
金地院拝観は普通は庭園と伏見桃山城から移築した方丈の一部を見物するだけだそうだが、ちょうどこれも遠州作という八窓席の茶室を期間限定の予約なしでの公開中で説明もあるという。女房は特別拝観の料金が高いから迷ったけれど折角だからとそちらもと奮発、回遊式の庭園と東照宮など廻ってから遠州作の庭園を望む方丈の前で特別拝観の時間を待つこととなった。
方丈手前の明智門から入って回遊式庭園に、時計回りに回ることに
ここにも東照宮がある
廊下に15人ほどが集合して、12時キッカリにまずは遠州作の庭の説明から始まって方丈の奥に入り内部を案内されることになる。
方丈と庭園
小堀遠州作庭の鶴亀の庭園合成写真
まずは方丈の狩野探幽と尚信の兄弟によるものだという襖絵の説明が、さらに奥の小書院にはこれは教科書などで見たことがあるという長谷川等伯の有名な猿猴捉月図があるではないか。これを障子を閉めた自然光の中で、墨が柔らかく浮かび上がるのを鑑賞する。この本物が見られるとは思わなかった、狩野派と長谷川等伯は仲が悪かったはずなのに両方の絵があるとは驚いた寺だねぇ。
さらにその奥の八窓席の茶室の中には、侘び造りで古いから大勢で中に入ることはできないから手前からの見物、不思議なのは真っ白の和紙だという障子に縦横に青緑掛かった線が見えること、外の竹などからの反射光でこの日のように晴れたら鮮やかに映るのだそうだ。この茶室は貴人をもてなすもので躙り口は意匠上だけ、客人は書院側からそのまま茶室に入るようになっているそうだ。この裏手には普段使いの茶室まであって、こちらの棚が八窓席に出っ張っていて向こう側の壁の一部ずれているなどと、融通無碍な遠州の設計という説明も面白い。遠州にこういう茶室を造らせて、ここに移り住んでからの崇伝の優雅な生活が忍ばれるじゃないですか。
金地院パンフレットより
戻ってくる際に坪庭に千両、万両のほかに同じく身を付けたもっと小さい木が目に留まり、名前を聞くと百両だという。初めてみたという老人がこれなら写真を撮ってもいいかとお願いしたら、ここも重要文化財の一部だからと、この特別拝観部分は一切撮影禁止です。これはお値段納得の見応えがありましたねぇ。余談だが帰ってからJA横浜北に行ったら百両の苗を売っていて、我家の庭も三種類が揃うこととなった。
昼は二寧坂辺りでと駐車場に戻ったら、空車待ちの車が数台も並んでいる。お次の方どうぞと出て高台寺の駐車場を目指したら、その手前の大通りからそちらに曲がろうとウインカーを出すバスが一向に動かなくて、辛抱しきれず車線変更して前に出たら先がずっと渋滞行列に、これはダメだと。しょうがないから周囲のコインパーキングを探そうと路地にも入って探してみたものの、どこも満車で入れそうもない。余裕がある道路では空き待ちの車もいるから、これは偶然に出る車に巡り会わないと駐車できないと、五条から四条の京都東部をウロウロすることになってしまった。その途中の車中から舞妓さんが歩いているのを、実物が街を歩いているのは初めてでパチリと失礼。外人さんもすかさずカメラを向けていたものね。
東山方面の途中のノロノロ車中から舞妓さんを見つける
もっと東山から離れてみようと八坂神社で西に向かったら、祇園の先で右折して回り道でという矢印表示の市営駐車場表示を見つけ、そちらなら待ちスペースがあるかもしれないと回ってみた。そうしたら市営駐車場の手前のコインパーキングに1台だけの空きを見つけて、やっと2時ちょっと前に止めることができた。ここまで来たら清水寺方面は無理だから、祇園花見小路辺りを散策して手頃なところで食べようかということに。ところが花見小路とそれに連なる路地の食事処はほとんどが2時でランチは終了、これなら僕はもう昼は食べなくてもいい、帰りの車でどこかで朝同様におむすびを調達して帰りの腹を持たせるからと、女二人はやはり何か食べたいというので別行動にしちゃう。
祇園花見小路
花見小路に交差する何本かの道も風情があり過ぎ
祇園から鴨川(冒頭写真)沿いの先斗町などは京都には何回も来てはいるものの僕は初めてで、こいうなれば短時間ながら歩き回ろうと、人通りが多いから汗をかきながらウロチョロする。この付近で見覚えがあったのは南座ぐらい(ここの顔見世興行に出演予定だった市川海老蔵が大怪我させられたのはこの旅行から帰ってしばらくしてからであった)、わらじやで鰻を食べたという女どもの食事時間だけという短時間だったから、四条河原町方面手前までを行き来したぐらいで呼び出し電話がきて京都観光はここまで。これならずーっと南禅寺あたりだけにしていた方が良かったなということになってしまった。
南座には顔見世興行の垂れ幕が
鴨川の西沿いの通リに添う先斗町 鴨川の東側には出雲の阿国像が
京都も車で回るなら観光タクシーを利用するのが一番だけれど、貸切るとなるとお値段もそれなりに。昔は特にベテランで京都に精通している個人タクシーの人が数人いて、拝観謝絶の場所などにも顔が利いて案内してくれたけど、今でもそういう人は存在するかな。京都観光はとにかく車は止めて公共交通を利用してその日に巡る場所を限定するべきで、半日ぐらいでというのもいけませんな、次回は京都と奈良だけで三日以上は見込みましょうや。
繁華街の中にも風情ある場所が現れるのが京都
もう午後3時を過ぎているからと義妹を京都駅に送って、帰りは京都東ICから乗って横浜を目指すことにしたのだが、ナビが教える道がまた南禅寺脇を通る道でその先も京都から帰る地元車で渋滞、京都南ICに戻ればもっとスムースに高速に乗れたかもしれなかったね。
草津PAでガソリンを補充、渋滞情報が旧名神、新名神とも同じぐらいの長さを示していたのでスタンドのチーフにどちらがいいか聞いたら、鈴鹿四日市間は新名神から以外にも、名阪からや伊勢道からも全部入ってくるから旧名神のほうが無難だという返事。距離的には大回りだが来たとき同様に旧名神で、やはり帰りも名古屋手前から渋滞に、蒲郡からは走るようになったのに蒲原付近で帰りにも事故にはウンザリ、何とか日が変わらないうちの11時少し前に我が家に帰還。ヤレヤレとすぐ就寝というのは僕の流儀じゃなくて、女房は先に寝かして持参したのに残って持ち帰ったワインの残りを空けて寝たのは午前様、やはり長距離運転で神経が高ぶっているからこうして休ませないとね。
帰ってきてからのTVで京都の紅葉の映像がいくつか流されているのを見たら、酷暑だった今年は何年来の見事な紅葉だそうで、京都の紅葉の季節は初めてだったけれどいつもに増しての紅葉が楽しめたわけだ。さすがに京都の紅葉はお見事、観光客が頷けます、関西はこの時期が一番混雑する観光シーズンでしょう、滋賀の紅葉も良かったし有馬から丹波方面ののどかな里山の秋という感じも捨てがたく、みやびから野趣までの3セットを楽しむことができた旅であった。