次郎くん物語(その33)だ。2013年7月11日はとても悲しい日となった。そう、次郎くんが亡くなったのだ。
<平成25年(2013年)7月11日ー13才5日ー>
【あのひのこと(1)】
次郎の体調は、最近良くなかった。が、この数日は動物病院の缶詰であれば食べるし水を飲む量も減ってきた。朝夕の散歩も積極的に出かけるので、復活の兆しか? と思っていた。
当日は、午前4時頃から次郎と小次郎の両方がそわそわしだした。で、オシッコかもと思い、まだ暗いがウッドデッキ側のシャッターを開ける。が、出て行かない。"ん? 違う?"ようだ。熱帯夜だったし暑いのかと思いエアコンを入れた。
※小次郎のトイレシートが家にあるが、次郎はそこも含め家の中では決してトイレをしない。
すると、次郎は我々の頭の付近で、小次郎も自分のベッドでスヤスヤと。で、我々も再度眠りへ。
5時半頃、再度連中はウロウロしだした。ま、いつも起きる時刻だし我々も起きることに。次郎は、朝一で、クッシング症のお薬を飲み、それから散歩となっている。食事はいつも散歩から帰ってからだ。
クッシング症の薬はカプセルで飲ませるのが難しい。口を開けさせて強制的に飲ませる。今日もちゃんと飲んだのでご褒美にビスケットをひとつあげる。小次郎も一緒にもらえるので、小次郎にとっては棚ぼたとなる。
その後、散歩へ行くわけだが、次郎君は体調不良なので、このところ街区一周(約400m)だけでお終いとしている。その後、小次郎だけ駅前コースを、追加で行くことに。
次郎は、玄関へ行く途中にふらついた。「大丈夫? 散歩は、止めておく?」と声をかけたが、いつも通り出かけたい様子。「じゃあ、いけるところまでいこう」と、出かけた。そして、お家から50mの所の空き地で、オシッコはした。
が、ウンチがまだ。「もうちょっといく?」と言うと、リードを引っ張るようにトコトコ歩いて行く。そして、お家から200m程の所で、再びよろめいて倒れ込む。
もがいて、立ち上がろうとする。そして、「くーん!」という一声を発し横倒しに。意識は、もう、ないようだ。慌てて抱きかかえ家に連れて帰った。お家の彼のいつもの場所に寝かせたが、既に息絶えていた。
苦しんだ様子はなく、穏やかな顔立ちで、スヤスヤと寝ているようだ。うむ、大往生(※)といえよう。彼は、いつも、我々を癒してくれた。本当に有り難う。 感謝! 感謝! そして、合掌!
※ 大往生:安らかに死ぬこと。少しの苦しみもない往生。
◇次郎くんありがとう、お疲れ様! と声をかけながら撫でてやる。
◇ まだ、暖かい。寝ているとしか思えない………。
◇ 水と桃を口元に置いてあげた。いまにも「オッ、モモだ!」と起きてきそうな感じがする。
【小次郎も戸惑い】
ワンちゃんは3才児の知能だそうな。で、“死”を小次郎は理解出来ないのだろう。ま、我々、人間の大人でも“死”を理解していると言えるかは疑問だが………。
◇「次郎兄ちゃんが起きないよ!」と小次郎。 ※ 次郎にはママのシャツを着せて、首にアイスノンをまいている。
次郎は、(年を取って)耳が遠くなっていて物音や声に気づきにくい。「おやつだよ!」などの声にも寝たまま。一方、小次郎は敏感に気づいて飛んでくる。で、一緒にあげるから「次郎兄ちゃんも呼んできて!」という。
すると、小次郎は次郎の近くへ行き「ワン、ワン!」と吠える。すると、次郎は「なんだ! なんだ! ん、おやつか?」とばかり、ガバッと起きて一緒にやってくる。そう、寝ている次郎を起こすのは小次郎の役目なのだ。
しかし、この時は何度吠えても反応がない! 「次郎兄ちゃんは、もう起きないのよ!」というと、どうして? というように。怪訝そうに、我々に顔を向けた。小次郎も、戸惑っているようだ。
【こんなことって………】
次郎くんが亡くなって3時間ほど経った時、出かける用事が出来た。お兄ちゃんと加布里の郵便局へ。
駐車場に車を止め、私は、一人、車内で待っていた。
ふと、フロントガラス越しに、空を見上げた。雲一つない、それはそれは綺麗な真っ青な空。その時、遠くで何か白い点のようなものが見えた。何だろう?
凝視して、その一点を見ていると、風船を膨らませるときのように、ドンドン大きくなって近づいてきた。そして、ポッカリと浮かんだ白い雲になり、両手足を伸ばしていつも寝ているときのジローくんの姿に見えた。
「あ、ジローくんだ!!」
しかし、それは、瞬く間に、小さな白い点になり、消えた。何事もなかったかのように………。
全く、不思議な体験だった。でも、私は信じている。ジローくんが最後のお別れをしてくれたんだと。それは、私だけに見せてくれた最後の姿。「ジローくんに、また、会えるなんて………」
「さようなら」って、言いたくありません。言い尽くせない程のありがとうを君に伝えたい。
大好きだよ。ジローくん
ママ
【動愛園】
火葬は、志摩半島にある動愛園。ここは8年前に小太郎を葬った場所でもある。故に小太郎と同じようにすることとした。で、お棺に入れる「守り刀」も、小太郎と同様に入れた。
※ 守り刀とは?:仏式、神道、習俗、などで、諸説あるようだが『その根底には大切な故人を「守る」という願いが込められている』と言われる。
◇ 小次郎も、次郎兄ちゃんにお別れしましょうね。
「さあ、散歩に行くよ」って言ったら、それは嬉しそうにシッポを振って起きてきそうな、そんな、いいお顔をしてるね。
◇ 動愛園には(2代目の)小太郎くんも眠っているよ。仲良くね。
◇ 次郎くんは骨になりました。動愛園に保管して頂き、時々お参りに来ましょう。
<次回に続く>
次郎くん物語 その31~