世間では親より早く逝くと親不孝というが本当だろうか?
僕の眼からみれば父親は送ったし、子育てに成功している彼、
何てついつい比較して羨ましいのだが?本当の兄弟だったら、
ジェラシーにかわるのだろうか?それにしても残されたおばあ
さんの心中は計り知れない。お通夜の朝、湯かんがすんだ彼が
仏壇の前、北枕で横たわっていた。その部屋の隅でちょこねん
と座っていた九十うん歳のおばあさん、上がりかまちからみる
とまるで映画「おくりびと」のワンシーンを思い出す。
ぼくは彼を覗きこむ、まるで普通に寝ているようだが呼吸はし
ていない。おばあさんのところへ「何処の人でした?」最初
びっくりしたがわかってくれた。だいぶ耳が遠くなった。
「大将が逝ってしまった。畑の草取りが心配だ」畑の話になる
とまだまだ元気なおばあさん。