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「つくる」を読んだ

いつもはこちらが買うことが多い村上春樹。
今回は妻が買ってきましたが、いつまでも読まないので先に読んじゃいました。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上 春樹

文藝春秋 2013-04-12
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タイトルは結構ベタな感じだったのね。

主人公の仕事が鉄道会社に勤める建築設計者で、
一種の「文化的雪掻き」っぽい仕事の気が。そういう捉え方じゃないけど。

PCの置いてある机周りにチャタテムシが発生してしまい(嫌だー)
落ち着いてPCに向かえないので
取り急ぎ感想は上記のみって言う事で。。。
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幸福な復原の記録

いやはや凄い人がいるものです。

惜櫟荘というのは吉田五十八が設計した熱海の岩波別邸の事だそうですが、
本書の著者である作家の佐伯秦英さんは隣地に仕事場を構えたことがきかっけで
この住宅にほれ込み購入、されただけでなく、この建築を伝えていくために
文化財方面で言う「解体修理」をなんと自費で実行されました。

本書は岩波書店の「図書」に連載された、その経緯をつづったエッセイを纏めたもの。
実はこの作家さんのお名前は全然知らなかったのですが、
NHKでやっていた時代劇ドラマ「陽炎の辻」の原作者さんなのですね~。
修復プロジェクトの話に著者の若い頃のスペインでの生活や、
そこから広がった作家や画家との交流、
そして「物書きとしての生き残り」をかけた「文庫書き下ろし時代小説」
というジャンルの開拓の話などが重なり合って語られています。
そこから著者の作家としての矜持が伝わってきて、感じるところがありました。

惜櫟荘だより惜櫟荘だより
佐伯 泰英

岩波書店 2012-06-21
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それにしても修復前と修復後の丹波石貼りの「景色の違い」への言及など、
やわらかな語り口ではあるけれども、
著者のものを見、感じる力には恐ろしいものを感じます。
今回の修復は吉田五十八のお弟子さんである建築家の板垣元彬さんが設計監理、
施工は水沢工務店と言う黄金コンビが担当されているのですが、
こういったお施主さんに出会えたら建築家冥利に尽きるなぁ、と思いつつ、
相当恐ろしいことでもあるよなぁ、と思ってしまいました。

なお、見落としていましたが、本修復工事に関しては
青井哲人さんが新建築住宅特集の2012年8月号で言及されているようです。
(青井さんの2012/07/30付BLOGはこちら
機会を見てチェックしたいと思います!
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上野周辺建物巡り

国分寺ネタ再チャレンジ。


本日は最後の同潤会アパートにお別れに行ってきました。
その前後上野周辺をウロウロしたのでご報告。

まずは最寄駅、地下鉄銀座線稲荷町駅の入り口。今井兼次です。


今回の目的地、同潤会上野下アパート。





ロシアアバンギャルド風のマッスの処理が特徴か。




通り側の棟の1階には店舗を入れています。

近所には復興小学校(旧下谷小)もあります~!



今回裏側もちょっとだけ道に面していることを教えてもらいましたが、蔦しか見えない(笑)

上野駅。大きい割には地味だなぁ。





せっかくのリノベなのに何かイマイチな感じがしてしまうのはなぜだろう・・・。


屋根がテントに変わって明るくなっていました。素晴らしい空間ですね~!


お、丸いものが・・・。


高架橋の支柱はチェコスロバキアのキュビズム建築のごとし。


この古レール造はいいね。なんか上野駅は古レール造の宝庫だなぁ。

恐る恐る都美術館を見に行ってみる。
前は公園から人を迎え入れるような形の配置だったけれども。。。

やっぱり新設した企画展示棟のボリュームはでかすぎ。


なんでこんなところにEV付けたのか。。。
しかもディティールが。。。


今回の増改築の設計は前川事務所ですが、良くも悪くも元の建築とは別の建物になった思います。

動物園の裏門でもみて癒されよっと。




都美の裏手方面は昔のまま。。
やっぱこの形鋼カーテンウォールは全体も縦長じゃなきゃ駄目でしょ。


ところで奏楽堂ってこんな風に見えてましたっけ?


その向かいの閉鎖物件。これって何?


みんなが大好きな京成の旧博物館動物園駅入り口。


黒田記念館は大改修中。すげぇな。。。


子ども図書館は増築工事中で正面に現場小屋がドンドン、と建っています。
写真では切ったけど。


さぁてケーキでも買って帰えろっと。


たまたま目に入った光景。解体中なの!?


結構歩いたんで疲れ申した。
上野から家までってケーキを持って帰るにはちょっと遠いんだけれど、
しかしここのケーキは美味しい、買って帰り甲斐がありました。
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「家元」と「家元制度」を切り分ける

例によって茶室>茶の湯への横道的な好奇心から
「近世茶道史」と「家元の研究」を行ったり来たりしながら読んでいます。
歴史にも茶道にも疎いプラナリアには結構難儀なことになっていますが、
併読することでおぼろげながら見えてくることも。

歴史学、社会学の視点から家元及び家元制度に関して掘り下げた研究をしている
西山松之助著作集〈第1巻〉 家元の研究 (1982年)」。
この本は家元や家元制度という言葉について重要な概念規定をしていて、
今でも時々引用されているようなので、
本題の茶の湯関係の話の前に、まずは備忘録としてメモしておきます。

家元とは;
1.伝統的な家芸又は芸能血脈(血縁に限らない)の正当を伝えると共に、
 そのことを根拠に、保有する一切の権利を独占している。
2.師匠と弟子が存在すると共に、弟子が無制限に増加することによって
 いっそう繁栄する文化領域に成立する。
 また、家元社会が膨大になっても恒久的な封鎖性を持つ。
3.経験的感性によって練磨する技能を主体とする芸能文化の領域で、
 その技能を秘密にすることができ、かつそれが無形文化財であるところに成立する。

家元の独占する権利;
1.技能に関する権利(秘匿権、上演権、「種目」「型」の統制・改訂権)
2.教授、相伝、免許に関する権利
3.賞罰、破門などの権利
4.装束、称号などの権利
5.施設ならびに道具を統制する権利
6.上記の諸権利によって生じる収入の独占権

家元制度;
家元は平安期には成立したが、家元制度として特殊な社会組織を構成し、
独自の文化機能を発揮したのは江戸時代からである。

1.完全相伝をする家元は家元制度を構成することはできない
  完全相伝=
  家元が秘技・秘伝を最高弟子などに皆伝し、
  それと同時に免許皆伝相伝の全権利をも譲り与える相伝形式
 →家元制度を構成するためには家元が相伝権を独占する必要がある。
2.弟子は上下統属の身分関係に組み上げられた「名取制度」を構成する。
3.家元と弟子との関係は擬制的な家族的結合をなす。

家元の技能の絶対的優位性;
家元的家父長権力の源泉=技能の絶対的優位性
但し家元が技能そのものに全く関与しない場合もある

無能力者が全能の座につくための条件設定
「秘儀の神典」をつくる(秘伝書等)→その秘儀・秘伝を相伝する

相伝;
1.相伝は、古い伝統による家元の家芸として伝授される。
2.相伝は、原則として技能に関するものであり、秘することができる。
3.相伝される神秘の神典は、流儀の技能実演に関する積極的原理で、
 その成立は神聖なものとして神秘化されている。
 また、神典伝授は免許皆伝の印可を意味し、
 被相伝者はこれにより技能の再生産をすることができる。
4.相伝に種々の種類と段階を設定することで、家元制度のヒエラルキーを構成する。
 また、頂点に最高深泌の秘伝を設定することで、
 一子相伝による家元の世襲制度を体系化する。
5.相伝は江戸時代にもっとも流行し、外来の新文化なども
 おおよそ秘技として特権化しうるものは
 相伝の体系をととのえて新流を創設するものが少なくなかった。

相伝の種類;
一代相伝、一日相伝、出入相伝、返り相伝、依勅相伝、一子相伝

以上で大体160P、以降実例に即して家元/家元制度の分析が350P、まとめが40P!!
最後の40Pと解説を読めば本書の主旨は分かるのですが、
歴史研究として面白いのは実例研究の部分かもしれませんね、
素養が無いプラナリアにはなかなか歯が立たないのですけれども、
でもこの部分で江戸期の千家や藪内家の家元制度確立について論じられていたり、
あるいは石州流が多数の流派に分かれた理由が考察されていたり
(単に完全相伝だった、で終わらせずに、完全相伝であった背景にも踏み込んで分析)、
はたまた本願寺派が家元制度的な制度を先行して組織していたという指摘があったり。

原著(1959)は半世紀以上前の本で、著作集への収録に際して増補改訂はしていないとのこと。
いやいや凄い本、研究です。手怖いけれども面白い。古本高いなぁ。
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それでも紙媒体が好き

一昨日K市をネタにしたBLOGを書いたら速攻でバチが当たり、
市役所某部署に申請していた件に関して再度丁寧なご指摘を頂戴してしまった。

さて、さっそく読んでみました、ペヨトル興亡史。
(「ペヨトル工房興亡史」ではなくて工房と工房をかけて「ペヨトル興亡史」なのね)

スタートが出版をやめるに至った話で、結構痛切感があります。

ペヨトル興亡史―ボクが出版をやめたわけペヨトル興亡史―ボクが出版をやめたわけ
今野 裕一

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当方「夜想」よりは「Wave」の方が馴染深かったかな、
何れにせよ個性的な出版社、と言う程度の認識だったんだけど、ちょっと理解が足りなかった。
出版だけでなくイベントの企画、プロデュースなどジャンル横断的な活動をしていたのですねぇ。
坂本龍一のカセットブック「アベック・ピアノ」もここの企画だったとは。
まぁ、バブル前って景気悪いと言われていたハズだけど、こうしてみると結構面白い時代だったんだ。

あと、当時の一大文化牽引役、セゾングループ系との具体的な関係も始めて知りました。
トレヴィルやリブロポートと違って直接の資本関係があった訳ではなく、
あくまでパートナーとして組んでいたのね。

それにしてもリブロも青山ブックセンターも無い今(リブロはあるけど)
いったいどこの本屋に行けばいいのかしらん。
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