きょう誕生日のミュージシャン
ジョージ・ベンスンキース・レルフ(ヤードバーズ)ジェレミー・クライド(チャド・アンド・ジェレミー)アンドリュー・ロイド・ウェバーランディ・ホブス(マッコイズ)フランク・シ...
#312 ジェフ・ベック&スティング「People Get Ready」(The 25th Anniversary Rock & Roll Hall Of Fame Concerts/Time Life Records)
「ロックンロールの殿堂」25周年を記念して、マディスン・スクウェア・ガーデンで2009年10月に開かれたコンサートより。ジェフ・ベックとスティングの共演による、カーティス・メイフィールドのナンバー。
ジェフ・ベックは、黒人のブルースと同様に、ソウル・ミュージックの熱烈な信奉者でもあった。たとえば、 BB&Aのファースト・アルバム(73年)ではスティービー・ワンダーの「迷信(Superstition)」をいちはやくカバーしていたし、同じくライブアルバムではインプレッションズの「I'm So Proud」をレパートリーにしていた。
きょうの「People Get Ready」も、インプレッションズやカーティス・メイフィールドへのオマージュとして、ベックは何度も演奏している。有名なのは、85年のロッド・スチュアートとの共演バージョンだ。
2009年版は、スティングとの共演だ。ベックの前奏に続いて登場したスティングが歌い始めるのだが、ちょっとだけ違和感がある。声が少し違うのだ。かつて、ポリスにおいて印象的だった超絶ハイトーンが、いまひとつ出ていないような気がする。
ムリもない。スティングも2009年でおん年58才。フツーに考えたら、昔のような超高音域は歌えなくなっていてもおかしくない年齢だ。だからむしろ、転調した後のキーもなんとかカバーしているのはスゲーと思う。60近い人間には普通、出せないよ、これ。
この曲のオリジナルは、65年にリリースされたインプレッションズ版。グループとしては最大のヒットとなり、 R&Bチャートでは3位、ポップチャートでも14位に食い込んだ。「ロックンロールの殿堂」が選んだ500の名曲にも入っている。作曲者のメイフィールドにとっても、出世作といえるだろう。
歌の内容としては「All you need is faith to hear the diesels hummin' /Don't need no ticket, you just thank the Lord」といった歌詞でわかるように、宗教的なテーマをもっている。つまるところ、ソウル・ミュージックとは、神への敬虔な祈りなのだな。われわれ、信仰心の希薄な日本人には、あまりピンとこない世界なのだ。
週末に必ず教会に行き、礼拝する人々のなかから生まれてきた音楽を、われら日本人はいつになったら、内容まで含めてきちんと理解できるのだろうか。おそらく、今後も難しいような気がする。
でもまあ、そういう表層的な受容しかしていないという限界はあるにせよ、ヒップな音そのものに魅せられるということは、あったっていいと思う。
アメリカ黒人発祥であるソウル・ミュージックも、海を越えてイギリスに住む白人の若者たち(ベックやスチュアート、スティングたち)の心に届き、愛唱される。そして、彼らがまた全世界へ向けてそれをリコメンドし、日本やアジアなどにも浸透し、いわば世界共通の音楽として広がっていくのである。
白人のロックミュージシャンたちが、そういうふうに人種音楽であったものを紹介して、普遍的なレベルにまで押し上げてきたという功績を、もっと評価していいんじゃないかな。
ギターの神様、ジェフ・ベックの原点はソウル・ミュージックにあり。ファンの人たちも、彼の音楽だけ聴くんじゃなくて、そのお手本となった音楽もちゃんと知ってほしい。そう思う筆者なのであります。
「ロックンロールの殿堂」25周年を記念して、マディスン・スクウェア・ガーデンで2009年10月に開かれたコンサートより。ジェフ・ベックとスティングの共演による、カーティス・メイフィールドのナンバー。
ジェフ・ベックは、黒人のブルースと同様に、ソウル・ミュージックの熱烈な信奉者でもあった。たとえば、 BB&Aのファースト・アルバム(73年)ではスティービー・ワンダーの「迷信(Superstition)」をいちはやくカバーしていたし、同じくライブアルバムではインプレッションズの「I'm So Proud」をレパートリーにしていた。
きょうの「People Get Ready」も、インプレッションズやカーティス・メイフィールドへのオマージュとして、ベックは何度も演奏している。有名なのは、85年のロッド・スチュアートとの共演バージョンだ。
2009年版は、スティングとの共演だ。ベックの前奏に続いて登場したスティングが歌い始めるのだが、ちょっとだけ違和感がある。声が少し違うのだ。かつて、ポリスにおいて印象的だった超絶ハイトーンが、いまひとつ出ていないような気がする。
ムリもない。スティングも2009年でおん年58才。フツーに考えたら、昔のような超高音域は歌えなくなっていてもおかしくない年齢だ。だからむしろ、転調した後のキーもなんとかカバーしているのはスゲーと思う。60近い人間には普通、出せないよ、これ。
この曲のオリジナルは、65年にリリースされたインプレッションズ版。グループとしては最大のヒットとなり、 R&Bチャートでは3位、ポップチャートでも14位に食い込んだ。「ロックンロールの殿堂」が選んだ500の名曲にも入っている。作曲者のメイフィールドにとっても、出世作といえるだろう。
歌の内容としては「All you need is faith to hear the diesels hummin' /Don't need no ticket, you just thank the Lord」といった歌詞でわかるように、宗教的なテーマをもっている。つまるところ、ソウル・ミュージックとは、神への敬虔な祈りなのだな。われわれ、信仰心の希薄な日本人には、あまりピンとこない世界なのだ。
週末に必ず教会に行き、礼拝する人々のなかから生まれてきた音楽を、われら日本人はいつになったら、内容まで含めてきちんと理解できるのだろうか。おそらく、今後も難しいような気がする。
でもまあ、そういう表層的な受容しかしていないという限界はあるにせよ、ヒップな音そのものに魅せられるということは、あったっていいと思う。
アメリカ黒人発祥であるソウル・ミュージックも、海を越えてイギリスに住む白人の若者たち(ベックやスチュアート、スティングたち)の心に届き、愛唱される。そして、彼らがまた全世界へ向けてそれをリコメンドし、日本やアジアなどにも浸透し、いわば世界共通の音楽として広がっていくのである。
白人のロックミュージシャンたちが、そういうふうに人種音楽であったものを紹介して、普遍的なレベルにまで押し上げてきたという功績を、もっと評価していいんじゃないかな。
ギターの神様、ジェフ・ベックの原点はソウル・ミュージックにあり。ファンの人たちも、彼の音楽だけ聴くんじゃなくて、そのお手本となった音楽もちゃんと知ってほしい。そう思う筆者なのであります。
音曲日誌「一日一曲」#1~#100 pdf版もダウンロード出来ます