#311 サマンサ・フィッシュ「Sucker Born」(Black Wind Howlin'/BSMF Records)
アメリカのブルースウーマン、サマンサ・フィッシュ、2013年リリースのセカンド・アルバムより。フィッシュ自身の作品。
フィッシュは89年、ミズーリ州カンサスシティ生まれ。シカゴのブルースクラブ「ローザズ・ラウンジ」に出演しているうちに、その美貌とギターの腕前が話題となり、2010年のシカゴ・ブルース・フェスティバルにも登場。自主制作盤、オムニバス盤を経て、マイク・ジト(先日、RSBで取り上げた人だ)のプロデュースで2011年に本格ソロデビューを果たし、ワールドツアーも行っている、いま一番注目されている白人女性シンガー/ギタリストだ。
まずは、ライブ映像を観ていただこう。トレードマークのミニスカート姿で登場したブロンド美女がフィッシュである。バックは、ベースのクリストファー・アレキサンダー、ドラムのゴーゴー・レイの男性ふたり。
抱えたのはシガーボックスタイプのミニギター。彼女はこれでスライドを弾き、デルタブルース風の泥臭いナンバー「Sucker Born」を歌うのだ。
その力強い歌声は、きっぷのいい姐さんという感じで、骨太でたくましい。ハンパな男など眼中になさそうな勇ましさといい、思い切ったスライドプレイといい、大先輩のボニー・レイットみたいではあるが、レイットより格段に肉感的で艶かしいのが、フィッシュのウリといえよう。ステージに立っただけで、男どもの視線を釘付けにするタイプだ。
ギタープレイのほうはまだ、若干不安定で荒削りな印象はいなめないが、弱冠24才の女子がこれだけ弾けりゃスゴいと思うよ、ホント。
曲は途中でスライドにエグいワウがかかり、さらにはテンポをチェンジ、縦乗りビートでぐいぐいと飛ばしていく。この辺の展開も圧巻である。
この曲やブッカ・ホワイトの「Shake 'Em On Down」のようなスライドを使った、デルタ系の曲が彼女は好きなようで、ステージでもよく聴くことが出来る。
一般ウケとか、流行とかとは余りにあさっての方向のサウンドなのだが、これが彼女が一番やりたいことなのだろう。ただ売れて有名になりたいだけなら、女優かモデルでもやっていればいいのだ。
ハイトーンがど迫力なシャウト、ワイルドなギター、そして圧倒的な訴求力をもつビジュアル。
彼女のことを際もの扱いするリスナーも少なからずいるだろうが、筆者が聴いてみて、彼女のブルースへの「愛」はホンモノだと感じた。けっして「世の中に出る切っ掛けとしてブルースを利用するだけ」、そういうまがい物ではないと思う。
レパートリーとしてファンクな曲も書いたりする、音楽的な幅の広さにも注目したい。サマンサ・フィッシュの今後の成長、目が離せないね。
アメリカのブルースウーマン、サマンサ・フィッシュ、2013年リリースのセカンド・アルバムより。フィッシュ自身の作品。
フィッシュは89年、ミズーリ州カンサスシティ生まれ。シカゴのブルースクラブ「ローザズ・ラウンジ」に出演しているうちに、その美貌とギターの腕前が話題となり、2010年のシカゴ・ブルース・フェスティバルにも登場。自主制作盤、オムニバス盤を経て、マイク・ジト(先日、RSBで取り上げた人だ)のプロデュースで2011年に本格ソロデビューを果たし、ワールドツアーも行っている、いま一番注目されている白人女性シンガー/ギタリストだ。
まずは、ライブ映像を観ていただこう。トレードマークのミニスカート姿で登場したブロンド美女がフィッシュである。バックは、ベースのクリストファー・アレキサンダー、ドラムのゴーゴー・レイの男性ふたり。
抱えたのはシガーボックスタイプのミニギター。彼女はこれでスライドを弾き、デルタブルース風の泥臭いナンバー「Sucker Born」を歌うのだ。
その力強い歌声は、きっぷのいい姐さんという感じで、骨太でたくましい。ハンパな男など眼中になさそうな勇ましさといい、思い切ったスライドプレイといい、大先輩のボニー・レイットみたいではあるが、レイットより格段に肉感的で艶かしいのが、フィッシュのウリといえよう。ステージに立っただけで、男どもの視線を釘付けにするタイプだ。
ギタープレイのほうはまだ、若干不安定で荒削りな印象はいなめないが、弱冠24才の女子がこれだけ弾けりゃスゴいと思うよ、ホント。
曲は途中でスライドにエグいワウがかかり、さらにはテンポをチェンジ、縦乗りビートでぐいぐいと飛ばしていく。この辺の展開も圧巻である。
この曲やブッカ・ホワイトの「Shake 'Em On Down」のようなスライドを使った、デルタ系の曲が彼女は好きなようで、ステージでもよく聴くことが出来る。
一般ウケとか、流行とかとは余りにあさっての方向のサウンドなのだが、これが彼女が一番やりたいことなのだろう。ただ売れて有名になりたいだけなら、女優かモデルでもやっていればいいのだ。
ハイトーンがど迫力なシャウト、ワイルドなギター、そして圧倒的な訴求力をもつビジュアル。
彼女のことを際もの扱いするリスナーも少なからずいるだろうが、筆者が聴いてみて、彼女のブルースへの「愛」はホンモノだと感じた。けっして「世の中に出る切っ掛けとしてブルースを利用するだけ」、そういうまがい物ではないと思う。
レパートリーとしてファンクな曲も書いたりする、音楽的な幅の広さにも注目したい。サマンサ・フィッシュの今後の成長、目が離せないね。
音曲日誌「一日一曲」#1~#100 pdf版もダウンロード出来ます