TDK、耐熱性高めた磁石 高価なレアアース不要に
ロボなどに利用
2015/10/30 3:30 日経朝刊
TDKは高価なレアアース(希土類)を使わず、セ氏130度の高温でも特性が劣化しない磁石を世界で初めて開発した。産業ロボット用モーターや風力発電機など耐熱性が必要な機器にも利用できる。産地が限られたレアアースが不要になるため原料調達ルートも多様化でき、コスト上昇リスクを抑えることもできる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/2f/e7f4193d4ab2d7aab871f915364e311f.jpg)
高価なレアアース「ジスプロシウム」を使わずに耐熱性を高めた。レアアースのなかでもジスプロシウムは産地が中国にほぼ限定され、1キログラム300ドル程度と価格が高い。2011年ごろには3千ドル程度まで高騰したことがあり、中国の内需拡大などで今後も供給が細る懸念があった。
磁石材料の構造や熱処理工程を工夫し、ジスプロシウムを一切使わずに熱に耐えられるようにした。ジスプロシウムが不要になることで、中国のほかに北米やアジアなどでも生産される割安なレアアースを利用するといった手法で調達リスクを低減できるとみている。
従来品は最高で90度までしか耐えられなかったため、ハードディスク駆動装置(HDD)のモーターなど利用範囲が限定されていた。130度でも磁石の特性が低下しないため自動車の電動パワーステアリングのモーターや発電機など用途が大幅に広がる。まず千葉県成田市の工場で月産数トンの生産を開始した。
産業用に使う磁石(ネオジム磁石)の市場規模は年間で1千億円程度とみられる。高性能磁石では日本企業の存在感が大きく、TDKは日立金属や信越化学工業とともに大手の一角を占める。TDKの磁石を含めた磁気応用製品の15年3月期の売上高は3692億円だった。
磁石メーカー各社は耐熱性を高めた磁石の開発に取り組んでいる。180度の高温に耐えれば電気自動車(EV)などの車輪の駆動に使うモーターにも利用できるようになる。材料構造の研究などに取り組み、用途拡大を狙う。
ロボなどに利用
2015/10/30 3:30 日経朝刊
TDKは高価なレアアース(希土類)を使わず、セ氏130度の高温でも特性が劣化しない磁石を世界で初めて開発した。産業ロボット用モーターや風力発電機など耐熱性が必要な機器にも利用できる。産地が限られたレアアースが不要になるため原料調達ルートも多様化でき、コスト上昇リスクを抑えることもできる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/2f/e7f4193d4ab2d7aab871f915364e311f.jpg)
高価なレアアース「ジスプロシウム」を使わずに耐熱性を高めた。レアアースのなかでもジスプロシウムは産地が中国にほぼ限定され、1キログラム300ドル程度と価格が高い。2011年ごろには3千ドル程度まで高騰したことがあり、中国の内需拡大などで今後も供給が細る懸念があった。
磁石材料の構造や熱処理工程を工夫し、ジスプロシウムを一切使わずに熱に耐えられるようにした。ジスプロシウムが不要になることで、中国のほかに北米やアジアなどでも生産される割安なレアアースを利用するといった手法で調達リスクを低減できるとみている。
従来品は最高で90度までしか耐えられなかったため、ハードディスク駆動装置(HDD)のモーターなど利用範囲が限定されていた。130度でも磁石の特性が低下しないため自動車の電動パワーステアリングのモーターや発電機など用途が大幅に広がる。まず千葉県成田市の工場で月産数トンの生産を開始した。
産業用に使う磁石(ネオジム磁石)の市場規模は年間で1千億円程度とみられる。高性能磁石では日本企業の存在感が大きく、TDKは日立金属や信越化学工業とともに大手の一角を占める。TDKの磁石を含めた磁気応用製品の15年3月期の売上高は3692億円だった。
磁石メーカー各社は耐熱性を高めた磁石の開発に取り組んでいる。180度の高温に耐えれば電気自動車(EV)などの車輪の駆動に使うモーターにも利用できるようになる。材料構造の研究などに取り組み、用途拡大を狙う。