読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

男ぶり-しゃばけシリーズ- 畠中恵 小説新潮2月号

2007-01-30 22:39:18 | 読んだ
しゃばけシリーズである。

おなじみ江戸通町の廻船問屋兼薬種問屋・長崎屋の若旦那・一太郎が主人公で「妖(あやかし)」が登場する物語。

今回は
長崎屋を含む通町で火事がおき、長崎屋も類焼し、一太郎たちは焼け残った土蔵に仮住まいをしている、という出だしである。

病弱な一太郎は母たちが暮らす土蔵の倉座敷で、兄(といっても母が違う)の縁談について思っていた、そして母・おたえに
「どうして手代だったおとっつぁんと、婚礼をあげたの?」
と尋ね、母が父と結ばれる話を聞くのであった。

一太郎の祖母でおたえの母「おぎん」は皮衣(かわごろも)の名を持つ、齢三千年の大妖である。
その娘であるからして、母もタダモノではない。
そのタダモノでない母がどうして奉公人の父と結ばれたか、今回はそのお話である。

一太郎と同様に母・おたえも妖が見え妖と話すことができる人であった。
そしてその妖たちの力を借りて恋する人の抱える事件の謎をといたのである。
そしてそれが・・・

この物語-しゃばけシリーズ-も読後がほんわかするものである。
妖(あやかし)たちが登場するが、この妖怪たちが「悪」ではないのである。ただし妖怪であるから普通の人とは考え方が違うのであるが・・・

主人公・一太郎の設定が病弱であることとやさしいことが、妖怪が登場し時には殺人事件が起きるこの物語を殺伐としないものにしている。
コメント
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