先週に続き庭に来た蝶の話になるが、今回はミヤマカラスアゲハ。前翅長38~75mmと大きさには季節による差があり、小型の春型に比べ夏型は大型の蝶である。日本に産する蝶の中でもひときわ美しく、蝶の採集に明け暮れていた子供のころのあこがれの蝶であった。
いつもの「原色日本蝶類図鑑」(保育社発行)でも「わが国に産するパピリオ属の中で最も優美な蝶の一つである」と讃えられている。年2回の発生で、幼虫はミカン科のキハダ、カラスザンショウ、暖地ではハマセンダンを食べ、蛹で越冬する。
以前、2016年9月2日の本ブログでこのミヤマカラスアゲハのことを紹介したが、その時にはまだ我が家の庭のブッドレアには来ていなかった。軽井沢には比較的多く棲息しているとされており、蝶道があるためか、庭先を通り過ぎるそれらしい姿を時々見かけるのだが、すぐに通り過ぎてしまい、ブッドレアの花にはそれほど関心がないように見えていた。
しかし、今年初めて庭のブッドレアで吸蜜しているところに出会った。7月には♀が、8月には♂がブッドレアでしばし吸蜜してから飛び去って行った。特にメスは比較的長時間ブッドレアの花にとどまっていたので、たくさんの写真を撮影することができた。
ミヤマカラスアゲハとカラスアゲハはとてもよく似ていて、実際に出会い、目にする機会が少ない素人にはなかなか同定が難しいのだが、後翅裏の黄白色帯もはっきりと見え、この時もミヤマカラスアゲハであることが確認できた。
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♀(2017.7.28 撮影)
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♀(2017.7.28 撮影)
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♀(2017.7.28 撮影)
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♀(2017.7.28 撮影)
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♀(2017.7.28 撮影)
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♀(2017.7.28 撮影)
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♀(2017.7.28 撮影)
この後、8月にブッドレアの花に吸蜜に訪れたミヤマカラスアゲハ♂は、かなり翅が傷んでいた。雌雄の判別は前翅表に現れる性標により容易に行える。この個体も後翅裏の黄白帯が見え、ミヤマカラスアゲハであることが確認できた。
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.10 撮影)
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.10 撮影)
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庭のブッドレアの花で吸蜜するミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.10 撮影)
このミヤマカラスアゲハは、名前に「ミヤマ(深山)」とついているものの、食樹さえあれば平地や海岸沿いにも棲むとされる。棲息分布図(フィールドガイド日本のチョウ)を見ると、北海道、本州、四国、九州と広く分布しており、南限は屋久島とされるのであるが、面白いことに、類似種のカラスアゲハが上記全域に棲むのに対して、ミヤマカラスアゲハの方は、関東平野、濃尾平野、瀬戸内海沿いや四国東部は除かれている。
前記の「原色日本蝶類図鑑」にはより詳しい棲息域についての記述があり次のように記されている。「・・・東京では高尾山に採集されるが、大阪では近郊の山地には産せず、京都の大悲山や奥吉野・大台ケ原などの高地に産する。…」。
保全状況に関しては、植林などによる環境悪化により、個体数が激減しているとされる。カラスアゲハが都市公園でも確認されており、現在は良好に棲息しているとされているのとは大きい差がある。食樹に関する嗜好性が強いためであろうか。
これまでも、このミヤマカラスアゲハのいい写真を庭で撮りたいものと思っていたが、いつもさっと通り過ぎていくところを見かけるだけで、なかなか吸蜜しているところに出会うことがなく、ようやく今年になって庭に来るようになったのだが、先に紹介したとおり翅がだいぶ傷んでいた。
ところが、昨年夏に南軽井沢の別荘地近くでクサギの木を数本見つけてからというもの、花の咲いている時期にここに行けば必ず他のアゲハ類にまじってミヤマカラスアゲハが来ていることが判った。昨年と今年の夏にここで撮影した写真をいくつか紹介しておこう。
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クサギの花に吸蜜に訪れるミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.18 撮影)
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クサギの花に吸蜜に訪れるミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.18 撮影)
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クサギの花に吸蜜に訪れるミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.18 撮影)
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クサギの花に吸蜜に訪れるミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.18 撮影)
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クサギの花に吸蜜に訪れるミヤマカラスアゲハ♂♀(2016.8.9 撮影)
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クサギの花に吸蜜に訪れるミヤマカラスアゲハ♂(2016.8.9 撮影)
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クサギの花に吸蜜に訪れるミヤマカラスアゲハ♀(2016.8.9 撮影)
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クサギの花の周りを飛翔するミヤマカラスアゲハ♂(2016.8.9 撮影)
このクサギの木のすぐ下に生えている野草の花の上で、吸蜜なのか、休息しているのか長い間じっと止まり続けているミヤマカラスアゲハの♂を見つけた。すぐ傍まで近寄っても飛び去る気配が無く、昼寝でもしているような様子であった。
じっくりと撮影ができたが、撮影する角度により、翅表の構造色が微妙に青から緑色に変化する様子が見られる。
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クサギの木のすぐ下に生えている野草の花に止まるミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.9 撮影)
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クサギの木のすぐ下に生えている野草の花に止まるミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.9 撮影)
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クサギの木のすぐ下に生えている野草の花に止まるミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.9 撮影)
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クサギの木のすぐ下に生えている野草の花に止まるミヤマカラスアゲハ♂(2017.8.9 撮影)
このクサギの木が切られることなく、これからも撮影場所を提供していることを願いたいものである。