花田秀次郎が敵に襲われて危ない場面などでは「健さん、後ろが危ない」などとスクリーンの高倉健に声を掛ける者までいるかと思えば、主人公達が敵地に向かう決意をした時などには観客席から「異議ナシ!」の掛け声まで上がる始末でしたね。
映画を観る人物がスクリーン上の人物と連帯感を持ってしまうような不思議な空間がその場所にはありました。
映画の上映が終わり、映画館を出る若者たちの歩き方や顔つきが違って見えたのを思い出します。
映画を観た若者たちは仮象の対象に入り込んでゆく心地よさみたいなものを感じたのでしょうか。
幼児がアニメの主人公に自分を重ね合わせて遊んでいる風景は我が家では今では日常茶飯事です。
今思えば当時の映画館でのそんな若者の振る舞いは納得がゆきます。

さて、この映画の話に戻りましょう。
この映画は、高倉健が大スターとなってゆくきっかけとなった「昭和残侠伝」シリーズの2作目の作品です。
いつごろこの映画を観たのかははっきりと記憶にはありませんが、1968年ごろだったとすれば44年ぐらい前に観たことになります。
このたび観た第一印象は暗い映画だったいうのを改めて感じました。映画の内容としては皆さんご存知のように、最後には悪漢をやっつけに行くという前向きなストーリーなのでそこには暗さはあまり無いという評価をしたいのですが、全体的に映像の明度が低いという印象を受けました。
「義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界」のお話なので、わざと暗い色調の映像にしているのかとは思います。

この映画の圧巻は高倉健と池部良が敵対陣地に乗り込む直前にあります。
次の映像を見てください。
      
男二人が連れ立って敵地に乗り込むシーンです。男同士が一つの傘で敵地に赴く「道行」の場面なのです。
こんなところにもこの「昭和残侠伝」シリーズの「様式美」を見ることが出来ます。
そして敵地での斬り合いで池部良は斃れてしまいます。
 
花田秀次郎はその戦友を優しくみ見送ります。
すべての敵を倒した主人公が一人で町を去って行くとき、三田佳子演ずるヒロインが 物陰からそっと見送る場面でこの映画は終わります。
ここがまた、泣かせ所なんです。



三田佳子さんが綺麗でしたね。

内容とは関係ありませんが東映の映画のオープニングの映像を今回改めて観ると、懐かしさをおぼえます。
   

波頭を背景にした「東映」の画像は本当に懐かしいのです。旧くは中学生の頃に観た片岡千恵蔵の「多羅尾伴内」のシリーズものの映画を思い出します。

「昭和残侠伝・唐獅子牡丹」にまつわる極私的回顧でした。
テレビ放映したものをデジカメで撮影した画像ですので、不鮮明ですがご容赦願います。


にほんブログ村 バイクブログ バイク カスタムへにほんブログ村

 





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« デジカメを改造して遊ぶ(ロ... | トップ | デジカメを改造して遊ぶ(ロ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ひまつぶし」カテゴリの最新記事