パリのホテルに着いたのは7月27日の夜8時頃でした。この日の夜のパリはかなり涼しく、少し厚めの上着を持参しなかったのを後悔するほどでした。今回の旅行は自分達で計画を立て、好きな場所に行くことが出来る自由観光の旅でした。
そこで翌日にオペラ座の内部見学から街歩きを始めました。パリに行かれた方はオペラ座の前を必ずといっていい程、歩いたり又バスで通過したりされますので、オペラ座正面の美しさは充分ご存知でしょうが、その内部も絢爛豪華でそれはそれは美しいものでした。<オペラ座>
オペラ座は7月中旬から8月下旬頃まで夏休みに入り、この間は何も上演されないそうですが、内部見学だけは出来る様です。内部見学のチケットは、オペラ座正面に向かって左側面の、この劇場の設計者ガルニエの胸像がある入口から入り、まずセキュリティチェックを受けた後、その先にある窓口で買い求めます。そしていく種類かあるリーフレットの中から日本語のを選び、いよいよ見学開始です。
<ガルニエ像>
順路に添って進むと、まずこんな可憐な像が現れました。
そして、いよいよ正面の大階段に出ます。大階段の両方の手すりが始まる部分は、二人の女性が光の花束を手に持つ、こんな美しい鉄製の大燭台で装飾されていました。
<大燭台>
そして広々とした白い大理石の階段部分とピンクがかった大理石の手すり部分、神々しい程です!
<大階段>
大階段の踊り場に出ると、カリアティードというのでしょうか、二人の女性像に支えられたゲートがあり、ここは一回ボックス席への入り口です。
<ボックス席入口>
上の写真で見学者の中に白い怪人のマスクをつけた人が写っていますが、このマスクはこの劇場のどこかで売られているのでしょう、つけている人をよく見かけました。
ここから反対側の二階バルコ二ーを見上げると、こんなに美しい豪華なバルコニーになっていました。
<二階バルコニー>
このバルコニーをこちら側から見ていると、この劇場でオペラやバレエが盛んに上演されていた19世紀終わりの時期、着飾った上流婦人たちが、幕あいにこの辺りやこれから見学するアバンホワイエやグランホワイエなどを行き交い、社交を繰り広げている姿が目に浮かびます。
大階段踊り場から階段が二手に分かれ二階へと続いています。正面大階段から二階へと続くラインの美しさ、優雅さは何ともいえませんね~。高さ30mのこの吹き抜けになった大ホールと大階段の組合せが見事で素晴しい景観をかもしています。
<大階段と大ホール>
ふと天井を見上げると、自然光が入る天井でこんなきらびやかな絵で飾られていました。
<天井画>
写真にも幾つか写っていますが、こんな豪華な鉄製の照明がいくつもありました。当時の最先端素材の鉄と美しい大理石のコンビネーション、当時の人々にとって目を見張るものだったでしょうね~。
<鉄製照明>
二階に上がりグランホワイエに向かおうとすると、その手前にアヴァンホワイエがありました。この部分の中央辺りにバーカウンターが作られており、ワインや色々な飲み物が揃っていて、これを楽しまれている方々がおおぜいおられました。
<バーカウンター>
そしてこのアヴァンホワイエの両端には「月のサロン」「太陽のサロン」という二つの小部屋があります。
<月のサロン>
<太陽のサロン>
ここを通り過ぎるといよいよグランホワイエです。ホワイエとは幕間をここで過ごし、飲み物などを飲みながらおしゃべり、つまり社交をしたり休息したりする場なのだそうです。豪華な空間で驚きました。ベルサイユ宮殿の鏡の間よりは狭いですが、その豪華さにおいては上じゃないでしょうか? 劇場の中にこんな豪華な空間がなぜ必要なのか不思議です。現在でもオペラ座主催の晩さん会がここで開かれたりすると、何かに書いてあったのを思い出しました。
<グランホワイエ>
ではこのグランホワイエをもう少し細かく見て行きましょう。
グランホワイエの両端にはこんなものが置かれています。これは一種の部屋の装飾でしょうが、ここにもカリアティードが。フランス人はカリアティードがお好きな様ですね。大階段の踊り場にもカリアティ―ドがありましたね。この二人の女性、頭にこんなものを乗せられて重いでしょうね~(^-^)
二段になった、こんなに豪華なシャンデリアが10個も。ベルサイユ宮殿の鏡の間にもよく似たのがあった様な。
柱にもこんな装飾が。柱頭部だけではなく下部にもアカンサスの葉をデザインしたこんな手の込んだ装飾が。
<柱の上下部分の装飾>
部屋の入り口には細密な刺繍が施されたどっしりと重たそうな絹のカーテン。ため息がでる様な美しさ。触ったらどんな感じなんだろう?
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ふと上を見上げると、こんなに豪華な美しい天井画が描かれていました。絵がゴールドの枠で囲まれているので更に豪華に。リーフレットによると、この天井画はポール・ドーリー(1826-1886)によるもので、音楽史の様々な寓話を描いたものだそう。
<天井画>
オペラ座の装飾のメインモチーフは竪琴だそうで、そういえば部屋の入り口や窓の上部、ドアの取っ手など様々なところで見受けました。このゴールドの竪琴の装飾、オペラ座にピッタリですね。
<竪琴の装飾>
グランホワイエを見学していると端のドアが開いていて、ここは何だろうと出てみるとそこは何とオペラ座正面から見えるバルコ二ーでした。外なのでピンク色の大理石の柱などがハッキリ見え美しい空間でした。
<ロッジア>
このバルコ二ーを「ロッジア」というそうですが、ここから見える外の景色が素晴しかった! 正面にオペラ大通りがまっすぐ延びて、そのずっと先にルーブル宮まで小さく見えています。広い道幅、高さの揃えられた石造りの建物はいかにもパリって感じですね。
<ロッジアからの眺め>
このロッジアへのドアが開いていて、バルコニーへ出られるかどうかは運しだいだそうで、これはいかにもフランスらしい! 私達はラッキー!
次はボックスシート側を見てみましょう。ここがボックスシート側で床のモザイクタイルが美しいですね。左側のドアをあけると2Fボックス席にでます。
それではドアの一つを開けてボックス席に入りましょう。中に入るとこんな感じです。左右に赤いビロードのボックス席があり、下には1F観客席も見えます。金色の装飾と座席部分のロイヤルレッドの対比が美しい! この日は何故か緞帳が下がっていず残念。だまし絵の緞帳を見るのも楽しみのひとつだったのに。
<ボックス席>
<ボックス席と1F観客席>
観客席は伝統的な馬蹄型で全部で約2000席あり、舞台はヨーロッパ最大で450人を受け入れることが出来るそうです。オペラ座は見た目は石造りですが、当時の最先端建材である鉄を多用していて、この様な巨大空間を生み出せているのだそうです。
観客席の上を見上げると、よく知られたシャガールの天井画「夢の花束」が。
<夢の花束>
美しい色彩に軽いタッチで楽し気に描かれた天井画は1964年9月23日に除幕されたそう。大ホールやグランホワイエの古典的な天井画とは趣がまったく異なっているけれど、シャガールのこの天井画もとてもステキ! いまやオペラ座の代表的なものの一つでは。
舞台に向かって2F一番左側のボックス席NO.5はあるお方の指定席になっていて、光って見にくいですが「オペラ座の怪人の部屋」と書いてあるようです。怪人の部屋は覗けるようになっていたので皆様覗いておられました。私も並んで覗いてみましたが何も見えませんでした(^-^)
<怪人の指定席>
『オペラ座の怪人』という小説の中の怪人が、実際にいるかのような、この様なお遊びはなかなか楽しいものですね。
順路にそって進むと衣装などが展示されている場所に出ました。
<衣装>
そして最後がショップでした。ここでこんな手の平サイズの怪人の壁掛け人形を買いました。この怪人、何となくお洒落ですね~。顔半分にマスクをかぶっていますね(^-^) よく見ると「これは子供のおもちゃではありません」というタグが付いていましたよ。私はしばらく壁に飾った後、孫達と一緒に飾るクリスマスツリーのオーナメントにしようかな。
内部見学が終わり劇場を後にした時、何故かホッとしました。これでもかこれでもかという豪華絢爛な装飾を見せつけられ、桂離宮の簡素の美をよしとする日本人である私にとって、ちょっと食傷気味になっていたのかもしれません。
(最初のオペラ座正面の写真はネットよりお借りしました)