銀座の恋人(二)

私なんか絶対①ですね(笑)
銀座のお店に関わらず店の女の子はお客様からご指名を貰ってナンボの世界だからです。 もちろんそんなシステムを充分ご理解している長原部長でした。
女の子にしても駄目元で、ご指名を貰ったらラッキー〓くらいの気持ちでしょうね(笑)
しかし世の中面白いもので、商売っ気を抜いた恋愛もやっぱりあるのです(笑)
その辺りを上手く見極めたら人生正に天国でしょうね(笑)
それの上手なのが宮崎役員でした。 『飲み屋の女の子には惚れたら負けだ。惚れられても負けだ』…とは宮崎役員のご高説ですが含蓄のあるお言葉と思います(笑)
さて話をもどしましょう。
件(くだん)の名刺ですが、さすがの長原部長も甘くは考えていませんでした。(パチパチ) ただ話が合う…と言いますか、人の気を逸らさない心配りがえらく気に入りましたね。
肌の白さと瓜実(うりざね)顔の細面、夢にも見てしまうほどでした。……そして再会のきっかけは運の悪い事？に接待費が余ってしまったことでした。 部下に尋ねても差し当たって予定がないと言うし、残して繰り延べる手もあったのですが、最近予算を使い切った部署に回されることもしばし見られたので、 『どうせなら使っちゃおう～』
陽気でお茶目な長原部長ですが、 ある程度の裁量は任されています～ 『よし！小雪の顔見に行ったろ、♪』
以前業者の招待で行った店だけに、一人では入りづらいのが当然です。 が、そこは陽気でお茶目な長原部長です。
『ちょっと寄ったけど…』ひょっこり顔を出しました。祇園なら体よくあしらわれるところですがここは銀座です。
ちょうどママさんが長原部長を覚えていたのもラッキーでした。
さすが銀座のママさんです。一度でも訪れたお客様を忘れる訳がありません。しかもこの方一流企業の部長さんですよ(笑) 『まぁ長原様よくお越しいただきました♪』(こりゃあ大会社の部長がきたぞ、ラッキー♪)下にも置かないもてなしに、長原部長はくすぐったくなるくらいでした。
しばらくママさんと談笑していますと、小雪さんが、 『いらっしゃいませ♪』と顔をだしました。
小雪さんは源氏名の通り肌の透き通った清楚な感じは変わりません。 その夢にまで見た容姿を目の前にして長原部長は柄にもなく緊張してしまいました(笑) ぎこちない話し振りにママさんはピンときたのでしょう。 お見合いの仲人を務める要領で座を持ち上げるのにえらく気を使ったそうです(笑) やがて座も和んだのでママさんも他のお客様の対応へと席を立ちました。 『…ははは』
席には小雪と長原部長♪しばらくは余韻で話を続けられたのですが、どうしても意識過剰となります。
間が持てない時の用心にタバコを持参していました。 普段タバコを吸う習慣のない長原部長は緊張もあったのでしょうか、タバコを取り出すところでライターを先にボケットから出してしまいました(笑)
長原部長のぎこちない態度に多少面食らっていた小雪さんもちょうどよい話のきっかけができました。
『カルチェですか♪』ーそうです。宮崎役員が銀座の女の子から貰った例のライターでした。
小雪さんも銀座の女でした…
(このカルチェ、かなり物だわ♪)内心舌を巻いていました…

銀座の恋人

モテる…男と生まれたからは一度はイイ女と○○してみたいものだ♪。先日宮崎役員からカルチェのライターをせしめた長原部長は思いました。
しかし学生時代を含めても彼にはオンナはまったくの無縁でした。彼女イナイ歴四十六年です、逆に言いますと正に仕事盛り男盛りの年齢です。実際仕事は順調出世も順調でした。
『あとは嫁さんだねぇ』郷里の母が顔を見たらこぼすのですが、こればっかりは相手のあること…
近ごろは頭の上を寂しい風が吹き始めて(要するに髪が薄くなっている)こりゃヤバイぞ！
『外人だとハゲでもあんなに渋くていいなぁ』(笑)と嘆く始末！『鏡なんか長いこと見た事ないぞ！』…鏡に八つ当たりしてもなんの解決にもなりませんね(笑)長原部長はそんなやるせない日々を過ごしているのでした。
しかしこのカルチェのライターを見るにつけ彼の彼女欲しい～の願望は増していきました。
山手線有楽町駅を降りるとその先が銀座であります。銀座は日本一の高給店揃いの繁華街として有名ですね。
社用族が接待に使うお店が軒並み連なっています。うちの会社ももちろん接待用に何軒かのお店を使っていました。
長原部長も立場上そんなお店を確保っていらっしゃいました。しかし古い気質と言いますか、『商売女はなぁ…』笑顔の奥に隠された打算的な仕草が長原部長にはどうしても垣間見えてしまい、打ち解けられませんでした。…かと言っても社内の女の子にはまったく見向きもされません…(そりゃあ親子も違ったら駄目だよね…)
勉強ができただけに頭が先に働き結論付ける悪い癖は治りません。
つまり学習能力が高い人がよく陥るパターンです(笑)
長原部長の心理的分析はこれくらいにしまして話を進めましょう(笑)
実は長原部長はあるお店がとても気になっていました。銀座の松屋の裏筋を入った辺りにそのお店はありました。 長原部長の仕事を請負った業者から受けた接待で知りました。 店は割りと広くて女の子もたくさん在籍していました。 業者からは三人と長原部長の四人に女の子が二人付きましたがその中の一人。 話をしていると郷里が同じ岡山でした。俳優の 小雪似の落ち着いた雰囲気でした。 お客様として座っている銀座は正に天国ですね(笑) そうと知りつつも長原部長は客に媚びも売らず万事控え目な小雪さんに一目惚れをしてしまいました。
小雪さんも郷里が同じと言うだけで親近感を覚えたのでしょうね。長原部長の話に(下らない話だよ)頷きよく笑いました。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎました。
帰り際にそっと貰った名刺には携帯が記されていました。
…この話！皆さんどう思いますか？ 飲み屋の女の子から携帯を教えてもらったら…
①有頂天になる！ (俺に気があるぞ) ②こんなの商売女の愛想だ！

酒&女&泪

役員さんの特権のひとつにゴールドカードをお話いたしました。 魔法のカードです。
このカードのお陰で赤田役員は自滅してしまいました。ほんと怖いカードですね。 しかし毒にもなるが薬にもなる！つまり使い方ひとつなのであります。
業界きっての遊び慣れた宮崎役員がこのカードを持ちますと、銀座では【鬼に金棒】と噂されたほどです。 赤坂では値千金と申しましたし、新橋では虎に翼と言いました。また神楽坂では…
『えっ！もういいから話を進めろ！(怒)』
ハイハイ(笑)分かりましたよ。
とにかく宮崎役員が仮の役員つまり役員待遇から卒業した時には 『待ってました～♪』と東京中の飲み屋さんが拍手喝采をした(笑)そうでした。
宮崎役員はそれはもう遊びが上手と言いますか、後腐れなくされる方ですね。
まず一軒に集中的に飲む事はありませんでした。
いわゆる梯子酒で新宿→神楽坂→銀座→赤坂…なんて調子で飽きやすいのか？と思うくらいに何軒も梯子をされます(笑) 一説によりますと、クラブの名刺を集めるのが楽しみみたいで、若手を従えて『それ行け！』なんて時には手頃なキャバクラをご利用しておられます(笑)
一人落ち着いて飲む時にはクラブ、騒ぎたい時はキャバクラです。
花街は(神楽坂・新橋・向島…)あたりは接待用として確保っていらっしゃいました。
銀座あたりは社交界の場所としてわきまえていないと恥を掻きますからね(笑)
そんな銀座で馬鹿騒ぎするのは愚の骨頂であることを宮崎役員はご存じです。
そんな大人の社交場では宮崎役員は大概一人で行かれます。一日の疲れを癒すかのように静かに飲む姿は男の色気を感じてしまい、『つい見取れてしまうわ…〓』これで何人の女を泣かせたのでしょうか(笑)
金で女のホッペタを叩く、どこかの役員さんとはえらい違いでした。
実際宮崎役員の飲みっぷりはきれいだと評判でした。 社会的な地位はあるし、長身に濃紺のスーツを身にまとい苦味走ったニヒルな顔立ち。
まるでスーツのモデルみたいですよ。そんな宮崎役員に入れ込んでいる女はいつも五六人はいるでしょう。 羨ましいもんです！ ハイ！(笑)
先日も車中で長原部長相手にお話をしておられました。『長原お前タバコ吸うかい？』長原部長はタバコは吸いませんから、 『私タバコは吸わないんです。』
『そうか…』
『なんでしょうか』『いや貰い物のライターがあるんだけど…』
『えっ！ライターですか！』
宮崎役員が貰い物のライターと言えばこりゃあもう絶対良い物に違いありません。
件(くだん)のライターもカルチェのゴールドでした。 『長原は吸わないからいらないなぁ』『あぁぁ』
長原部長は言葉がでません。
カルチェのゴールドなら質屋に出しても四五万はくだりませんから(笑)
『役員下さい、うちの女房の父親が吸います～』長原部長は絶叫します(笑)なりふり構わない感じでした(笑)『そうなんだ(笑)じゃああげるよ』
『ありがとうございます(笑)』
『これから行く先の件頼むよ！』 『ハイ！』
…てな具合に宮崎役員は惜しげもなくあげるのであります。

役員の特権(3)

役員さんの利権(笑)失言です。特権でした。
しかしこうして皆さんに披露していますが、実に良く出来ていますね(笑) 普通の会社員からこれだけの特権を与えられたら、もう天国でしょうな(笑) 停年を過ぎてとっくに年金支給年齢も超えていながら社長の座にしがみついている話は良く耳にしますが、そりゃあ役員なんてまるで王様ですからね！
民主主義なんて関係ない、ですよ！ 役所の官僚がお手盛りで官舎や待遇を天国にしているのとちっとも違いませんね(笑)
そりゃあ仕事は確かにハードかも知れませんが、その分は高給・好待遇になっておりました。
以前紹介しましたが、階級が一枚違えば家来同然、二枚違えば虫けら同然！なんて世界ですから今披露しました特権意外の目に見えない優越感みたいなものが大きいのです。
そして特権はまだまだあります。 例のゴールドカードです。
このカードを支給された夜嬉しくて眠れなかった赤田役員は残念なことに自滅しました。 何やってもおとがめなし！とは言いましてもやっぱり加減しなきゃあ駄目ですよ(笑)
自滅した赤田役員はキッチリ左遷あれ程欲しかったゴールドカードとオサラバとなりました。
【教訓】驕れる者は久しからず
すべて春の夜の夢のごとし…でした。
しかしゴールドカードとは傑作ですね(笑)
限度２００万円と言えばかなりの金額ですよね。
家やクルマを買う訳じゃあなし、
主に飲み食いに使うのですから、結構使い勝手な金額でしょう。
銀座・赤坂・六本木・新橋・神楽坂 向島・新宿数え上げたら切りがないほどありますよ(笑)
何処だってポケットマネーで遊んでなんかいませんね。みんな接待やこんなカードで遊ぶんですから～
高辻役員が若手社員と二次会に行こうとしました。
皆はこりゃあ銀座かな～と喜び勇んでついて行きました。ところが入った店が普通の居酒屋それも二百円均一のチェーン店でした。(笑)
『なんでぇ！期待して損したよ』確かに愚痴もでますよね。(笑)
しかしこれには事情がありまして、 当日高辻役員はうっかりゴールドカードを忘れていたのでした。
…と言う事は自腹ですね。 役員と言えども人の子でした。ポケットマネーじゃあこんな具合なのであります。
遊びと言えばまずこの人宮崎役員を外す訳にはいきません。
この方クラブの名刺で七並べ(懐かしのトランプゲームです)をした…と異名を取った方であります(笑)
実は私、役員さんの中でもこの方を一番尊敬しております。
『そんな事関係な～い(怒)ぞ』外野の声が厳しいですなぁ(笑)
話を進めましょう。この会社いや業界きっての遊び人の宮崎役員はあくまでも玄人相手に遊ぶのですからどからも文句のつけようがありません。一度社内の危ないお話はありましたが、(艷福家を参照下さいね)まずはセーフ♪宮崎役員のキャリアと戦略が冴えていた結末でした …

役員の特権(続き)

さて花の役員さん 大いなる特権とは個室、専用車、ハイクラスの座席ですがそのほかにもまだまだありますが有名なもの…
そうです(笑)
【秘書】でした♪ …ドアをノックする音がした。『はい！』と返事をする。ドアが開いて『失礼します』秘書が入ってくる。 ○○役員はそれが秘書と確認するとまた書類に目を落した。『おはようございます。』『おはよう』『本日のご予定ですが、十時から会議があります。その後十二時から△△様とご会食です。二時より×○産業の社長様がご挨拶にこられます。六時から新橋でご会食でございます…』
てな具合にスケジュールの報告を受けます。
『判ったよ』『ところで六月にＰ電工の○常務さんとゴルフを約束しているから日程を調整しておいてよ』『かしこまりました。』
…たぶんこんな感じで自分の予定を把握して教えて下さる。 いいですねぇ♪まるで手帳替わりですな(笑)
たとえば今の件ですが先方の常務の秘書に連絡をとるのがこちらの秘書のお仕事となります。他には出張の切符や宿泊の手配もあります。
出張した旅費の精算や接待費の精算も彼女たちのお仕事です。
ドラマにあるような役員とのオフィスラブはないと考えていいでしょう(笑)
なぜなら彼女たちは複数の役員を担当しているからです。またあまり若い秘書はいません。普通三十代ですが四十代のベテラン秘書も大勢活躍しておられます(笑)
ある意味彼女たちの方が役員の扱い慣れしていますし賢いですから間違ってもオフィスラブにはならないのであります(笑)
秘書はまた取り次ぎ役もこなします。
部長クラスが役員さんのご都合を伺うには直接役員に聞いてみてもだめです。だめ！と言うよりは無駄ですね。役員さんの行動スケジュールは全て秘書が管理しているからです。 もし部長が役員を使いたかったら本人に頼むより秘書に頼む方が確かです。秘書は日にちを聞きスケジュールと見比べて空いていたらＯＫ、他の用事があれば役員にお伺いを立てて判断を仰ぐわけです。ただしこれは形式的なもので秘書に嫌われている部長なら秘書の 肝(はら)ひとつで却下！なんてことも…(笑)
だから秘書は影の実力者と言っても過言ではありません(笑)
よく総務室で秘書におべっか(お世辞)を使っている部長を見掛けま～す(笑)
鬼塚専務なんか酔っている時には『おれなんか加賀美(秘書)に操られているんだよ(笑)』なんてぼやいているくらいです…