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「新3本の矢」具体化急務 安倍改造内閣 「GDP600兆円」・財政再建の両立 経済再生待ったなし

2015年10月08日 | 経済
「新3本の矢」具体化急務 安倍改造内閣
「GDP600兆円」・財政再建の両立 経済再生待ったなし
2015/10/8 3:30 日経朝刊

 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が第2段階に入る。経済に子育て支援や社会保障を加えた「新3本の矢」だが、いちばん問われるのは首相が目標に掲げた600兆円の名目国内総生産(GDP)の達成と財政健全化を両立する具体策だ。日本経済再生は時間との競争になる。





 2014年度の日本の名目GDPは490兆円だった。なぜ600兆円が目標なのか。名目経済成長率が3%以上と高めで推移した場合、21年度にGDPが600兆円を超えるという内閣府の中長期試算を参考にしたのだろう。
 エコノミストの間では「達成には少なくとも10年かかる」(英調査会社キャピタル・エコノミクス)との見方があるが、デフレから完全に脱却して日本経済のパイを大きくしようという発想は間違っていない。問題はそのための具体策が伴っていないことだ。
 人口減少が続くなか、日本経済の実力である潜在成長率はわずか「0%台前半ないし半ば程度」(日銀)。経済の生産性を高める構造改革が急務なのはこのためだ。アベノミクス第1弾の3本目の矢である成長戦略を再起動すべきだ。
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を追い風に、農業・漁業や労働といった「岩盤規制」の改革を進める。企業統治の一段の改革や、法人実効税率を20%台に下げる道筋をつくる。そんな基本戦略を深掘りする必要がある。
 同時に、先進国で最悪の財政を立て直すことから逃げてはいけない。少子化対策の財源を確保しながら、医療など社会保障を徹底的に効率化するのは待ったなしだ。
 時間はあるようであまりない。異次元の金融緩和の下で日銀は市場から国債を大量に購入し続け、すでに全体の3割超を保有しているもよう。非常時の政策を無制限に続けられるわけがなく「今後2~3年がアベノミクスの勝負」とみずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは語る。
 世界はいま中国経済減速の影におびえる。08年のリーマン危機、11~12年のユーロ危機、そして「15年の新興市場危機という3部作のうち、3番目の初期段階に入っている可能性がある」(英イングランド銀行のチーフエコノミスト、ハルデーン理事)。
 中国の成長率が2年間で2%落ち込むと日本経済は年0.5~0.6%程度低下しかねない、と経済協力開発機構(OECD)は試算する。日本の景気後退局面入りの可能性すら指摘されるなか、アベノミクス第2弾は出発点から正念場を迎えている。
 安倍政権は世界経済の急減速という有事への備えを頭の片隅におきつつ、まずは経済成長と財政健全化を両立させる改革をかつてないスピードで断行すべきだ。
 新3本の矢である強い経済、子育て支援、社会保障は、政策の具体策となる「矢」というより目標としての「的」と言い換えた方がいい。やるべきは抜本改革を意味する「真の矢」を放ち続けることだ。
(編集委員 瀬能繁)