第45回全日本川柳2022年富山大会作品集 から
主催:一般財団法人 全日本川柳協会
第45回全日本川柳2022年富山大会実行委員会
延期や誌上大会への変更を経ての大会でした。5年かけて準備をしてきたという実行委員長の坂下淸さまの巻頭のあいさつにご苦労がにじんでいます。表紙の黒部ダムのたたえる水の青さと遠景の残雪が目に沁みます。(Y)
文部科学大臣賞
青空へひとりの自由干している 豊巻つくし(青森)
参議院議長賞
択一を迫る氷河の割れる音 阿部 美葉(兵庫)
川柳大賞
国境を侵し湾曲する平和 菱木 誠(奈良)
熊本からは44名が投句しました。以下一般部門佳作から県関係のみ。
「湾」長谷川酔月 選
母の待つ湾は何時でも凪いでいる 山本あかね
湾曲に言っても別れ話でしょ 松村 華菜
水俣の湾に水銀眠らせる 太田 清美
想い出の湾に変わらぬ君が居た 北村あじさい
ふるさとの湾に哀しみ捨てにゆく いわさき楊子
漂着の湾で明日を組み立てる 道田 佳香
破れた帆繕いに寄る母の湾 徳丸 浩二
「ひとり」大嶋都嗣子 選
ひとりにも慣れて仏間が遠くなる 古閑 萬風
「立つ」高橋みっちょ 選
お喋りの隣に風が立ち止まる 矢村なお美
人前に立つとわたしは失語症 中原たかお
着地点無いおばちゃんの立ち話 野口貴代美
角の立つ話はよそう輪になろう 阪本ちえこ
人という鏡の前に立っている 村上 和巳
「アルプス」上野多惠子 選
溶けてゆく氷河の先に立つハイジ 黒川 孤遊
絶景アルプス恋愛を成就させ 恒松 繁政
小さいぞアルプスに喝入れられる 原 從通
アルプスに南北 土俵に東西 いわさき楊子
「氷河」高鶴礼子 選
背信のあれから氷河抱かされる 松村 華菜
地球史を冷凍保存する氷河 長瀬 狂介
氷河塊何を思って旅に出る 永野 修一
砲弾を氷河に包み流れ来る 太田 清美
あきらめる氷河崩れる音がする いわさき楊子
今はもう氷河流れる間柄 阪本ちえこ
滔々と氷河地球を抱くように 緒方 正堂
「離れる」伊東志乃 選
父さんと別れていいよ子の瞳 寺中 良好
揺れながら離れ離れになるヒト科 緒方 正堂
良き友も言葉ひとつで距離をおく 徳丸 堯士
「久しい」牧野芳光 選
久しぶり有り難み知る陽の光 高本 梢
半世紀新幹線でありつづけ 村上 和巳
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