パリ中心部の交通規制で早めにホテルに引き上げた日の夜に、ちょっとおめかしして、予約していた国鉄リヨン駅構内にあるレストラン「ル・トラン・ブルー」に参りました。
国鉄リヨン駅には地下鉄14号線が乗り入れている様ですが、私達が利用した1号線は乗り入れていませんで、メトロリヨン駅で下車し、1度地上に出て目の前の国鉄リヨン駅に向かいました。国鉄リヨン駅はリヨン、ニース、マルセイユなどのフランス南部方面へ行く列車の始発駅であり、新幹線TGVも発着しています。
<リヨン駅>
日本的な感覚では、駅中のレストランというと何だか落ち着かない感じがしますが、この「ル・トラン・ブルー」は歴史的建造物に指定されていて絢爛豪華な店内でよく知られたレストランです。
このレストランの創業は1901年。1900年のパリ万博で大勢の旅客が訪れることを見越して作られたそうで、リヨン駅の西側2階にあります。お洒落な階段を上がると、入り口は回転式の木製の扉でした。
<入口>
予約していた旨、伝えるとすぐ席に案内してくれました。7時に予約していましたが、フランスの夏の7時はまだまだ夕食の時間ではないらしく、お昼の様に明るい広い店内には、ほんの数組のお客しかおられません。
料理を決め、座っている席から絢爛豪華な店内を眺めてみました。「これが駅中のレストラン?」と思わず目をみはりました。こんな内装をベル エポック調というそうですが、そういうことに疎い私にはよくわかりませんね~。壁から天井はぼぼすべてパリ、マルセイユ間の風景を描いたらしい絵画で装飾されています。その絵画が金色や白い枠でデコレーションされているので、まるで宮殿の中だと錯覚しそうな感じです。
現代では私達でも気軽にここで食事を楽しめますが、このレストランが開業した20世紀初頭の人々にとって、このレストランで食事をして、リヨン駅発の列車に乗り南仏方面を旅行することは、お洒落で、スタイリッシュなことで、限られた人だけが味わえる究極のステイタスシンボルだったのではないかと思わせられます。100年以上前に造られたこの駅やレストランは、南仏に向かう色々な人々の人生ドラマを見て来たというわけですね。
テーブルの上には、正統派のフランス料理だと感じる白いテーブルクロスと銀のカラトリー。最初に食前酒のスパークリングワインが運ばれてから、丁度良いタイミングで料理が運ばれてきますが、それを写真に撮るのは、何となく憚られる雰囲気。それはお城の様なこの雰囲気と、サービスして呉れる人達がとても礼儀正しかった為かもしれません。家に持ち帰ったメニュウ表を添付してみますネ。
お料理はエレガントなフランス料理といった趣でしたが、量が私達日本人には多すぎる様に感じました。かなり大食家の夫でも「少し多すぎだね」と言っていまし、特にデザートなどは「えっ!」と感じる位の量でした。出される美味しい赤ワイン、白ワインなどとともに雰囲気を楽しみながらお料理を頂いていると、3時間位はあっと言う間に過ぎてしまいました。
食事が終わり回転式の木製の扉を押して外に出ると、下の写真のようなリヨン駅のホームが見えました。途端にまた南仏に行きたいな~という気持ちになりました。もうこの歳ではおそらく無理でしょうが。(下の駅の写真はまだ明るいうちに撮りました)
<国鉄リヨン駅構内>