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倒産の嵐、か・・・。

先月末、静岡県にある地元大手の住宅会社が倒産し、破産手続きに入った、
と思ったら、先週には新興マンションディベロッパーも倒産し、こちらは会社更生法の適用を申請。
住宅を建てるのか買うのかでは民法上いろいろ違うと言う話は前に書いた気がするけど、
倒産の場合はどうなのだろうか。

一般には倒産、倒産、と言うけれども、どうもこれは法律用語ではなく、
要は「資金繰りが出来なくなって、結果、事業が継続できなくなった状態」ということみたい。
実際の倒産手続きには、再建するか、清算するか、という目的によっていくつかあるらしいけど、
上記の「破産」は清算型、「会社更生」は再建型、ということになるらしい。
で、今回は「請負契約×破産」と「売買契約×会社更生」というパターン。

まずマンションで「売買契約×会社更生」の場合はどうなるかと考えてみると、
マンションの買い手としては会社更生手続きに入った会社からマンションを買うのは嫌、
という気持ちにもなろうが、会社が存続していて、工事も完成させる、と言われてしまうと、
契約解除をしようとすると、手付金の放棄、オプション工事代金分の支払、
といったことが要求され、無傷で解約とは行かないのが通常らしい。
(要は自己都合という形でしか解約できない)
とすると、出来ることはあとは予定どうり工事が完成し、
会社が無事再生することを祈るのみ、となってしまう。

では注文住宅の「請負契約×破産」の場合はどうかというと、
請負契約を解除して他の建設会社に工事を引き継がせることになるのかな、と思っていたのだけど
(民間工事請負契約約款では破産法上の支払停止があった場合は契約解除できるとされている)
ところがどっこい、裁判所が破産手続きの開始決定をすると(昔の破産宣告)、
双方債務未履行とか言うことになって、管財人にしか解除権がなくなってしまうのだそうだ。
請負契約の場合、通常は発注者はいつでも工事契約を解除できるので(損害賠償は必要)、
危なそうだ、と分かったらさっさと契約を解除してしまうことも考えられるけど、
それが前から分かっていれば世話はない訳だし、出来高と支払高の関係もあるから、
おいそれと契約解除の決断が出来る訳もないのが通常かと。

そうするとあとは管財人の出方待ち、とういことになる訳だけど、今回のケースでは
スポンサー企業に工事を継承させるので原則解除には応じない、当然追加負担は発生する、
どうしても解約したい場合は払いすぎた分は最高2割しか返せない、
逆に支払が少ない場合は差額は請求します、と言っているらしい。
しかも異常に前払い金が多いケースが多いらしく(しかもつなぎ融資利用だったり!)、
7割も払っているのに着工すらされていないケースもあるとのことで、
施主としては非常に苦しい判断を迫られる状況になってしまっていると思う。


余りに危ない会社は別として、今の時代
「倒産しない会社を見分ける」というのは不可能に近いと思うので、

□ 完成するまで自分のものにならない青田買いの売買契約・・・手付けはミニマムに
□ 出来たところまでは自分のものに出来る請負契約・・・出来高に応じた支払+完成保証
*工事途中の建築物の所有権については民法上諸説あるそうですが、とにかく自分のものとするしかないんで、
 いざと言う場合は引き渡し証明みたいなものを捥ぎ取るしかないです、施主としては。


といったところがせいぜいの防衛策なのでしょうか・・・。

売買契約の場合でも、破産してしまったら戻ってくる額は相当減ってしまうと思われるので、
どちらの場合でも、清算形でなく再建形の倒産手続きの方が良いようには思うんで、
今回のいきなり破産、というのもどうかと思うのだけれども。
銀行とか、どういう考えだったんでしょうかね??

う~ん、厳しい時代だなあ。

あ、あとそれこそどうでもいい余談ですが、どちらの案件にも同じ弁護士事務所が係わっていました。
調べてみると、弁護士100人以上を擁する大事務所で、
企業関係の案件を得意とするいくつかの弁護士事務所が合流して今の形になったみたいです。
士業も今は組織の時代なのね・・・。ちょっと考えよう。
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ジャスカにお邪魔

最近話が堅いな、なプラナリアです。

JSCA主催のシンポジウムを聴きに行ってきました(ジャスカであってジャスコではない)。
あの姉歯事件で結構名をはせた、構造設計者の団体です。
扉を開けたらみなさんピッシッと黒目のスーツだったりした上に、
最初の稲山先生の発表がかなり専門的だったので思わず場違い感に苛まれてしまいました。

さて、そのシンポジウムの主旨ですが、

法改正後の確認申請業務の大きな混乱と滞り徐々に減少方向に向いつつあるが、
木質構造は法改正により設計が困難となり多大な労力が必要になった

木質構造は、木材が本来構造材料としての特性が曖昧なので、不確定な要素も多いが:
・現行の法的な基準では厳格な構造計算を行うことが義務付けられている
・計算書の作成方法においても細か過ぎる内容の記述が要求されている
 ↓
4号建築を除いた3階建ての住宅や一部のRC造・S造との併用構造などの設計が
現実的な設計料の範囲では不可能になる!?

一方では:
・木質材料を熟知し伝統技術の再評価等を行っている
・建築として魅力的であり、新たな建築表現への可能性を追い求めている
構造設計者もいる

そこで:
・木質構造における建築の可能性を追求している4氏による発表
・今後の構造デザインと構造設計者のあり方について議論
を行う

発表者は:
稲山正弘(東京大学大学院)・岡村 仁(空間工学研究所)
腰原幹雄(東京大学生産技術研究所)・山田憲明(増田建築構造事務所)
の各氏

ということで80名近い参加者、しかも会員外が50名以上という盛会となりました。

実際には改正後の事例が少なくて、状況の困難さを感じさせましたが
(住宅なんかは先日の日経アーキテクチュアの特集にあったみたいに、
 無理やり?4号にしてしまっているのでしょうか)
状況を廻っての熱いけれどリラックスした議論がとても眩しいシンポジウムでした。
構造設計者に設計料を払う立場になるプラナリアにとっては辛い部分もある話でしたけど・・・。

あとですねぇ、仮に払うから、といった場合に、んっじゃあ
木造がちゃんと出来る構造家って実際どのくらいいるの?
というのもじつは結構根の深い問題ではないかと。。
シンポジウム終了後いまや大家?のK氏にご挨拶をして少しお話をしたのですが、
その方の古巣の構造事務所が木造の許容応力度設計は出来ないんで、ということで
これまたプラナリアの古巣が設計している建築の構造設計が廻ってきた、と聞いて呆然。
たまさか木造をRCやSしか経験がない構造家に頼むと恐ろしいことになる、と言う経験は
間近に見聞したこともあるのでやっぱり、とも思わないでもないけれども、
でもでも、うう、どうなっているんだぁ。10年前とは違うだろぉ~!
・・・そういえば討議のなかで「計算と実験で数値が倍位違うこともあるので
必ず実験で確認している」という発言がありましたが、
(あ、これもしかして今の制度じゃ現場止まっちゃうわ・・・確認出しなおしで)
やはり木造は普通の構造設計者にとっては「特性が曖昧」でやりにくい相手なのでしょうか。。
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エコキュートに、気をつけろ

ところでエコとか省エネとか言う言葉、当BLOGでも結構安易に使ってまして、
省エネ住宅の実現方法はこれだ!(嘘)」ではエネルギーの消費量(*1)で語ってますし、
改築はエコ?(その2)」ではLCCO2という二酸化炭素の排出量で語ってます。

あと、一般ユーザーからすれば「省コスト」≒「省エネ」みたいなとこもありますよね。
確かに電気代、ガス代が高い安いと言うのは分かりやすい、という以上に家計に直結するのでリアリティがある。
それに「=」じゃないことは承知していたとしても、どう「=」じゃないか、というのはなかなか分かりにくいし。


で・す・が、同じエネルギー消費量でも、熱源によってCO2の排出量は違うので、
実はエネルギー消費量を抑えてもCO2排出量が増えてしまうと言うことはあり得る。
で、最近新聞報道されて(*2)プラナリアもようやく悟ったのですが、

「エコキュートに、気をつけろ」

建築環境・省エネルギー機構(IBEC)の発表
→PDF資料:「自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機の省エネルギー効果について

マイコン制御になったとは言え、貯湯タンクにお湯を貯める式のものは、
貯めすぎれば電気代は少々無駄かもしれないけど、足りなければ即クレームになる可能性大、
だったら(設置した業者にとっての)安全側で・・・ということだった訳かしらん?


でですね、じゃあきちんと設定すればエコなのか、というとですね、
なかなか面白いエントリーを見つけましたのでご紹介します。

きつねおやぢさんのBLOG「きつねのごったに記」
→2009年1月3日付エントリー:「エコキュートは環境と財布にエコなのか考える

このエントリーでは、コストやCO2排出量に換算した上での丁寧な解説も付されているので
私ごときが下手に解説をするよりは、是非直接読んでいただければ、と思います。

あと、全体的なパースペクティブを得るという意味で面白いものがありましたのでご紹介。

建築研究所講演会(2008年3月14日開催)テキスト
→PDF資料:「住宅にかかわる省エネルギー手法の可能性

そもそも貯湯式って、家族が少なかったり、日によって使用量の変動が激しい
世帯には向かないという問題点があるっていうし。
ワンルームマンションにエコキュート設置するとその分容積率が緩和される、
なんていうのは、、う~ん、どうなんでしょうか??

*1 エネルギー消費量
自立循環型住宅のマニュアルに出てくるエネルギー消費量は「実際に使う量」だと思うのですが、
「省エネ」を考ええる場合「一次エネルギー換算エネルギー使用量」というものに変換する必要もありそうです。
「省エネ法」はそのような算出方法(+CO2排出量も算出)になっているみたいですが、
今年4月に改正される住宅の「省エネ基準」も、住宅における一次エネルギー使用量を算出した上で
目標達成率を云々する、という考え方を導入するようです。
・・・あ~いろんな単位が出てくるので正直もう付いていけない(笑)

*2 081226付朝日新聞
この記事は建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が実は半年くらい前に出していた発表と、
新種の訪問販売トラブルに対する国民生活センターの注意喚起を絡めて
いろんな意味でエコキュートの導入には注意が必要、という内容。大口の広告主によく言った!

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省エネ住宅の実現方法はこれだ!(嘘)

住宅で使用するエネルギーを半減させよう、という
「自立循環住宅」の設計講習会に行ってきました。
(半減だから自立循環はしないのよ(笑)あくまで出来る範囲でがんばろうということ)

ところでみなさん!住宅で使われるエネルギーの内訳をご存知ですか?
マニュアルに種々の調査を纏めた数値が出ているので引用しますと;

暖房:18~24%・給湯:23~32%・照明他電力:36~46%・冷房:1.6~3.5%

上記は温暖地の戸建住宅の例で、年間総使用量は70GJちょっと。
これを見ると、削減の狙い目は給湯と電気だな、というのが分かりますね。

ところで、このマニュアルは2000年頃の標準的な住宅から
さて一体何パーセントくらい削減できたでしょう?という、仕組みなので、
その前提を明確化するために、実際に家を建て使用量を算出しています。
それによると;

暖房:15.4%
冷房: 2.9%
換気: 5.6%
給湯:29.4%
照明:12.9%
家電:23.7%
調理: 5.3%

で、合計は83.2GJとなっています(部分間欠暖冷房の場合)。
標準住宅は暖房もすべてエアコンで行う想定のようなので、
計算してみるとエアコンと家電で全体の42%を消費していることに。
だから、
建築で努力するより省エネ家電を買ったほうが手っ取り早い?
しかも他に何にもしなくても
太陽光発電を導入するだけで35%も削減できてしまう(3kw相当の場合)

いや、このマニュアルはですね、そういった成績を競うためのものではなく、
色々な削減手法をある程度数値化することで、お題目だけのエコではなく、
設計者と施主が共通の認識を持って
エネルギー削減を進めるためのツールなのです!(たぶん)

実際、庇の効果とか自然風の利用といったパッシブな手法や、
高断熱仕様にした場合のエネルギー削減効果などが
ざっくりと目安として数値化できるのはとても有効だと思う。
当然、設備や家電と建築的な手法両方を導入すればより効果がある訳だし。
要は使い方、ってことでしょうか。

ご参考;
経済産業省の考えるゼロエミッションハウスはこんなんだ!
→ 北海道洞爺湖サミットにおける『ゼロエミッションハウス』展示について
ちょっと違うような気がするが、まあ、こういう技術もある、ということで・・・。
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資格が刺客になってやってくる

今までは我々意匠屋さんは「いっきゅうけんちくし」をとれば
後はあまり資格なんかいらなかったのである。
もちろん、自己啓発的な意味での取得とか、名刺に書くための資格とかはあるんだけど、
(プラナリアの場合は福祉住環境コーディネーター?)
んじゃあそれがあってどうよ、なければ困るの、というと、べつにねえ、という感じだったのだ。

今年、お勉強の意味もあってCASBEEすまい[戸建]の評価員資格を取得してみた。
以前書いたようにこれは建築の環境評価ツールで、時代の流れ的には大切かな、と。
ところで、これは法律ではなけれども、国交省が絡んでやっている制度には違いないので、
住宅品確法の住宅性能評価制度で定められている基準が相当数引用されている。
んで、こりゃあ品確法勉強しなきゃだめかぁ、と思っていたところ、
(因みにアトリエ系の建築家で品確法の評価基準を意識している人は殆どいない)
いろいろとご縁があって、品確法の評価員講習を受けさせて頂くことができたのでした。

で、無事評価員講習を終了(<終了考査あり!、それなりに難しい)できた訳ですが、、、
難しいですねぇ。ようやくアウトラインが分かったと言う程度(笑)
まぁ、もともと技術基準を法律(告示)と言う形で書いていることで
必然的に異常に分かりにくくなっている性能評価基準。
この性能評価基準には木造住宅の構造がらみの基準もありまして、
要はこの等級にするためにはこういう仕様で造りなさいと言う事なんだけど、
使いこなすにはまだまだお勉強が必用ね、という段階。
まぁ、評価するのと設計するのとでは違うってことですね。

あとは「自立循環型住宅」。
これはCASBEEと同じ財団がやっている環境共生住宅の設計手法なんですが、
ここからCASBEEに流れている基準もあるんで、これは来年早々にも押さえに行く予定。
(なんか上手く誘導されている気もしないでもないけど)

この辺の技術が法律や基準と絡まっちゃってるものは厄介ではあるけど、
(性能基準を実現するために仕様基準に落とし込んでいるのもある意味不自由)
仕事へのフィードバックがある(と思う)ので、取得する意味はある(はず)だし、
そもそも取得するもしないも個人の勝手なんですが、、、

姉歯事件のおかげで建築士法が改正されて、
建築士は定期講習を受けなきゃいけなくなっちゃったし、
設計事務所やってる場合は管理建築士っていうものが必要なんだけど、
これが「資格」になってしまい、講習を受けなければいけなくなってしまったり、
(今までは単に建築士を選任しておけば良かっただけ)
なんだか今年から資格取得強要の嵐がスタートした感じなのである。

で、みんな資格に殺されないよう注意しましょう、とういう詰まんない状況なの。

あう。



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