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ヒューストン再訪(3)---iD Tech Camp:STEM教育

2016-08-10 | 地球の姿と思い出
ヒューストン再訪(2)から続く。

(4)iD Tech Camp(夏期教室)への参加
孫は、6月下旬にヒューストン大学でiD Techの「マインクラフト 3D ゲーム設計」(Minecraft 3D Game Design)に参加した。コースの対象は、10-12歳の男女、期間は1週間だった。朝8時から夕方6時まで、休み時間と昼食もグループで行動するというコースだった。

課題は1週間でマインクラフトの3次元ゲームを作成、最終日に親たちに作品を披露するというコースだった。この課題を達成するために、ゲームの構想設計、基本設計、コマンドの用法、色の制御など、15項目の技術を習得する。もちろん、生徒が思い浮かべるゲームは生徒ごとに異なるので、授業は個別指導だった。

最終日の午後3時から保護者参加の修了証&成績表の授与と作品の発表会という段取りだった。

下の写真は、作品の発表会で撮影した教室のイメージ(ピンボケ写真)である。子供たちは自分が作ったゲームを親たちに説明している。別のコースでは、床をロボットが走っている教室もあった。

            授業の成果発表会---子供の後ろは親たち(イメージ)
            

この教室に参加したのは、ヒューストンの地元の子供たちだった。孫は初日から皆と友達になり、英語力とコンピューター力には全く問題はなかった。今回のiD Techではただ一人の日本人、しかし周囲の人が気付かないほど違和感もなくアメリカの社会に溶け込む孫の姿に筆者と娘は共に安心した・・・ハノイの教育はアメリカの空港、街なか、大学でも、年齢相応(Age-appropriate)に通用した。

ここで忘れていけないことがある。アメリカで英語が通じるのは当たり前、本人が英語の世界で使いものになるかならないかは別問題である。これが、日本語と英語の世界に描く今後の夢と課題である。

教室で親しい友達もできて、孫はすっかりヒューストンが気に入った。「アメリカに来て良かった」と孫と娘、この言葉で筆者の任務は終了、肩の荷が軽くなった。このあと、娘と孫はヒューストン空港から娘の友人たちが待つNYへ、筆者にはダラス経由成田への気楽な旅が待っている。

ここで、iD Techについて、2~3の点を補足する。
1)iD Tech
iD Techは1999年にシリコン・バレーのガレージから始めた自営/従業員所有会社(family-operated, employee-owned company)である。

全米150以上の大学で、子供たちの年齢に応じた様々な夏期教室を開催している。6-18歳を対象に、1週間と2週間の共学コースや合宿コースを運営している。

ヒューストン大学のiD Techは今年で11年目、プログラミング、ゲーム設計、アプリ開発、ウェブ設計、動画、静止画などのコースがある。たとえば、プログラミング・コースではJava, C++, Pythonなどのプログラミングを教える。子供にはかなりきついコース(Tough Course)である。筆者は、iD-Techと聞くと、江戸時代の寺子屋の「読み書きソロバン」教室を連想する。世界各地の観光地で見る日本人の暗算の速さに江戸時代の「ソロバン」教育の名残を感じる。

2)STEM教育(ステム教育)
筆者の記憶では1990年代中ごろ、アメリカでSTEM教育(Science サイエンス、Technology テクノロジー、Engineering エンジニアリング、Math 数学の統合的な教育・・・STEMはこれらの単語の頭文字)の必要性が話題になった。STEM教育でSTEM能力(Skills)を身に付ける。平たく言うと、ハイテク社会では理工系の基礎知識がなければ就職も難しくなるという話だった。新聞の求人広告には「エクセルができる人は優遇します」などとあり、90年代にオフィス・オートメーション(OA)が加速した。

ヒューストン大学のiD Tech CampはSTEM教育の一環である。大学のハイテク設備の利用、コンピューターと関連技術の学習、メンバー同士の協調性、仲間との食事や相互理解などを通して、子供たちに新しい社会規範を習得させる。コンピューター画面の作業だけでなく、時には遊びも入る楽しい教室だった(孫の話)。なお、STEM教育は小さな子供から始めるのが効果的と言われている。

3)iD Techの運営方針
先生一人に生徒8人以下の授業、個別指導、問題解決型教育(Project-based Curriculum)、安全&リスク管理(Safety & Risk Management)が教室運営の基本方針である。教室のスタッフについては、犯罪歴(Criminal Background)、性犯罪歴(Sexual Offender Background)、身元照会(Multiple Reference)、身分証明(Identification)をチェック済みとのこと、いかにもアメリカらしい。
以上

次回は「ヒューストン再訪(4)---LRT(路面電車)」に続く。

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