ー 鮮度を失わぬ 青春の一句 ー
青空が陥落地点からも見え 紘輝
柿山紘輝 第一句集『 青年 』 1965(昭和40)年発行 より。
川柳仲間とはありがたい。私の手許には、紘輝句集第一から第十二句集「儲からぬ店」まである。
川柳歴62年の句は数知れないが、敢えて一句を選ぶとなれば、私は躊躇なくこの一句を選ぶ。
16歳のとき兄陽一氏の縁で川柳を知り、17歳で「噴煙」句会に参加。
22歳で、会長 大嶋濤明氏による表紙題字と序文の第一句集を発行。
編集兼発行実務の七谷虹桟橋氏の計らいで、交換誌交流のあった50社ほどの吟社にも送り、時実新子、斎藤大雄氏他多くの感想をいただいたと、紘輝さんから聞いた。
中学卒業時の進路決定で、家庭の事情もあり進学が適わず、家業の手伝いに忙しい日々を過ごした、十代後半の実感句である。
自転車での配達の日々、陥落地点からの希望を探る、切ない青春の日々が、句に凝縮されて鮮度を失わぬ。紘輝青年の心情を我が身に置き替えても、ぐっとくる。
同じく『 青年 』より
青年のもう思い出に縋りつき
尾灯見送って世界が二つある
青春万歳百円のゼニがない
嶋本 慶之介
写真は最近再発行された表紙
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