昨日の現代物の酒盃の中には写っていない骨董物の中で、お気に入りの一つがこの酒盃である。全体の赤織部風釉薬にと鉄絵風絵付けが小さいながら伸びやかで見事ではありませんか。
この盃はもう20年以上前、信州上田市街の18号線沿いで独り身らしいのだが洒脱で人が良さそうな爺さんが細々とやっていた万昌堂という骨董屋で見つけた。高台に道八とあるのを本物かと訊くと、分からないという。分からないなら偽物値段に色を少しだけつけてということで購入した。この店では印判の小皿などを100/枚で図柄が違うものを単品でかなり買って、今は普段使いしている。その骨董屋も爺さんが亡くなって一軒家の建物だけは残っているが、店内は片付けられて閉まったままとなっている。
その後に銀座のアンティークモールの中の一店で、これと全く同じ釉薬使いで高台内の銘も同じ、絵柄だけが異なるものが大層なお値段で売られているのを発見した。やはり本物だと確信する。