すちゃらかな日常 松岡美樹

積極財政などの政治経済をすちゃらかな視点で見ます。ワクチン後遺症など社会問題やメディア論、サッカー、音楽ネタも。

【キリンカップサッカー】散発的な輝きのむなしい見本市~日本 0-1 UAE

2005-05-29 11:39:27 | サッカー日本代表
 内容はペルー戦よりよかった。小野のコンダクターぶりは「らしさ」を感じさせたし、小笠原も前へ出る積極性を見せた。ではなぜ負けたのか? ペルー戦と同じ戦評になるが、これが日本の実力だからだ。

 日本の戦いぶりで特に目を引いたのは、前半に見せた幾度かのコンビプレーだった。中盤の高いゾーンで3人がワンブロックになり、ダイレクトプレーをからめて切り崩す速い動きをする。第3の動きがなければできない形だ。

 こういう積極的な仕掛けを増やし、あとはサイドをからめて行けば自然に道は開けるだろう。惜しむらくは、まだそれが単発で終わっている点である。

 たとえば小野のゲームコントロールにしても同じだ。小野自身は光っていたが、「日本代表がいい」のとはちがう。しょせんは小野という個人の単発だ。小笠原も積極的にペナルティエリアに侵入し、一発を狙う動きをした。だがこれも小笠原単発の動きである。

 重要なのはこれら単発のプレーが連続して押し寄せ、ひとつの大きなうねりになる時間帯を増やすことだ。でなければきれいな打ち上げ花火が一発上がり、「ああ、きれいだったね」で終わってしまう。

 特に前半、中盤で3人がワンブロックを構成したユニットでの崩しに私は光明を見た。だが大切なのは継続だ。繰り返しこのトライをし、揺さぶり続けることである。ところがこの日は後半になると、そんな動きはパッタリ消えた。前にかかる時間帯そのものはふえたが、いかにも付け刃な感じだった。

 結局、あれはチームとして意図したものではなく、個人のひらめきがたまたま集積した結果だったのだろう。ひらめきで勝つのは選手冥利につきるが、同時に90分間、「ひらめき続ける」のがむずかしいのもまた事実である。

 攻めのリズムとしては、ゆったりとしたつなぎから、キュッと速くなってフィニッシュに行く南米なノリになっていた。「らしいなあ」とは思ったが、これって王者の戦い方なんだよねえ。その「キュッ」とスピードアップする時点では、すでに敵は勢揃いしてナイフを構えて待ってるんだから。

 あれだけ陣形を整える猶予を与えちゃ、切り崩すにはかなりの鋭さがいる。アルゼンチンみたいにゴール前で速いダイレクトパスを4本つなぐ、とかさ。しかしいまの日本には、それって高望みにすぎるだろう。

 前半、UAEはFWがからんだ動きが怖さを感じさせた。「まかりまちがうとやばいな」とは思った。だがチーム全体としてはまだ未成熟な印象で、「たぶんまかりまちがうことはないだろう」と踏んでいた。

 だが最終的にはやっぱり、まかりまちがってしまった。このまかりまちがいを許したのも、やはり日本の実力である。

 相手ボールになったとき、前半から日本は中盤でボールウォッチャーになる瞬間がよくあった。集中力が切れるのだ。そして疲労が蓄積すれば、集中力が切れる時間帯はますます長くなる。

 後半の半分をすぎ、あの失点のケースではそれがピークに達していたのかもしれない。いわゆる攻め疲れってやつだ。しかし守備者の人数はいても、あれだけボールと人に寄せて行かないんじゃ、やられて当然だ。

 失点から2分後、坪井OUT、本山INで4バックにして以降は、ビルドアップに苦しむ場面もあった。チャンス自体はけっこうあったが、サイドが生きない。私にはあれが本来の形だとはとても思えない。戦況にあわせて陣形を変えた時点で、すでに勝負あったという感じだ。あの方針変更は決して先手を打つものではなく、あくまで後手を踏んだ結果である。

 小野が象徴しているように、このチームはが変わればガラリと別のチームになる。セレクション型のチームの典型だ。だがという単発の威力は加わっても、結局はそれがチーム総体としての怖さに化学変化しない。

 みなさんは何がこのチームを変えると思いますか? 「問題点をわかっている中田英が入れば」、「中村が合流して核ができれば」。イメージできるのは、すべて人、人、人という単発にすぎない。

 それでもなんだかんだで予選は突破できるだろう。だがはたしてW杯のド本番で、単発のひらめきは大きな輝きとして結実するのだろうか? 

 予選終了から本大会まで、一定の時間はある。残された猶予は少ないが、何かを変えるとすればそこしかない。

●この記事がおもしろかった人はクリックしてちょ♪

人気blogランキングに投票!
コメント (18)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする