第66回熊日川柳大会の入選句の中から8人の選者が天・地・人に選んだ句を紹介します。投句者の高齢化が句に反映される傾向もありますが、新しい風や香りをまとった句もみられました。ジュニアの部など詳しくは熊日朝刊2020.11.2の15面に掲載されています。(Y)
「雑音」村上哲子 選
天 ラーメンをすする音にも妻の味 中﨑公夫
地 雑音を聞き分けているロバの耳 菊池蘇水
人 雑音がグレーゾーンで立ち止まる 北村あじさい
「ゆるい」いわさき楊子 選
天 レシピではスープカレーじゃ無かったが 下野楽椿
地 例外をたくさん作る但し書き 松田順久
人 反省も忖度もせぬ猫と居る 村上和巳
「投げる」矢村なお美 選
天 投げ出してリセットしたい夢を見る 福田達夫
地 投げ返す気力が介護楽にする 土田一郎
人 投げ捨てた草が根を出し花咲かす 金子てるみ
「じわじわ」村上和巳 選
天 忍び寄る老い気負わずに受け容れる 西川雅子
地 生き甲斐をじわじわ問うてくる齢 徳丸浩二
人 歩かねば老いが足から這い上がる 原 萬理
「雑音」北村あじさい 選
天 雑音にめげぬ主張が世を拓く 北出北朗
地 リーダーの資質雑音まで拾う 道田佳香(大会代表句)
人 雑音の中に真実さぐる記者 小濱春雪
「ゆるい」中原たかお 選
天 病む地球自転速度を緩くする 嶋本慶之介
地 残照はゆるい大河の如く生き 濱北 葵
人 反省も忖度もせぬ猫と居る 村上和巳
「投げる」黒川孤遊 選
天 敬遠はゆるさぬ父のど真ん中 中田ひろし
地 どのくらい深いか石を投げてみる 山本あかね
人 夢ひとつ託し祈っている輪投げ 北村あじさい
「じわじわ」平田朝子 選
天 定年の虹じわじわと色あせる 安永理石
地 水引いて頬に流れるひとしずく 貞島みずえ(大会秀句)
人 生き甲斐をじわじわ問うてくる齢 徳丸浩二
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