こんにちは。醒龍です。
今日はジミー・ウォングの古い映画です。(ジミーさんの72年の作品)
メディアは現在ではほぼ絶滅状態のVCDです。VCDは大抵2枚組となっており、1本の映画が1枚目と2枚目に残念ながら分割されてしまいます。この切れ目が一定でなく、VHSからメディア・コンバートしたような粗悪品のディスクとなっていました。なので価格は安いものが大半でした。当時は大陸盤として多数のカンフー映画がリリースされていました。香港でよく売られていたのは割と品質も良い物でしたが、私はパッケージを見て何が入っているのか分からない大陸盤VCDが好きだったのですw。
ジミー・ウォングのDVDも2タイトルが1枚に収録された格安DVDもよく買いましたが、この『狂風沙』もそんな海外のシリーズに入っていました。こんな映像ソフトは英語音声であるケースが殆どで海外から送ってもらうと、黒いプラスチックのDVDパッケージ・ケースが頻繁に割れていたりしてましたねw。(しかも安っぽいプラスティック!!)幸運(?)にもDVDが見れない事は1度も無かったのですが・・。
現在はかなりご高齢になってるジミー先生ですが、数年前に倒れる前の舞台でのトークショー映像なんかを観たりすると、うれしくなりますね。また元気な姿で登壇してもらいたいものですね。
この映画『狂風沙』は、分類学上ではカンフー映画ではありません。これは民初動作片になります。ガン・アクションがありますから西部劇のような映画と言えるでしょう。原作が台湾の小説家によるもので、同名の小説が出版されています。
エスキモー・ハットをかぶり、『狂風沙』の文字通り、狂ったような強風の砂漠の中を馬に乗って登場するジミー・ウォングはメッチャ恰好いいのです。もちろんジミーさんが主人公で名前は関東山という名です。
共演者には田野(ティエン・イエー)がいます。この田野さんはジミーとの共演が本当に多いですね。ぴったりの好敵手です。貫禄のあるお顔をしてるので、この方が出てくると安心します。台湾で活躍されていたので香港の監督作品ではお目にかからない人です。この映画では朱四という冷酷な匪賊の役です。
物語は、十年前に匪賊の長、朱四によって六合幇の老大らが殺害され唯一の生き残りとなった主人公・関東山が復讐を果たそうとします。やがて土地の有力者グループ萬家楼の権力をめぐって内部の闘争が勃発するというストーリーです。後半ではスリリングな展開となり、次々と登場人物が倒れていきます。
中盤でマンディンゴの曲("Invocation To The God's")がかかる場面がありますが、よく見られる1対1、サシの対決です。ここが見せ場ですね。ブーツに何本も差したナイフを抜いて勝負に挑むジミーさんは必見。全編を通して西部劇っぽい展開で結構盛り上がります!
原題にある言葉、Adventureと言いながら何のアドベンチャーなのかと思ったら、フタを開けてみればキーワードは"traitor"(反逆者)だったりするのですが、別名のIron Fistから悪人へ鉄拳を振るう主人公の姿をモチーフとしているのではないでしょうか。後年、映画を買い取った某カンパニーが補足する意味でIron Fistを付け加えた可能性もあるでしょうね。
ラストでジミーさんと死闘を繰り広げるのは、劉維斌(リュウ・ウェイビン)という珍しい俳優さん。ジミーさんは血を大量に流しながら彼のナイフ攻撃に耐え、形勢逆転の機会を窺います。どんなに斬られようとも不死身のジミーさんは立ち上がって敵に向かってゆくのでした。
『狂風沙』(72)
The Adventure (AKA The Iron Fist Adventures)
Jimmy Wang Yu
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