もし意識が戻る見込みがないとしたら延命措置を望むか問われたので、望まないとして書類に署名した。
そんなに悪いのかと衝撃を受けたが、取り敢えず行動の制限とか何より生き延びることだ。
まずは生きて自宅に帰る。
経済的な話とかはどうでもいいじゃないか。
何とか騙しだまし10年も生きたら勝ちだと思うことにした。
電気ショックで蘇生してもらったが3、4時間苦闘は続いた。病院の人員体制としては日曜日深夜で翌日も祝日という最悪の中で看護師さんたちは死力を尽くしてくれた。目を閉じて眠るのがこわくなった。
いくらか昏睡していて目覚めたら病院のベッドにいたわけだがガソリンが近所の最安値でリッター175円なのだという。全国的には安いらしいが、移動コストが1キロメートル8円くらいである。いちおうハイブリッド車なのでリッター22キロくらいであったはず。船橋市から名古屋まで移動すると350キロと仮定して2800円のガソリン代。そう考えるとテレビに出てくる人はどれだけ燃費の悪いクルマに乗っているのだろうか。運送業は大変だろうけど。
高度治療室でそろそろ2週間になる。やっと半分くらいの数値目標に達しつつある。忍耐心は鍛えてくれるが全然退院が見えなくて辛い。病院食は味が薄いだの何だのの問題ではなく単にまずい。早く解放されたい。美味いのは既製品のヨーグルトと缶みかんくらいである。あとはゼリーといったところか。自宅の炊飯器が優秀なことがよく分かった。帰れたら感謝しつつ味わいたい。
病院の集中治療室というところにいる。
移動してからまるまる２日、何ら役に立たず、精神が荒廃しそうになる。
センサーがうるさくて眠れないが、数値はいきなり改善した。
何だかよく分からないこともあるものである。ここだけベッドが上等だからなのか。