寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

幸運の女神様(十)

2010年09月06日 09時31分52秒 | 日記
準備万端の川中部長と鬼塚課長♪
二人揃って本社に向かいました。
会議室には予想通り佐伯本部長がいらっしゃいました。
この会社たとえ派が違おうが上下の厳しい会社です。 『失礼します』
『失礼します』
入室すると最敬礼です。
直立不動で『川中です』『鬼塚です』
まるで軍隊みたいですね…(笑)
『ご苦労様』
佐伯本部長は軽く会釈を交わして席を勧めました。
『今日お呼び立てしましたのは…』 『ゴクリ…』
大体が上役が丁重な言葉使いから始まるとロクな話しではないのは通り相場です。
『鬼塚課長にはしばらく他の事業部を手助けして頂けたらと思いまして~』
(そ―ら来たぞ)
川中部長と鬼塚課長は顔を見合わせました。
『鬼塚課長は今自分の部署を立て直しをしているので手一杯の現状です』
『はい!もう少しでいけます』
『ふーむ』小首をかしげながら鬼塚課長をジロリと見ました。
『何かね~今の部署を立て直すから待ってくれ、と言うのかね…』
『はい』蛇に睨まれたかえるです。 『会社の指示は来月から…となっているのだよ』
『来月…ですか』 川中部長は思いました。半月では話しにならないぞ。 鬼塚課長は必死の形相になりました。『もうしばらく時間を下さい。必ず立て直しますから』
『ハハハ♪立て直すのは次の部署だよ』移動は決まったよ!と宣言しているようでした。『それで次に行って頂く部署は…』『ち、ちょっと待って下さい』
慌てて川中部長が遮りました。
次の部署を聞いたりしたらもう最後です。
『佐伯本部長、彼が成績不振のままに移動となりますと本人のこれまでの努力が無駄となります』
だからどうだと言うのだ…ジロリと川中部長の方をにらみました。
『はい!ですから後、半年ほど猶予を頂きたいのです』
『半年!』その根拠は?佐伯本部長の銀縁のメガネが光りました。
ここが正念場です!
『はい!実は現状と原因、対策をご報告申し上げたいと思いまして資料を用意してきました』
昨夜遅くまで掛かって作ったものです。
『資料?』
怪訝な表情の佐伯本部長は小首をかしげました。『君達は何か勘違いをしていないか…』川中部長は書類を出し掛けた手を止めました。

『どんな書類か知らないけど鬼塚課長の移動は内定だけど社命だよ』
ガビーン!ときましたね(笑)
『しかし鬼塚は全くのゼロから立ち上げましたから…』
『だからどうだと言うのかね~』
佐伯本部長は顔色一つ変えずに切替えしてきます。
こりゃあ噂通りの三冷だね。
冷静、冷徹、冷淡 聞きしにまさる人物でした。
『川中君勘違いしてもらっちゃあ困るよ』
『はぁ…』
『会社は組織があるんだよ。ましてうちの看板だってある』
つまり大きな会社の看板を背負っているから相手先も話を聞くんじゃあないか!
佐伯本部長の意見は尤(もっと)もな話です。
川中部長はそれでも食い下がりました。
『おっしゃる通りです。我々は会社のバックなくしては今の仕事ありませんでしょう』反論は否定より肯定から入るのが定石です。『組織や資金、人材の応援を頂いて初めて営業が成立つと私は思っています』
川中部長は必死の練りに出ます。
なんとか突破口を切り開くためです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする