藤岡課長時代は正に黄金の日々でした。それが数年続きました。
そして円熟の五十代になると親分の永田取締役が専務に昇格しました。 …以前ご紹介しましたようにこの会社は事業部制を採用しています。つまり各事業部の合算が会社の売り上げとなります。
各事業本部は独立採算となっていますから、事業本部長の専務は実質の社長になります。
…念願の事業本部長となった永田専務は自分の色の濃い人材を重視しました。 当然ながら一の子分の藤岡課長は文句無く営業部長に昇進です。 今度は試験も何もなくストレートでしたね(笑)審議会も以前のトラブルを事前に聞いたらしくて面接のみの採用でした。
そして業界は相変わらず好調でした。
部長に昇格した藤岡さんは仕事に没頭していきました。…この辺りはさすが永田専務のお眼鏡に叶った人でしたね。いくら天狗になっていても仕事はきっちりとやる人です。(まあ当然ですが…)
藤岡部長は学歴のないぶん、そりゃあ努力したと思います。
世の中は大学卒業者が一流企業を占めてきましたから以前のような高校卒は見られなくなりました。
営業も技術も得意先や業者までも大卒に様変わりして行きました。
そして藤岡部長の周りのホワイトカラ―は皆大卒になっていました。
藤岡部長の扱う電子部品は日進月歩の業界です。技術系の用語は全て英語でありますし、その他専門用語の多さに藤岡部長は音を上げていました。
会議中に飛び交う専門用語がちんぷんかんぷんの時もです。
そんな時に限って意見を求められて閉口したこともありました。
部長と言えば経営者会議にも末席を占める事もありました。重責と理解不能の用語が重なりストレスがたまり出したのは半年ほどしてからでした。
たいしたことないミスに怒鳴ることがよくありました。
『おい、はやみず』『?…』
『はやみず!ちょっと来い!』
『はい!部長僕速水(はやみ)ですけど…』
『何でもいい』
『お前この計算間違ってるぞ』
『すみません』
『もうなんて事だよこんな簡単な計算もできないなんて…』『…』
『大学の四年は無駄だったんじゃあないか』
万事こんな調子です。
そして円熟の五十代になると親分の永田取締役が専務に昇格しました。 …以前ご紹介しましたようにこの会社は事業部制を採用しています。つまり各事業部の合算が会社の売り上げとなります。
各事業本部は独立採算となっていますから、事業本部長の専務は実質の社長になります。
…念願の事業本部長となった永田専務は自分の色の濃い人材を重視しました。 当然ながら一の子分の藤岡課長は文句無く営業部長に昇進です。 今度は試験も何もなくストレートでしたね(笑)審議会も以前のトラブルを事前に聞いたらしくて面接のみの採用でした。
そして業界は相変わらず好調でした。
部長に昇格した藤岡さんは仕事に没頭していきました。…この辺りはさすが永田専務のお眼鏡に叶った人でしたね。いくら天狗になっていても仕事はきっちりとやる人です。(まあ当然ですが…)
藤岡部長は学歴のないぶん、そりゃあ努力したと思います。
世の中は大学卒業者が一流企業を占めてきましたから以前のような高校卒は見られなくなりました。
営業も技術も得意先や業者までも大卒に様変わりして行きました。
そして藤岡部長の周りのホワイトカラ―は皆大卒になっていました。
藤岡部長の扱う電子部品は日進月歩の業界です。技術系の用語は全て英語でありますし、その他専門用語の多さに藤岡部長は音を上げていました。
会議中に飛び交う専門用語がちんぷんかんぷんの時もです。
そんな時に限って意見を求められて閉口したこともありました。
部長と言えば経営者会議にも末席を占める事もありました。重責と理解不能の用語が重なりストレスがたまり出したのは半年ほどしてからでした。
たいしたことないミスに怒鳴ることがよくありました。
『おい、はやみず』『?…』
『はやみず!ちょっと来い!』
『はい!部長僕速水(はやみ)ですけど…』
『何でもいい』
『お前この計算間違ってるぞ』
『すみません』
『もうなんて事だよこんな簡単な計算もできないなんて…』『…』
『大学の四年は無駄だったんじゃあないか』
万事こんな調子です。