精密板金加工で使うCAD/CAMについて。
神奈川県 横浜市 精密板金 丸井工業(株)公式ブログです。
「精密板金について」「精密板金加工とは」など、精密板金加工全般について丸井工業の事例などを含めて紹介致します。
精密板金加工で使うCAD/CAMは設計や製図で使うCADとはチョット違います。すでに書かれた図面から加工に必要な展開図をつくるためににCADを使います。精密板金業界にCADが導入される以前はもちろん展開図は手書きが当たり前、確認作業を含めて相当時間が掛かっていました。CAD/CAMとはCADで作成した展開図をCAMで加工機用のプログラムにして加工機に転送します。丸井工業のCAD/CAMオペレーターはパソコンの操作技術よりも自社の保有金型や加工技術を熟知して最適な加工を目指したプログラム作りが要求されます。
▲ 社内には教育訓練(スキルUP)により数名の者がCAD/CAMを操作できるスキルを有しています
▲ CADを使い図面に書かれたパネルを展開図にした図です
▲ CAMはNCT加工機やレーザー加工機用にプログラムを作成します(これはNCT加工機用)
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精密板金の丸井工業
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深い曲げや複雑な曲げ作業について。
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精密板金加工には「曲げ」というプロセスがあります。人が手で紙を曲げるのとは違い、金属板(鉄板・アルミ板・ステンレス板)を曲げるためには曲げ専用の機械(ベンダーとかプレスブレーキと呼んでいます)を使います。曲げが多く複雑に曲がった形状になる物は順番を考えずに曲げて行くと金型が外せなくなったり、板金が機械にぶつかって曲げられないなど、図面上の見た目には曲がると思っても実際には曲がらないということがあるので、機械のオペレーターや工程設計をしている者はいろいろな要素を検討してから作業をはじめます。特に幅が狭く深い曲げを行こなう時は板金が機械や金型(曲げ型)にぶつかってしまうことが多いので、通常とは違う機械のセッティングが必要になります。下の写真の様に金型を留めている中間板に板金がぶつかってしまうことが想定される場合は、中間板を外して板金が中間版に当たらない様なセッティングを行います。曲げる前は平たい板ですが、曲げの作業は工程を重ねる度に立体になって行くので製作数が多い場合など置き場所なども考えながらの作業になります。
▲ 数が多いので重ねても製品の表面に細かなキズが付かない様に青い保護シートが付けてあります
▲ 100mm位の深さが有る曲げです 曲げの近くにはバーリング加工などもあります
▲ 中間板をよけて板金が曲がっています
▲ 中間板を外した部分です 通常はこの場所にも中間板が並んでいます
▲ 金型が板金製品の中にピッタリ納まる様に幾つかの金型を組み合わせて曲げます
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絞りの中に作るバーリング加工について。
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丸井工業のバーリング加工はNCT加工機を使い板金材料が平らな状態で行います。板金の縁に近い場所や曲げ後にしかバーリング加工が出来ないなどNCTが使えない場合はケトバシを使います。しかしケトバシはふところ(加工出来る範囲)が狭いので加工出来る板の大きさに加えて、曲げた後の場合ではさらに高さにも制限ができてしまうので使える範囲が限られてしまいます。このようにNCT加工機もケトバシも使えない場所にバーリング加工をしなければならない場合。比較的ふところが深く高さもあるインサートマシン(ヘガー)を使ってバーリング加工を行います。下の写真は展開した大きな板金の中心部にある絞り加工の中心にバーリングを加工を行った事例です。
▲ インサートマシンにバーリングのツールを装着したところです
▲ 展開した大き目の板の中心部にある絞り加工内にバーリング加工を行います
▲ NCT加工機で作った絞りの中心部に後からインサートマシンでバーリング加工をしました
▲ バーリング加工が終わった板を裏面から見た写真です バーリング内部にタップ加工します
▲ ネジを使って部品を固定すれば絞りの高さ分だけ部品を板から浮かすことができます
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板金材料の縁に近い圧入加工について。
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精密板金加工は、薄い板金材料(鉄板・アルミ板・ステンレス板)を曲げたり溶接して、いろいろな形の物を作ります。出来あがった物には電子部品や電子基板などをネジ(ビス)で組み付けますが、そのネジを直接板金材料に取り付ける加工があります。これは板金材料に下穴をあけてその穴に専用のネジを打ち込み固定する圧入加工(カシメ加工)の一つでスタットネジ(カシメネジ)などと言っています。板金に直接ネジが付いている状態で配線や組立作業が出来るのでとても便利な加工方法ですが板にネジを押し込むという特性上押し込んだ時の圧に耐えるだけの板がネジの周りに残っていなければなりません。写真の様に切り口からギリギリの位置にスタットネジの加工指示がある場合、スタットメーカー推奨の圧を掛けると周辺が大きく変形してしまうので余肉を付けて加工後に切断をするという方法をとります。これはあくまでもお客様の了解を得た上での加工です。極端に板の縁に近い場所にスタットネジを付ければネジを押さえている周りの板金材料が少ないので取れやすい事は確かです。できればこのような設計は避け頂けられた方が良いと思います。
▲板厚1mmのアルミ板とM3スタットネジです ネジのフランジ部分が板に食い込み固定されます
▲ スタットネジの位置は板の縁から5.6mm 板の縁の変形が起こり始めるギリギリの位置
▲ スタットメーカーの推奨圧で加工 微量ですが板の縁は変形します(膨らみます)
▲ 板の縁から2.5mmの位置に加工した場合 極端に膨らんでしまいます
▲ 板金の変形を押さえる為に余肉を付けスタット圧入後にこの部分を切断して整えます
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プリント基板の取付レールを金属板で加工します。
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プリント基板(電子基板)の多くはビス止めで装置内に固定されています。大抵の場合は基板を取り外すことが無いのでこの方法が主流ですが、メンテナンスやオプションなど後から基板を取り外したり追加する場合ビス止めは作業性が悪くなります。そこで、外部から基板の抜き差しが容易になる様に、ビス止めはせずに基板を差し込む溝が付いたレールを使います。丸井工業が保有しているNCTの特殊金型の中に”マルチブラケット”と呼んでいるレール(ガイド)を絞り加工によって板金に加工できる金型があります。基板を抜き差しする必要がある装置などはプラスチック製のレールを基板ケース(ボックス)内に取り付けているのを見かけますが”マルチブラケット”は鉄板に直接レールを作れるのでプラスチック製のレールなど後から別の部品を取り付ける必要が無くなります。マルチブラケットの長さは数種類用意しているので組み合わせによっていろいろな長さの基板に対応ができます。また、マルチブラケットはレールとして使用せずに基板を固定する為の金具の役目もします。アイディア次第で色々な使い方が出来そうな金型です。特殊金型マルチブラケットの加工アニメーション(こちらをクリック)をご覧ください。
▲ マルチブラケットをケースの上下に使った基板ケースです
▲ マルチブラケット(レール)の前後は少し広めに基板を入れるガイドになっています
▲ 基板と基板のピッチなども自由に配置が出来ます(最小値の条件はあります)
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