『鬼塚さんお久し振り♪』『あら!今夜は深刻なお話し?』
アミーのママが川中部長の水割りの水滴を拭きながらにこやかに話しかけてきました。
やっぱり女は化け物かな(笑)確か四十半ばのはずが、お化粧と着物姿でこうも艶やかになるものなんだ。鬼塚課長は感心していました。
おっと!見とれている場合じゃあなかったぞ(苦笑)
時刻は七時を回っていました。
大阪では佐伯本部長や播磨役員が乗り込んでいるはずです。
職制以上を待機させているのは何か特別な発表があるからです。
鬼塚課長はじりじりしながら高辻主任からの連絡を待っていました。
ところで川中部長は肝のすわった人でした。アミーのママと冗談を交わしながら余裕の態度です。
『川中部長!』堪らず鬼塚課長は声を掛けました。
『どうした?そうイライラせずに歌でも唄ったらどうだ(笑)』
『なぁ、ママ』川中部長はニヤニヤしながら鬼塚課長を見ていました。 確かにここでジタバタしても始まらないのは鬼塚課長も分かっていました…それでもつい『しかし部長もう時間ですよ』
せっついてしまうのです。
『一杯やれば落ち着くぞ』
『あら鬼塚さん、まだグラス手がついてないじゃあないの』横からママが笑顔で割り込みました。
『どうしたのよ元気ないじゃあない』 ママのご自慢の手料理がカウンターに並び出されて 鬼塚課長も空腹を覚えてきました。大好きなイカと里芋の煮付けを一つまみ口にすると
水割りをゴクリと飲み干しました。 『うまい!』ようやく無邪気な鬼塚課長に戻りました。
『ママの料理は最高だよ♪』
『ありがとう!鬼塚さんドンドン食べてね』
アミーのママは鬼塚課長を弟みたいに可愛がっていました。三人はしばらく違う話題で酒を飲みました。本当は気が気じゃあなかったのでしょうが(笑)…そして川中部長が席を立った時、ママが小声で…『どうしたのよ』訊いてきました。
鋭いねぇ(笑) 鬼塚課長の顔を見たら大概の事が分るのですね。
『どうもしないよ』ぶっきらぼうに答えてもママにはお見通しでした。
『きっと仕事の事ね』ママの勘は当たっていました(笑)
確かこの前に来たときは課長昇進祝いに沸いていました(笑)
祝い酒にしたたかに酔っ払た鬼塚課長は『ママのお陰だよお礼にチュ~しちゃうよ♪』
笑って逃げるママを抱き締めてキッスをしたのでした。
最初嫌がる素振りだったママでしたが、最後は抱擁を重ねた姿に皆の冷やかしの喝采を浴びるほどでした。
それでも年上の貫禄とでも言うのでしょうか、皆の冷やかしを軽く受け流しているのはさすがでした(笑)
『ママ今日はありがとう!俺大阪に行ったら大暴れするよ』呂律(ろれつ)の回らない鬼塚課長はママの手を握って放しませんでした。
『そう!その意気よ』ママは、にこやかにうなずいていました。
そして帰り際に鬼塚課長に 『こっち(東京)に来たら又寄ってよ♪』
『うん♪必ず来るからね』鬼塚課長は鼻の下を伸ばしながらうなずいていました。
『必ずよ』…『分かったよ必ず来るよ』嬉しそうに何度もうなずいていました。
それを見た皆がお熱いなぁ~と冷やかしてドッときました(笑)そして帰る間際でした。
ママは鬼塚課長の首筋に小声で言いました。
『いい、効力は三月しか保たないからね!必ずこなくっちゃあ駄目よ』囁かれても鬼塚課長には何の事やら分りませんでした。
『おう!分かったよ』…適当に相づちを打って帰ったのでした。
…
…『ほれ、唄ったらどうだ』川中部長が鬼塚課長の脇を突ついて歌詞カードをかざしました。 ぼんやりと前の昇進祝いを思い出していたのでした。『久々に聞かせてよ』ママも笑顔で催促します。
『う~ん』ページを繰りますが気分は大阪でした。
そして店には古い歌謡曲が流れてきました。
『よし、俺だな』 川中部長はママからマイクをもらうと画面に向かいました。
『こんな~つもりで~♪』
川中部長のがなり声です。
それをぼんやり聞いている鬼塚課長…
(こりゃあかなりの重症だわ)
ママには手にとるように分かりました。
『鬼塚さん、あれから四か月よ!覚えている(笑)』 こっそりと囁きました。
『そうか!』
ちょうど昇進祝いの帰りのママの顔が蘇ってきました。
『ママ、俺ピンチなんだよ!』
ママの深い慈愛に満ちた雰囲気が鬼塚課長を素直にさせました。
潤んだ瞳に鬼塚課長の泣きそうな顔が映っていました
『大丈夫よ…』 真正面から見たママの瞳がほほ笑みました。
『もう大丈夫よ♪』ママはあやすように繰り返しました。
『…』何も分かっていないはずなにママから言われると不思議と気持ちが落ち着きました。
『大丈夫かな?』 独り言みたいな鬼塚課長…
今度はママが自信たっぷりにうなずきました。
『もうすぐ大阪の高辻さんから良い知らせがくるわ』 『本当♪』
『けど、どうして…』
『シー』ママが唇に人差し指を立てました。
ちょうど川中部長の歌が終わったのでした。
『いやぁ~久々にいい気持ちで唄えたよ♪』
川中部長が席に帰ってきました。
『お疲れ様…』ママがお絞りを差し出しました。
…とその時電話が鳴りました。
一瞬、川中部長も鬼塚課長も化石みたいに固まりました(笑)
アミーのママが川中部長の水割りの水滴を拭きながらにこやかに話しかけてきました。
やっぱり女は化け物かな(笑)確か四十半ばのはずが、お化粧と着物姿でこうも艶やかになるものなんだ。鬼塚課長は感心していました。
おっと!見とれている場合じゃあなかったぞ(苦笑)
時刻は七時を回っていました。
大阪では佐伯本部長や播磨役員が乗り込んでいるはずです。
職制以上を待機させているのは何か特別な発表があるからです。
鬼塚課長はじりじりしながら高辻主任からの連絡を待っていました。
ところで川中部長は肝のすわった人でした。アミーのママと冗談を交わしながら余裕の態度です。
『川中部長!』堪らず鬼塚課長は声を掛けました。
『どうした?そうイライラせずに歌でも唄ったらどうだ(笑)』
『なぁ、ママ』川中部長はニヤニヤしながら鬼塚課長を見ていました。 確かにここでジタバタしても始まらないのは鬼塚課長も分かっていました…それでもつい『しかし部長もう時間ですよ』
せっついてしまうのです。
『一杯やれば落ち着くぞ』
『あら鬼塚さん、まだグラス手がついてないじゃあないの』横からママが笑顔で割り込みました。
『どうしたのよ元気ないじゃあない』 ママのご自慢の手料理がカウンターに並び出されて 鬼塚課長も空腹を覚えてきました。大好きなイカと里芋の煮付けを一つまみ口にすると
水割りをゴクリと飲み干しました。 『うまい!』ようやく無邪気な鬼塚課長に戻りました。
『ママの料理は最高だよ♪』
『ありがとう!鬼塚さんドンドン食べてね』
アミーのママは鬼塚課長を弟みたいに可愛がっていました。三人はしばらく違う話題で酒を飲みました。本当は気が気じゃあなかったのでしょうが(笑)…そして川中部長が席を立った時、ママが小声で…『どうしたのよ』訊いてきました。
鋭いねぇ(笑) 鬼塚課長の顔を見たら大概の事が分るのですね。
『どうもしないよ』ぶっきらぼうに答えてもママにはお見通しでした。
『きっと仕事の事ね』ママの勘は当たっていました(笑)
確かこの前に来たときは課長昇進祝いに沸いていました(笑)
祝い酒にしたたかに酔っ払た鬼塚課長は『ママのお陰だよお礼にチュ~しちゃうよ♪』
笑って逃げるママを抱き締めてキッスをしたのでした。
最初嫌がる素振りだったママでしたが、最後は抱擁を重ねた姿に皆の冷やかしの喝采を浴びるほどでした。
それでも年上の貫禄とでも言うのでしょうか、皆の冷やかしを軽く受け流しているのはさすがでした(笑)
『ママ今日はありがとう!俺大阪に行ったら大暴れするよ』呂律(ろれつ)の回らない鬼塚課長はママの手を握って放しませんでした。
『そう!その意気よ』ママは、にこやかにうなずいていました。
そして帰り際に鬼塚課長に 『こっち(東京)に来たら又寄ってよ♪』
『うん♪必ず来るからね』鬼塚課長は鼻の下を伸ばしながらうなずいていました。
『必ずよ』…『分かったよ必ず来るよ』嬉しそうに何度もうなずいていました。
それを見た皆がお熱いなぁ~と冷やかしてドッときました(笑)そして帰る間際でした。
ママは鬼塚課長の首筋に小声で言いました。
『いい、効力は三月しか保たないからね!必ずこなくっちゃあ駄目よ』囁かれても鬼塚課長には何の事やら分りませんでした。
『おう!分かったよ』…適当に相づちを打って帰ったのでした。
…
…『ほれ、唄ったらどうだ』川中部長が鬼塚課長の脇を突ついて歌詞カードをかざしました。 ぼんやりと前の昇進祝いを思い出していたのでした。『久々に聞かせてよ』ママも笑顔で催促します。
『う~ん』ページを繰りますが気分は大阪でした。
そして店には古い歌謡曲が流れてきました。
『よし、俺だな』 川中部長はママからマイクをもらうと画面に向かいました。
『こんな~つもりで~♪』
川中部長のがなり声です。
それをぼんやり聞いている鬼塚課長…
(こりゃあかなりの重症だわ)
ママには手にとるように分かりました。
『鬼塚さん、あれから四か月よ!覚えている(笑)』 こっそりと囁きました。
『そうか!』
ちょうど昇進祝いの帰りのママの顔が蘇ってきました。
『ママ、俺ピンチなんだよ!』
ママの深い慈愛に満ちた雰囲気が鬼塚課長を素直にさせました。
潤んだ瞳に鬼塚課長の泣きそうな顔が映っていました
『大丈夫よ…』 真正面から見たママの瞳がほほ笑みました。
『もう大丈夫よ♪』ママはあやすように繰り返しました。
『…』何も分かっていないはずなにママから言われると不思議と気持ちが落ち着きました。
『大丈夫かな?』 独り言みたいな鬼塚課長…
今度はママが自信たっぷりにうなずきました。
『もうすぐ大阪の高辻さんから良い知らせがくるわ』 『本当♪』
『けど、どうして…』
『シー』ママが唇に人差し指を立てました。
ちょうど川中部長の歌が終わったのでした。
『いやぁ~久々にいい気持ちで唄えたよ♪』
川中部長が席に帰ってきました。
『お疲れ様…』ママがお絞りを差し出しました。
…とその時電話が鳴りました。
一瞬、川中部長も鬼塚課長も化石みたいに固まりました(笑)