ドイツの国旗について

ドイツ国旗をすぐ思い浮かべることが出来る人は、ドイツ文学者や欧州に行ったことがある人を除けば、少ないと思います。
あまりな馴染みのない国旗です。
かってのヒトラーの支配下でのドイツ第三帝国の国旗は良く知られている逆さ卍のマークです。これは「ハーケンクロイツ」と呼ばれています。
この旗は、様々な戦争映画やドラマなどでお馴染みですね。
今ではヨーロッパはいうに及ばず、世界各国で歴史などの学問領域を除けば、公的な場所でのこの「ハーケンクロイツ」旗を法律で禁止している国があります。



それでは今のドイツ連邦共和国の国旗はどんなものなのかを見てみましょう。
これです。


上から黒、赤、そして画像では黄色に見えるのは本当は「金色」である。
この色の由来については専門家（紋章学、旗章学）の中でも様々な意見があるようなので、ここではその色が現す意味を問わない事にします。

ドイツは東西冷戦時代には西ドイツと東ドイツに国が分断されていたことは、皆様ご存知の事でしょう。
それでは当時の両ドイツの国旗は、どんな旗だったのでしょうか？

分断された当時は両ドイツ共、自国が正統政府だとの考えで同じ旗を使用していました。
その後、分断が長く続き、固定化されるにしたがって東陣営では元の旗に改変が加えられました。
次のものです。



この旗は1956年から1990年まで使われていた東ドイツの国旗です。
その後、ベルリンの壁崩壊後に今のドイツ連邦共和国になり、西側陣営で使われていた国旗が再び統一ドイツの旗になりました。

ここで、ちょっと面白い旗を見つけました。
次のものです。



東西冷戦時代にオリンピックに「統一ドイツ」チームが造られたことがあり、その時のチーム旗です。
旗の中央に近代オリンピックのシンボルマークが配置されています。これは1956年のコルチナ・ダンペッツオ（イタリア）から1964年東京オリンピックまで使用された「統一ドイツ」チーム旗です。

余談ですが、この五輪のシンボルマークは国際オリンピック委員会の許諾を得ない商業利用は禁じられております。
個人が自分の着衣にこのマークを手書きで描くことは禁止されてはいませんが、それを他の人に販売することは出来ないのです。

さて、ドイツは元々はプロイセン王国（プロイセン王国は、18世紀から20世紀初頭にかけて栄えた王国である）の領地の一部でしたが、その時には「国」という概念そのものが今ほど強くなく、「王家」の領地として「国」が捉えられていました。
そのため、国旗そのものが無かったのです。王家の紋章が領地の象徴とされていました。

ひとまず、ドイツの国旗についてのお話はこれで終わる事にします。