寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

幸運の女神様(12)

2010年09月08日 08時50分51秒 | 日記
大阪から緊急の連絡が入りました。 『どうしたの…』鬼塚課長は問いました。
『はい!実は佐伯本部長が今夜大阪にいらっしゃいます!ご存じですか?』
『えー!』
さっきまでこの本社で俺達と喋っていたじゃあないか。
『それ本当なのか』鬼塚課長は声が一段と上がりました。
『ええ七時過ぎにはこっちに入るから職制は残るように指示が出ていますから間違いないです』
*職制…役職のある者です。主任~部長クラスです。『うーん』鬼塚課長は唸るばかりです。
『分かったよ、また何か動きがあったら連絡して欲しいよ』
『はい分かりました』
『待ってよ。ひょっとして移動するかも知れないから又こっちから電話するよ』
『はい分かりました連絡待っています』
鬼塚課長は直ぐさま川中部長に内線を掛けました。
『おう、私も今聞いたよ』
川中部長もやっぱり大阪の部下から連絡を受けていました。
『七時ジャストに新大阪に着くらしい…』
『そこから社用車で二十分くらいかなあ』すんなり行けば七時半には着くはずです。
さっき…佐伯本部長が席を立ったのは三時前、
『時間的には間に合うよなぁ…』
鬼塚課長は素早く計算しました。
『何の用事で大阪へ行ったんでしょうね』
『分からんなぁ』こっちから急ぎで行く訳だから何かあるはずでした。
『兎に角我々も河岸を変えようじゃあないか』
『どこへ行きます?』
『うーん、まぁここに居ても仕方ないから新宿に行こう』さすがに乗換えてまで池袋には行けません。
二人は電車に飛び乗りました。
新宿には小さいけれど顔の利くお店がありました。 そこを作戦本部にするつもりでした。 新宿のお店に着くなり『ママ貸してや!』鬼塚課長は電話に飛び付きました。
大阪に居る高辻主任に連絡を取るためです。
『俺鬼塚だけどこっちの連絡先は新宿のアミーだよ』『アミーなら電話番号知っていますよ』
高辻主任も東京にいれば必ず行く店でした。
『…で何か変わった事あった?』
せっついて鬼塚課長は聞きますが、 そうは状況は変わりません。
『…ただ噂ですが』高辻主任は声を落としました。 周りを気にしている様子が分ります。 *今なら携帯がありますが当時は固定電話しかありません。
『それが播磨役員から話があるようですよ』
『播磨役員…』鬼塚課長はあまりよく知らない人でした。
鬼塚課長は振り返って川中部長の顔を見ました。
『ふーん播磨さんか…』川中部長は頷くとタバコをもみ消しました。
『いよいよ黒幕が出てきたぞ』
そうか!こいつが黒幕なのか…鬼塚課長も合点がいきました。
『よし!』鬼塚課長に目配せして電話を切らせました。
『川中部長!』
『分かっているよ斉藤さんがいない間に強行する気だな』
播磨役員は斉藤役員のライバルでした。
川中部長は水割りをゴクリと飲みながら一点を見つめ続けています。
*この方考え込むと一点を見つめる癖があるようです(笑)
コメント
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