二日目の宿は東山温泉にある向瀧という老舗和風旅館、実は昨秋にこちらに予約を入れたら紅葉時期だったためか満室と一ヶ月前でもダメだったので、今回は二ケ月前に予約確定しておいた、というのも別の宿にて初めての東山温泉泊まりをしてみたところ、さすがに会津藩の湯治場と感じ入るところがあって、その中でも人気らしいこちらに一度は泊まってみようかと、階段がツライと困るらしいのでまだ元気なうちに。殿様警護の武士が浸かったという歴史ある温泉はどんなものかとも期待して、この前は殿様用だったという古めかしい浴槽にも入ったしで両方を比べられるぞと。
この宿は周りが鉄筋コンクリートの大型旅館に変わってしまっているのに木像和風建築のまま、館内での案内に江戸中期から会津藩の保養所としてあったのが、明治になって個人の経営となり、主要宿泊棟の建築は 昭和初期で会津と東京からとの二組の大工による大普請によるものとか、広い中庭を囲んで日本建築の粋を尽くした造りとなっておりましたが、藩時代からのものが残っているわけではありませんね、江戸時代では保養所だからそんなに立派な建物じゃなかったはず、温泉も源泉はそのままでも浴槽は昭和以来のものらしい、浴槽自体から言えばこの奥にある宿の新湯にあった殿さまの湯の方が古いものだと、これは利用してみて分かりましたがそれでも格式を重んじているようで、番頭に率いられた部屋係などは若い男性ばかりが武家風にと、これにはビックリとちょっとばかりやり過ぎという感じもしないでもないおもてなしでありましたが。
左手の建物の向こう側が玄関
建物の説明
中庭
奥に見えるのが昭和の大普請による建物
ホタルが出るというがちょっと前でまだ見られなかった
斜面に建つので階段で連なる、エレベーターなどはありません
洗い出しに切り株をはめ込んだ大浴場への廊下、これは昨日の古澤屋にもあって会津建築では多いんでしょうか
浴槽は大浴場でもそれほど広くなくて露天はない、家族風呂として三つの風呂があってこれは利用していなければ自由にと、いずれも昭和レトロ風のタイル貼りであったが、湯口には年月の湯の花が固まっていて以下にも効能がありそうな、泉質はアルカリ性のナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉の源泉掛け流し、柔らかで肌にいい感じの湯である。
パンフレットより
温泉分析書
夕食は当然に部屋だしです、内容はこれでもかというような郷土料理に徹しておりました、これまでにも食べた料理もあったが初めてという食材や調理法のものもかなりあって面白く、年寄向きの地味な味わいのものが多いようですが、そのなかでは鯉の甘煮の大きさはこれまでで一番、ちょっと全部は食べきれなさそうとこれだけは持ち帰りできるというのでお願いして下げてもらった。これは我が家で食べてみたら佐久とも米沢とも違った味付け調理法で、甘めを抑えたいい味に煮込んでいておいしい、ここの名物料理というのには納得です。
夕食膳
手書きの献立とは珍しい
食前酒とサービスの日本酒
先付、会津門田の新玉葱
前菜
向付、鯉のたたきというのは初めて
伝承の一品、色もこれまで食べたものと違う
強肴、鰊山椒漬けも会津名物
焼物、会津地鶏と野菜
お凌ぎ、紅鱒寿司
煮物はこれも郷土料理のこづゆ
揚物、山ブドウの葉は初めて
赤だしの汁、ご飯、香の物
デザート
箸袋は横田新の絵、折り返しの文字は戦前風に右から読む 箸置きが楊枝入れを兼ねて、これはマネしようかな
朝食も部屋出しです、こちらもいろいろあっても海のものは乾物以外はありません、地の物に拘っています、それと昨晩もだったがご飯はお櫃で運ばれて古き良さに徹底していますねぇ。
朝食膳
朝も手書き献立が
紅鱒のせいろ蒸し
ご飯はお櫃で
なめこの味噌汁はたっぷりと
とうもろこしプリン
チェックアウトをすませば既に車は玄関先に配送されていて、盛大な見送りを受けて宿を出発となりました、ここまでやられるとちょっとばかり肩ぐるしくもなりますかな。