「塩なた」
秩父山地に源を発して、浅間山麓を囲繞し、小諸を中心とする佐久盆地と上田盆地を経て、長野盆地で犀川と合流する千曲川の河畔にひらけた塩名田宿の渡し場を描く。渇水期の河原には、往時の渡し舟をつないだ石が今でも見える。裸や菰で身を包む船頭たちの姿態も面白いが、客のいない渡し場の風景は、寂しそうで、静けさのなかに哀れな風情さえ感じさせる。閑散とした茶店の描写と、一本の太い樹木が調和をとり、信濃路の旅情を感じる。
春日井市在住、1935年私的な挿絵等に全て自由にご使用ください。
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