かってメイプルソープと言う写真家がいた。1946年生まれの米国人である。彼は42歳と言う若さでなくなっている。エイズが見つかってから3年後のことであった。
メイプルソープの撮る写真の多くは公開されるたびに物議を呼んでいた。
『Lady リサ・ライオン』と題された写真集をメイプルソープは米国で1982年に出版した。メイプルソープが30代半ばの作品である。
表題の画像はその日本語版(1984年)の表紙だ。そもそもリサ・ライオンとは何なのか。リサ・ライオンは米国の女性ボディビルダーで初代の世界チャンピオンだった。
メイプルソープが彼女の肉体を被写体として2年間に渡り撮ったものを写真集にまとめたのが『Lady リサ・ライオン』だったのだ。
リサ・ライオンはボディビルダーなので自己の肉体を究極まで鍛え上げる。肉体を作り替えることを自己に課したのだ。このことは自然体ではない自己を創るという意味では一つの「フィクション」を意味する。
ところで、一般には写真とは現実世界の或るひとこまを切り取る作業だと思われている。だから多くの素人写真家は風景や人物や花などのそのときの表情を追いかけて記録に残そうとしている。
だが、メイプルソープは違っていた。
この写真集を見る限りではメイプルソープにとって写真はリサ・ライオンと言う創られた肉体の「フィクション」を映しだすものだったと言える。
それ故、フィクションとしての肉体を写し取ったメイプルソープの作品もまたフィクションだったのか。
写真集に納められている画像も掲載したかったのだが、それには著作権があると思い、ここでは紹介をすることを控える。興味を持たれた方はぜひこの写真集を手に取ってみていただきたい。
文章が行き当たりばったりな感じで整わずスムーズに読みにくいです。