雨が降ったり、日中暑すぎたりするのに無理に歩いているのは気が引ける。誰に気を使う訳ではないが、自意識が強すぎるせいでもないと思うが、そうやって歩数をだけを稼いでいるみたいな気分になって、そこまでするのか? という疑問が自分自身に浮かぶせいではないか。以前なら商店街アーケードを行ったり来たりしても良かったかもしれないが、変に知り合いがいるかもしれないというのは落ち着かない。ショッピング・モールを歩くという手もあるが、これもなんだか飽きるものである。買い物の行き場所にいくつも寄って、ドラッグストアとかスーパーなんかをハシゴして、そうして結構ぶらぶらしたな、と感じても、結局普通の散歩ではないから、たいした歩数には達していない。苦労の割には実を結ばないという感じで、やっぱり外を歩いたほうがいいように思う。合羽とか日傘でも買うかな。
僕はほとんど買い物もしないし、ましてや料理もしない。一人暮らしだったこともあるので、まったく料理ができない訳ではない。夜の食事だと結局飲んでしまうので、片付けが適当になる。衛生上あんまり好ましくないので、出来るだけ捨てられるようなものしか買わなくなってしまったように思う。また連続して料理するようなこともあんまりなかった。要するにたいした腕でもないし、時間をかけるのも面倒だったので、いろいろと断念してしまっていたように思う。
今では料理番組はよくテレビで眺めている。そもそもだが、一人暮らしの時に壇一雄の「壇流クッキング」を読んだのが大きくて、これは大変に参考になった。文章が面白いというのが一番なのだが、その料理の手順やら調味料の配分なんかが適当で、非常に簡単そうに思える。実際にやってみると、やっぱりいろんなところがよく分からないのだが、まあしかしなんとなくそのようなものは出来てしまう。濃い味のものはそんなに感心しなかったけれど、まあ、たいていの料理は口に合った。というより、自分で作るものは誰にも文句が言えないので、それなりに食うことが出来ただけかもしれない。
そういうことなんだが、料理はともかく、買い物をする必要がなくなった現在でも、買い物で何を買うのか考えるのは実は結構楽しいのである。出張中など、買ってもどうしようも無いのに、時折スーパーに寄っていろいろ眺めている。地域で売っているものが微妙に違うし、場所によっては結構なお値段のものを売っていたりして目を見張る。そういうところは主婦の恰好が少しハイソであったりして、一人で納得してしまう。しばらくそういう何も買わない散歩をして、会議に参加する。お互い遠くからやって来ている仲でありながら、僕の方がちょっとだけ地元民に近いような感覚があって、あんまり緊張しない。不思議なものだな、と思うのである。
ということで何も買わない買い物客だけど、見かけても知らんふりお願いいたします。