冬の野鳥観察の楽しみの一つに、コハクチョウの観察がある。軽井沢に移住を決めた頃、安曇野方面にドライブに出かけて、初めて「白鳥湖」と呼ばれる場所のことを知り、これまでに、もう5回ほど出かけている。
この犀川白鳥湖に2回目に出かけたのは2014年末のことで、年末に大阪から母が来ていて、ハクチョウを見たいというので一緒に出かけたのであった。
この白鳥湖の近くにはもう1か所、やや下流にある「御宝田遊水池(ごほうでんゆうすいち)」という場所があり、ここにもコハクチョウが来ると現地で教えていただいて、そちらにも回ってみた。御宝田遊水池にはコハクチョウの他にも多数の水鳥が来ていたが、この時、数ではオナガガモが一番多く見られた。
御宝田遊水池のコハクチョウとオナガガモなどの水鳥(2014.12.31 撮影)
御宝田遊水池で餌に集まるコハクチョウとオナガガモなどの水鳥 (2014.12.31 撮影)
母の手から餌を食べるオナガガモ(2014.12.31 撮影)
安曇野ではこのように多くのオナガガモを見ることができるが、朝の散歩に出かけている軽井沢の雲場池には、これまでその姿がなく、やってこないものだと思っていた。
ところが、昨年9月25日の朝、まだ他の水鳥の姿もまばらな時期に、マガモ♂エクリプスやコガモに混じって、見慣れない2羽の水鳥がいるのに気が付いて撮影した。
帰宅後、写真を確認したところ、嘴の色や、僅かに見える翼鏡やこれに沿った羽色などから、オナガガモのペアだと思えた。2羽の羽の色などはよく似ているが、1羽は♀、もう1羽の方は♂エクリプスで、こちらは安曇野で見た冬羽のオナガガモとは随分違っていた。次のようである。
オナガガモ♀(2023.9.25 撮影)
オナガガモ♂エクリプス(2023.9.25 撮影)
オナガガモのペア 1/3(2023.9.25 撮影)
オナガガモのペア 2/3(2023.9.25 撮影)
オナガガモのペア3/3(2023.9.25 撮影)
しばらく見ていると、♂エクリプスの方が羽ばたいてくれた。
羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 1/5(2023.9.25 撮影)
羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 2/5(2023.9.25 撮影)
羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 3/5(2023.9.25 撮影)
羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 4/5(2023.9.25 撮影)
羽ばたくオナガガモ♂エクリプス 5/5(2023.9.25 撮影)
オナガガモのペアを見ることができたのはこの日だけで、それ以後姿を見ることはなかった。
いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)でオナガガモの記述を見ると、次のようである。
「形態 ♂は頭頸部暗かっ色で黒色の長く尖った尾羽が顕著。嘴峰44~57mm、翼長230~282mm、尾長♂177~210mm、♀37~47mm。跗蹠37~47mm。背は灰色で白色の小さな虫食い状はん密に散在す。肩羽は長く後方に延びて黒色にて白い縁がある。翼鏡は緑黒色にてその上縁は赤かっ色、下縁は白。下面は白色にて頭側では白色部上向している。♀は上面黒かっ色で黄白色の羽縁がある。下面は白でかっ色はんがある。尾羽は♂より著しく短い。
生態 欧亜大陸及北米の中部以北で繁殖し、わが国には秋期多数渡来する。北海道では旅鳥として春秋渡りの際にのみ出現し冬季は本州中部以南に多い。
分布 北海道・本州・八丈島・四国・九州・対馬・種子島などに渡来。」
雲場池では、完全に冬羽に換羽した♂を見ることができなかったので、安曇野で撮影した姿を以下に紹介する。
オナガガモ♂(2023.1.6 撮影)
集まってくるオナガガモ(2023.1.6 撮影)
去っていくオナガガモ(2023.1.6 撮影)
オナガガモ♀(2023.1.6 撮影)
オナガガモ♂(2023.1.6 撮影)
次は♂のはばたく様子。サーモンピンクの美しい縞模様が翼鏡に沿って観察できる。
羽ばたくオナガガモ 1/4(2023.1.6 撮影)
羽ばたくオナガガモ 1/4(2023.1.6 撮影)
羽ばたくオナガガモ 1/4(2023.1.6 撮影)
羽ばたくオナガガモ 1/4(2023.1.6 撮影)
コハクチョウとオナガガモ(2023.12.30 撮影)
首を長く伸ばし、警戒している様子のオナガガモ(2023.12.30 撮影)