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道路-RAMA 4(パラムシー)---タイの親切

2010-09-19 | 地球の姿と思い出
バンコクにRAMA 4(ラマ4:地元の呼び名はパラムシー)という通りがある。中心地の国鉄のファランポーン(バンコク中央駅)から南東約8kmのプラカノンを結ぶ通りである。このパラムシーは、片道2車線往復4車線、所々に中央分離帯がある忙しい道である。

2000年以来、私が拠点とするサービスアパートメントは、パラムシーに面した24階コンクリート建てのガッチリとした建物である。近くにバンコク大学があるので、時どき北欧系の女子短期留学生で賑やかになる。別棟には日系企業、アパートには日本人も住み、24時間のセキュリティーはシッカリしている。むろん、駐車場やプールは完備している。ただし、ここでは日本人旅行者や観客は見かけない。

           サービスアパートメントのスタッフ (2010年9月10日撮影)
           

      近くのスーパーには果物が豊富。ドリアン69バーツ/Kg、マンゴ-99バーツ/Kgなど。
      1バーツ=2.8円 (2010年9月5日撮影)
      
      例:上右端のマンゴー1パック:2個で約1,200g、約120バーツ
        1個約600g 約170円で蜜が染み出し非常に甘い。

アパートから500mほど先には、ロータス(英系)とカルフール(仏系)という大きなスーパーマーケットがパラムシーを挟んで向いあっている。アパートの隣は、屋台の果物屋、食堂、ファミリーマートやドラグストアーなどの通りで、その横にエッソ石油と3チャンネルTV局の高層ビルが聳えている。

皆が知合いで、変なことをすると、近所に顔向けができなくなるという下町らしい地域である。治安は良いが、今年4月のデモでは、TV局は焼討ちに遭い現在修復中である。一部の人々を除き、全体的には豊かな自然の恵みと温厚な人々、金銭や損得に汲々としない点もありがたい。

過去10年の経験だが、ボールペン1本を含む6件の忘れ物をしたが、すべて手元に返っている。これは、私だけでなく一般的な話である。嫌な思いは一度もない。ただし、中心街は、各国と同様、油断は禁物である。特に、欲張る人は被害者になり易い。先ずは、自分自身にご注意を。

アパートメント前のパラムシーを徒歩で横断するのは危険である。以前に2回、渡ろうとしたとき若い女性に「危ない」と制止され、車の途切れを見計らってその女性に先導された。仏教国で老人を大事にする国柄である。たぶん、自分のお爺ちゃんを思い出したのだろう。

ある時、カルフールで夕食を終えた帰り道、突然のスコールに見舞われた。丁度バスが来たので飛び乗った。次のバス停(約500m先)で降りるので、出口横のつり革に摑まった。その時、目の前の若い女性に席を譲られた。乗り物では、老人に席を譲るのはよく見かけるので素直に好意を受けて腰を下ろした。

次のバス停で、私は下車したが、私の前を先ほどの女性が傘をさして歩いていた。その後姿から、彼女の右足に大きな障害があることを察した。思わず、知らなかった、申し訳ないと思った。私は彼女の前に走り出て、胸の位置で合掌(これは正式な合掌)、コップン カッ(有難う)!とお辞儀をした。

数日後、成田に到着した。たまたまその日はゲートでなく、タラップだった。私たちは、迎えのバスに前後の入口から乗車した。前の入口から乗車した私の直ぐそばに空席があった。丁度その時、別の入口から乗車してきた私と同年配のアメリカ女性と空席を挟んで鉢合わせになった。一瞬、私も彼女も互いに譲り合う形で立ち止まった。とその瞬間に、若い日本人女性にその空席を奪われた。その彼女の涼しい顔に、アメリカ人婦人も私も唖然とした。0.5秒ほどの見事な早業、それは人間業と云うより動物の素早さだった。

日本では、経済の発展と共に人間として大切なものを失い始めている。人間から弱肉強食の動物への逆戻り、高等動物としての思考の放棄、これが日本の実態と認識した。この認識で、また心が少し日本から離れた。
          

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