僕の世代のロック・ファンというのは、ちょっとナイーブに複雑なところがあって、ロックが好きだからといって、それが単純に共通項であるとは限らない。まあ、それは別の世代でも当たり前のことだとは思われるのだが、出来るだけ今の音も聞こうとは心がけてはいるものの、要するに心がけて聞かない限りは、今のロックというものに対して、たいした共感があるわけではない。いや、もちろん心が勝手にキャッチするような感覚になる場合もあるのだけれど、まあ、以前のように理解できているとは限らない。それでいいというのは、当然いいのだけれども。
ところで今の世代や、たまにだが同世代であっても、ロックミュージックが好きだという話の展開になると、「じゃあ、ボンジョビとか」といわれてガックリ肩を落とすということがあるわけだ。いや、好きな人はいるだろうけど、そういう分類のされ方は乱暴だな、というか。今は言われ慣れたようなところがあるけど、ボンジョビがロックだという認識さえ、ちょっと意外な感じもしさえする。いや、ロックなんでしょうね。さすがに。
しかしながら、本当に狭い範囲でロックが好きという訳でもないのである。ちょっと古いがパンクでもプログレでもリズム&ブルースでも聞くのである。ただ、テクノみたいなものだと、ちょっと好みが分かれるかな、という感じだろうか。初期のテクノと今のテクノはかなり乖離があるので当然だけれど。
また、80年代になってからのダンスミュージックというのが、これまた複雑な感じがするのである。最近はロックレジェンドというような言葉があって、普通は例えばそういうのは、ジミヘンだとかジム・モリソンあたりまでだと、それなりにそうだったかな、という気分になるが、いわゆる最近はEDMがブームになってしまって、そうして最近はELOなんかも新譜を出すような驚くべき状況になってしまって、なんだかもうぐちゃぐちゃといろんなものが一緒くたになって、以前からいいものが聴きつがれてきたような言説を耳にしたりするのである。いや、絶対に断絶はあったはずで、僕らと今は切れていて当たり前なんだけど、そうしてそういう連携の気分なんて大人げなくいってまったくないのだけれど、相手の方から親和的に手を差し伸べられているような気分になる時があるという訳だ。
まあ、何の事だか分からないだろうけれど、いい大人になっているにもかかわらず、ロックの話になると大人げなくなっている自分を発見してしまう訳です。それでまあ、今となってはずいぶんオジサンになったバンドが次々に新譜を出していて、以前ならストーンズとかオジー・オズボーン程度のお笑いで済んだものが、それですまなくなって複雑な心境なんである。結局、ちょっと聞いてしまったりもするけど、そしてそれなりに悪くないものもあってさすがだとも思うことがあるにせよ、でもまあ青春は帰らないものだな、という冷めていく自分がいる。仕方ないからヒップポップでも聞くべきなんだろうか(さらに混沌)。