駅前でみかんを売っているときに観光客らしいカップルのお客さんから話しかけられた。今夜の飯の問題らしい。駅前だから飯屋が無いわけではないが、観光だったら繁華街の方がいいのではないか。そう言ったら「いや、昼に中華街に行ったんですよね」という。ちゃんぽんか何かを食されたのだろう。「それがこんなに廃れた場所だとは思って無くて…。ほら、私達東京でしょ。だから横浜の中華街とか知ってるわけですよ。それよりも駅前だったらもう少しくらいはましかな、と思ったものですから」…。
言ってることは分からないではないが、東京と言ってもどこだか知らないが、かなり微妙な感覚である。いろいろ話してみると、寿司屋はダメ、卓袱は聞いたことない、焼き鳥は…、という感じ。若いからね、まあ、安くて魚介類が旨くてというような居酒屋をご所望らしい。真面目に考えると簡単ではないな。で、ホテルの関係か知らないが、どうしても駅前じゃないと嫌なんだそうだ。
たまたまというか、当然のように市内の人がいたので、バトンタッチ。看板の見えるビルの下あたりでどうでしょう、と言っていた。特に異論はありませんけどね。
それだけの話ではあるんだけど、僕も出張中は人に飯屋を尋ねることは多いんだけど、難しいものですね。いい店であったと、というか、適当だけどそれなりに満足してもらえたらいいなとは思いながら、また残りのみかんを売りましたですよ。観光地で暮らす人たちってあんがい面倒なんだろうね。期待されないまちに生きていることは、本当に気楽で素晴らしい。僕は長崎と外れた長崎人として仕合せを感じた次第であります。