今回はモンキチョウ。前翅長は22~33mmで、「モンシロチョウ」と共に最も身近な蝶である。食草はマメ科の植物で、1964年発行の古い「原色日本蝶類図鑑」(保育社発行)には、ミヤコグサ・クサフジ・ダイズなどの名前が挙げられているが、最近発行された本にはまずアカツメクサ・シロツメクサが、続いてレンゲソウ・コマツナギ・ミヤコグサ・クサフジなどが挙げられていて、この間の植生の変化を反映していることが感じられる。
成虫は年3~5回、4月から11月にかけて発生し、幼虫で越冬するが、冬も休眠せず、暖かい日には食草を食して成長し、早春に蛹になるとされる。雌雄で翅色が異なり、♂は黄色だけであるのに対し、♀の翅の色は白い個体と黄色の個体とが混在する。
食草のアカツメクサやシロツメクサが法(のり)面の緑化材として使用されていることから、分布域は広がり、個体数は長野県内でも増加傾向にあるとされている。
昨年の夏、類似種で長野県の天然記念物に指定されている「ミヤマモンキチョウ」を見るために池の平湿原に出かけたが、その時モンキチョウの♂と、ミヤマモンキチョウの♀の求愛行動と思われる飛翔中の姿を目撃し、撮影したことがあった。
ミヤマモンキチョウの生息域は、北アルプスや浅間山系など、ごく狭い範囲に限定されているが、モンキチョウの方は平地から高山にまで広く分布していて、一部ではハイブリッドの存在も確認されていると言うから、そうした行動であったのかもしれないと思っている。
池の平湿原で見かけた、モンキチョウの♂(上)とミヤマモンキチョウの♀の求愛行動と思われる飛翔中の姿(2017.7.31 撮影)
さて、本題に戻る。我が家の隣地はまだ空き地になっていて、そこにはシロツメクサ・アカツメクサ・ヨモギなどが生えているが、モンキチョウがよく飛び回っている。
これまでに「庭にきた蝶」で紹介してきた多くの蝶は、庭にあるブッドレアやキャットミントなどの花に吸蜜にやってくるのだが、このモンキチョウの場合は庭の周辺で姿を見かけることはあっても、庭の花にやって来て止まることは稀で、したがって撮影の機会がほとんどなかった。
ようやく撮影できたのはこれまでに1回だけであった。
ブッドレアの花で吸蜜するモンキチョウ♀(2017.7.25 撮影)
この1枚だけではいかにも寂しいので、軽井沢とその周辺で撮影した写真をいくつか紹介する。
シャスターデイジーの花で吸蜜するモンキチョウ♀(2017.6.17 撮影)
クルマユリの花で吸蜜するモンキチョウ♀。触角に小さなアリが止まっているが、棍棒状の触角はびくともしないようだ(2016.8.1 撮影)
ジシバリの花で吸蜜するモンキチョウ♀(2016.8.25 撮影)
ヒメジョオンの花で吸蜜するモンキチョウ♀(2016.8.1 撮影)
オミナエシの花で吸蜜するモンキチョウ♂(2017.8.5 撮影)
吸蜜中の姿はご覧のとおり翅を閉じている。翅表は飛翔中に見ることができるので、少しピンボケの写真になるが紹介させていただく。
コセンダングサの花に向かって飛翔するモンキチョウ♀(2016.7.28 撮影)
クルマユリから飛び立つモンキチョウ♀(2016.8.1 撮影)
ある日、隣地のアカツメクサの葉上にモンキチョウの♀が止まり産卵しているところを目撃したので、その場所に行ってみると、細長い、よく見ないと判らない、長さが1.5mmくらいの卵が1個産みつけられていた。
周りを探してみると、同様の卵が数個見つかった。目印の棒を地面に挿しておいて、時々見に行っていると、産卵直後には白~黄色をしていた卵がオレンジ色に変化してきていたので、孵化の様子を3D撮影することにして、アカツメクサの株を掘り出し、鉢植えにして家に持ち込んだ。
アカツメクサの葉に産み付けられたモンキチョウの卵(2017.8.4 撮影動画からのキャプチャー画像)
オレンジ色になってきていた卵は更に黒く変化し、中で幼虫が動いている様子も見えるようになる。そして幼虫は中から卵の頭頂部をかじって穴を開け、そこから這い出してくる。その後少し休んでから卵の殻を食べてしまう。
この様子を3D動画撮影したが、そこからのキャプチャー画像を見ていただく。
モンキチョウの孵化(2017.8.7, 10:00~17:40 撮影動画からのキャプチャー画像)
孵化した幼虫は、やがてアカツメクサの葉を食べ始める。葉の先端部を、葉脈を避けて穴を開けるように食べるが、少し食べると葉の中心葉脈の上にもどり、じっとしている。しばらくすると、食べかけの穴に行き、少し食べてはまた中心葉脈に戻るという行動を繰り返す。
モンキチョウの1齢幼虫の食餌と休憩(2017.8.7 撮影動画からのキャプチャー画像)
幼虫の脱皮の様子は残念ながら撮影できなかったが、4回の脱皮を繰り返し、5齢幼虫になると食草を離れて飼育箱の中を這い回るので、この段階で枯れ枝を用意してやると、そこで静止してキタキチョウ(2017.5.19 付け当ブログ)の時と同様糸かけをして前蛹になり、次いで脱皮し蛹に変身する。
モンキチョウの前蛹(上)と蛹(2017.9.7 撮影動画からのキャプチャー画像)
この蛹はちょうどこの日から2週間後の9月21日に羽化した。
モンキチョウの羽化(2017.9.21 9:40~10:10 撮影動画からのキャプチャー画像)
羽化したモンキチョウは♂で、まだ飛び立つ様子が無く、庭のキャットミントの花に移して、そのままとまらせておいた。長い間じっとそのままでいたので、妻がつまみあげて手のひらで包んでやったりしていたが、やがて生まれ故郷の隣地の方に飛び去っていった。
羽化後、キャットミントの花に止まり翅が乾くのを待つモンキチョウ♂(2017.9.21 撮影)
まだ飛ぶ力が無いのか、手の中でじっとしているモンキチョウ♂(2017.9.21 撮影)
成虫は年3~5回、4月から11月にかけて発生し、幼虫で越冬するが、冬も休眠せず、暖かい日には食草を食して成長し、早春に蛹になるとされる。雌雄で翅色が異なり、♂は黄色だけであるのに対し、♀の翅の色は白い個体と黄色の個体とが混在する。
食草のアカツメクサやシロツメクサが法(のり)面の緑化材として使用されていることから、分布域は広がり、個体数は長野県内でも増加傾向にあるとされている。
昨年の夏、類似種で長野県の天然記念物に指定されている「ミヤマモンキチョウ」を見るために池の平湿原に出かけたが、その時モンキチョウの♂と、ミヤマモンキチョウの♀の求愛行動と思われる飛翔中の姿を目撃し、撮影したことがあった。
ミヤマモンキチョウの生息域は、北アルプスや浅間山系など、ごく狭い範囲に限定されているが、モンキチョウの方は平地から高山にまで広く分布していて、一部ではハイブリッドの存在も確認されていると言うから、そうした行動であったのかもしれないと思っている。
池の平湿原で見かけた、モンキチョウの♂(上)とミヤマモンキチョウの♀の求愛行動と思われる飛翔中の姿(2017.7.31 撮影)
さて、本題に戻る。我が家の隣地はまだ空き地になっていて、そこにはシロツメクサ・アカツメクサ・ヨモギなどが生えているが、モンキチョウがよく飛び回っている。
これまでに「庭にきた蝶」で紹介してきた多くの蝶は、庭にあるブッドレアやキャットミントなどの花に吸蜜にやってくるのだが、このモンキチョウの場合は庭の周辺で姿を見かけることはあっても、庭の花にやって来て止まることは稀で、したがって撮影の機会がほとんどなかった。
ようやく撮影できたのはこれまでに1回だけであった。
ブッドレアの花で吸蜜するモンキチョウ♀(2017.7.25 撮影)
この1枚だけではいかにも寂しいので、軽井沢とその周辺で撮影した写真をいくつか紹介する。
シャスターデイジーの花で吸蜜するモンキチョウ♀(2017.6.17 撮影)
クルマユリの花で吸蜜するモンキチョウ♀。触角に小さなアリが止まっているが、棍棒状の触角はびくともしないようだ(2016.8.1 撮影)
ジシバリの花で吸蜜するモンキチョウ♀(2016.8.25 撮影)
ヒメジョオンの花で吸蜜するモンキチョウ♀(2016.8.1 撮影)
オミナエシの花で吸蜜するモンキチョウ♂(2017.8.5 撮影)
吸蜜中の姿はご覧のとおり翅を閉じている。翅表は飛翔中に見ることができるので、少しピンボケの写真になるが紹介させていただく。
コセンダングサの花に向かって飛翔するモンキチョウ♀(2016.7.28 撮影)
クルマユリから飛び立つモンキチョウ♀(2016.8.1 撮影)
ある日、隣地のアカツメクサの葉上にモンキチョウの♀が止まり産卵しているところを目撃したので、その場所に行ってみると、細長い、よく見ないと判らない、長さが1.5mmくらいの卵が1個産みつけられていた。
周りを探してみると、同様の卵が数個見つかった。目印の棒を地面に挿しておいて、時々見に行っていると、産卵直後には白~黄色をしていた卵がオレンジ色に変化してきていたので、孵化の様子を3D撮影することにして、アカツメクサの株を掘り出し、鉢植えにして家に持ち込んだ。
アカツメクサの葉に産み付けられたモンキチョウの卵(2017.8.4 撮影動画からのキャプチャー画像)
オレンジ色になってきていた卵は更に黒く変化し、中で幼虫が動いている様子も見えるようになる。そして幼虫は中から卵の頭頂部をかじって穴を開け、そこから這い出してくる。その後少し休んでから卵の殻を食べてしまう。
この様子を3D動画撮影したが、そこからのキャプチャー画像を見ていただく。
モンキチョウの孵化(2017.8.7, 10:00~17:40 撮影動画からのキャプチャー画像)
孵化した幼虫は、やがてアカツメクサの葉を食べ始める。葉の先端部を、葉脈を避けて穴を開けるように食べるが、少し食べると葉の中心葉脈の上にもどり、じっとしている。しばらくすると、食べかけの穴に行き、少し食べてはまた中心葉脈に戻るという行動を繰り返す。
モンキチョウの1齢幼虫の食餌と休憩(2017.8.7 撮影動画からのキャプチャー画像)
幼虫の脱皮の様子は残念ながら撮影できなかったが、4回の脱皮を繰り返し、5齢幼虫になると食草を離れて飼育箱の中を這い回るので、この段階で枯れ枝を用意してやると、そこで静止してキタキチョウ(2017.5.19 付け当ブログ)の時と同様糸かけをして前蛹になり、次いで脱皮し蛹に変身する。
モンキチョウの前蛹(上)と蛹(2017.9.7 撮影動画からのキャプチャー画像)
この蛹はちょうどこの日から2週間後の9月21日に羽化した。
モンキチョウの羽化(2017.9.21 9:40~10:10 撮影動画からのキャプチャー画像)
羽化したモンキチョウは♂で、まだ飛び立つ様子が無く、庭のキャットミントの花に移して、そのままとまらせておいた。長い間じっとそのままでいたので、妻がつまみあげて手のひらで包んでやったりしていたが、やがて生まれ故郷の隣地の方に飛び去っていった。
羽化後、キャットミントの花に止まり翅が乾くのを待つモンキチョウ♂(2017.9.21 撮影)
まだ飛ぶ力が無いのか、手の中でじっとしているモンキチョウ♂(2017.9.21 撮影)