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燕庵で気楽にお茶を

ようやく少し余裕が出て来たのと、さすがに気力が切れたのとで、
久々にお茶関係の読書を再開。

古田織部―桃山文化を演出する (角川叢書)古田織部―桃山文化を演出する (角川叢書)
矢部 良明

角川書店 1999-07
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著者の矢部良明さんは陶磁器の専門家であることを強みに茶会記を読み解き、
茶人の芸術観に迫るという方法論で何冊も著作をものにされていて、
プラナリアも「茶人 豊臣秀吉」、「千利休の創意―冷・凍・寂・枯からの飛躍 」と楽しく読ませて頂きました。

本書もいわば「良明節」炸裂と言う感じである面既視感もありますが、
とにかくお茶や焼ものはおろか茶室にも露地にも詳しくないプラナリアにとっては
まぁまぁ同じようなロジックで展開するので安心して読めます。

で、本書で織部の人となりに触れているなかで、これは良い話だなぁ、というのがありまして。

難しい作法は織部には無理だと有楽は諦めて、点前をやめ、二人で茶席に横になって寝ながら茶を飲んだ。

出典は「草人木」という江戸初期の茶書だそうですが、いやー、素敵すぎます。
特に織田有楽は犬山に移築され現存している「如庵」の、
古田織部は京都藪内家に写しが現存している「燕庵」の設計者として
共に茶室建築に大きな影響を与えた人物ですから、
その名匠たちがこんなに自由なのは眩しすぎます。
(まぁ、名人だからこそ許されたとも言えるのかもしれませんが)

で、著者の矢部氏は織部の茶室に対する姿勢は利休のように先鋭的ではなく、

利休茶席を発展させようという織部の意思を資料の中に読み取ることはできない

とされていて、例えば一般には織部の発案によると言われている事績も
・中柱や壁止めを竹にした・・・秀吉に先例
・墨跡窓・・・利休に先例
・深三畳台目席脇の二枚障子で隔てられた小間(燕庵形式)・・・源流は利休
と散々です(笑)。
もっとも矢部氏がそこのとで織部を批判している訳ではなくて、

厳しい美学を追及するよりも、心安く平穏な美しさを提唱している

と解している訳ですが。

あー燕庵みたいなぁ。。。

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