96歳の、脚を骨折した女性の患者さんがいます。
さすがに、もう歩くのは大変そうで、リハビリも今以上は
進まないような状態です。
今日、その方の回診の時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「長生きの秘訣はありますか?」と私が聞きました。
「そうねえ~あまり何も考えないことかね~それと貧乏よ」
「え?」
「私の若い頃は、貧しくて貧しくて、食べ物もなくて。
学校にも行っていないのよ。
だから頭も空っぽよ。
毎日たくさんのお弁当を作って、妹や弟をおぶって。
仕事ばっかりしてきたわ。
結婚しても、
おじいさんは7人の子供を残して先に逝っちゃうし。
それはそれは苦労したのよ。
多摩川をここまで(大腿部の付け根)浸かって渡ったり、
一生懸命働いて、働いて・・・・・
でも、いつか、長男に、このまま死のうかって言ったら
貧乏でも生きていこうって言われて・・・・・・・・・・・・・・
今は最高に幸せなんですよ。」
話を聞いているうちに、私には測り知れない苦労があり
苦しみがあり、悲しみがあったのだろうと想像できました。
川を渡る、この方の姿も目に浮かび・・・・・・
思わず、涙がでました。
「先生、ちょっときたわ・・・・・」と、たえきれませんでした。
何故かわからないけれども、今も歩くことができず
ほぼ寝たきり状態です。
それでも「今が一番幸せ」と、潔く言える明治女性に感動しました。
それに比べて、今はどんなに恵まれた生活なんでしょう。
この明治生まれの女性に、乾杯です。
その後、6月に公開される『終わりよければすべてよし』という
映画の広告を見て、まさにそうだと思いました。
この映画は、ターミナルの患者さんたちのドキュメンタリー映画の
様です。
今日は乾杯
人気blogランキングへ
久しぶりに、会った以前の職場のナース。
次男の中学生が不登校で悩んでいました。
進学校に通っている長男に対抗する気持ちが募ったのか
「頭の悪い自分、学校へ行けない自分」を攻め続けているそうです。
それでも助けられない母親。
難しくて、心が張り裂けそうになっていました。
でも、今は大変でもきっと、終わりがいいのかもしれません。
終わりよければすべてよし!
辛いけど、悩むしかないのでしょう。
子供の通信表に「2」があったって、学校へ通っているだけいいのだと
私も思いました。
緩和ケアも