読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

テレビの黄金時代 小林信彦 文春文庫

2005-12-11 16:56:58 | 読んだ
小林信彦って、テレビ界でそれほどスゴイ人だとはあまり思っていなかった。
ファンだといいながら、あまり知らなかったのね。

これまで読んできたものからは「傍観者」的な、いわゆる「芸能界」からは一歩引いたポジションにいる人、というのが印象であったが、どうも読みが足りなかったようである。

多くのバラエティ番組に携わってきた人であった。そして思い出したのである。「中原弓彦」という名前でテレビにかかわってきたのだということ。

そしてもう一つ、この「テレビの黄金時代」は文芸春秋に連載されたもので、それをリアルタイムで読んでいたのであった。
なんだか「既視感」のようなものがあって「ああオレってやっぱり小林信彦と同じようなことを考えているなあ」なんてバカなことを思っていたりしたのであった。

このテレビの黄金時代は、テレビ(バラエティ)と微妙な関係を持ってきた、そして客観的な視線を持っている人であって、加えてそのことを書き残さなければならにという使命感を持っている著者でなければ書けないものだ。

どこかでその気になれば「青島幸男」「前田武彦」「大橋巨泉」のようになれたとおもうが、その気にならなかったからこそ、自慢にならず、臨場感のあるものになっている。

読み終わって、テレビって、実はバラエティがその最大の特徴なのではないか、と思わされた。「多様性」こそがテレビで表す最大のものではないか。
そう考えれば、今のテレビは「多様性」というのがなくなったのではないか、と思う。
つまり、テレビで何をするのか、ということがテレビが始まって50年以上を経過してもまだまだ、作るほうも観るほうもよくわかっていないんだろう。

そういうことを、この本の冒頭「イグアノドンの卵」を読むと、はじめっから予測されていたことなんだと思う。
コメント
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