日本が対戦するサッカー南ア代表がコロナ感染
南アフリカのU-24男子サッカー代表から19日、3人の新型コロナ陽性者が出た。濃厚接触者は21人にものぼる。南アフリカ代表は、22日に日本が1次リーグ初戦で対戦する相手である。
さてここで3つの問題が浮かび上がる。
まずひとつは、日本との試合が成立するのかどうかだ。
そして第二に、日本ならではの「濃厚接触者」なる定義が実態と乖離しており現実的でない点。
最後の3つめは、こうしたケースでの「救済策」に対する大きな疑問だ。
隔離をしない「特別措置」は問題だ
まず1点目と3点目の問題からいこう。
例えばこれまでJリーグなど日本国内では、濃厚接触者に認定されれば、14日間の隔離措置の対象になってきた。だがそのやり方では、今回のケースでは試合ができない。
そこでこうした事態を想定した措置が先日、急遽、行なわれた。
濃厚接触者と認定された場合でも競技が始まる6時間前にPCR検査を受け、陰性になれば試合に出場できるという規定が追加されたのだ。
ちなみにこの規定は、感染防止対策などがまとめられた「プレイブック(規則集)」には記載されてない。イレギュラーだ。
さて、まず問題なのは、長期の「隔離」をしなくてすむこの規定に沿えば、確かに6時間前にPCR検査で陰性になれば試合ができる。
だが新型コロナには「潜伏期間」があり、この潜伏期間にPCRを実施しても陰性になる可能性がある点だ。ここが穴になる。これでは選手を大きな危険に晒してしまう。
つまり南アフリカの濃厚接触者たちが実は感染しており「潜伏期間」にすぎなかった場合、彼らと試合することで今度は日本の選手が濃厚接触者、あるいは感染者になってしまう危険性がある。
もちろん選手たち本人はそれでも「南アと試合がしたい」というだろうが、試合することで日本の選手が濃厚接触者、あるいは感染者になってしまっては大きく不利な立場になる。
またそれだけでなく大会全体のことを考えても、こうして感染者が倍々ゲームで増えていくわけだからむろん好ましくない。というより最悪の事態である。
さて、われらが菅首相によれば今大会は「安心安全な大会」のはずだが、そのお題目はいったいどこへ行ったのだろうか?
選手を犠牲にし大会運営を優先する
さらに問題なのは、この「6時間前にPCR検査」規定は、隔離をしないため明らかに選手の健康をリスクにさらし、その犠牲と引き換えに「大会が滞りなく実施できること」を優先した措置である点だ。
ぶっちゃけ、大会関係者の本音を代弁すれば「選手がコロナになろうが知ったこっちゃない。大会さえ予定通り実施できればそれでいいんだ」ということだ。
こんな無責任な大会運営が許されるのだろうか? 言語道断、ありえない大問題である。
「濃厚接触者」なる定義はもはやナンセンスだ
そして第三に、「濃厚接触者」なる定義の問題だ。
海外とくらべ、日本の新型コロナ感染症対策は非常に遅れており、しかも低レベルだ。
というのも「濃厚接触者」という定義は、「新型コロナはツバなどの飛沫や接触で感染するものだ」というまちがった認識に基づいているのだ。
ゆえにザックリいえば「濃厚接触者」とは、「感染者のツバが飛ぶ程度の近距離にいた者」ということになる。
これは世界的な常識でいえば、まったく錯誤した認識だ。
確かに新型コロナは初期段階ではそう定義されてきたし、「濃厚接触者」という概念も有効だとされてきた。
だが海外では、その後の研究で新型コロナは「飛沫」どころか、エアロゾル感染(空気感染)することが判明している。
つまり感染者と同じ空間を共有した人物は広く感染が疑われ、ゆえに隔離すべき人物の対象も「飛沫」とくらべはるかに広いはずなのである。
これを南アフリカ代表に即して言えば、濃厚接触者は「21人どころではない」可能性がある、ということだ。
しかも潜伏期間を考えれば、「6時間前のPCR検査」では感染を把握できない可能性もある。
こんなふうに日本の研究者の遅れた知識や大会関係者のエゴのせいで、選手が大きなリスクに晒されようとしている。
しかも選手に負担を強い、彼らはあくまで大会運営を優先するつもりでいる。
言い換えれば選手を犠牲にすることで、IOCの利権やスポンサーの利権を守ろうとしているのだ。
果たして、こんな暴挙が許されていいのだろうか?
南アフリカのU-24男子サッカー代表から19日、3人の新型コロナ陽性者が出た。濃厚接触者は21人にものぼる。南アフリカ代表は、22日に日本が1次リーグ初戦で対戦する相手である。
さてここで3つの問題が浮かび上がる。
まずひとつは、日本との試合が成立するのかどうかだ。
そして第二に、日本ならではの「濃厚接触者」なる定義が実態と乖離しており現実的でない点。
最後の3つめは、こうしたケースでの「救済策」に対する大きな疑問だ。
隔離をしない「特別措置」は問題だ
まず1点目と3点目の問題からいこう。
例えばこれまでJリーグなど日本国内では、濃厚接触者に認定されれば、14日間の隔離措置の対象になってきた。だがそのやり方では、今回のケースでは試合ができない。
そこでこうした事態を想定した措置が先日、急遽、行なわれた。
濃厚接触者と認定された場合でも競技が始まる6時間前にPCR検査を受け、陰性になれば試合に出場できるという規定が追加されたのだ。
ちなみにこの規定は、感染防止対策などがまとめられた「プレイブック(規則集)」には記載されてない。イレギュラーだ。
さて、まず問題なのは、長期の「隔離」をしなくてすむこの規定に沿えば、確かに6時間前にPCR検査で陰性になれば試合ができる。
だが新型コロナには「潜伏期間」があり、この潜伏期間にPCRを実施しても陰性になる可能性がある点だ。ここが穴になる。これでは選手を大きな危険に晒してしまう。
つまり南アフリカの濃厚接触者たちが実は感染しており「潜伏期間」にすぎなかった場合、彼らと試合することで今度は日本の選手が濃厚接触者、あるいは感染者になってしまう危険性がある。
もちろん選手たち本人はそれでも「南アと試合がしたい」というだろうが、試合することで日本の選手が濃厚接触者、あるいは感染者になってしまっては大きく不利な立場になる。
またそれだけでなく大会全体のことを考えても、こうして感染者が倍々ゲームで増えていくわけだからむろん好ましくない。というより最悪の事態である。
さて、われらが菅首相によれば今大会は「安心安全な大会」のはずだが、そのお題目はいったいどこへ行ったのだろうか?
選手を犠牲にし大会運営を優先する
さらに問題なのは、この「6時間前にPCR検査」規定は、隔離をしないため明らかに選手の健康をリスクにさらし、その犠牲と引き換えに「大会が滞りなく実施できること」を優先した措置である点だ。
ぶっちゃけ、大会関係者の本音を代弁すれば「選手がコロナになろうが知ったこっちゃない。大会さえ予定通り実施できればそれでいいんだ」ということだ。
こんな無責任な大会運営が許されるのだろうか? 言語道断、ありえない大問題である。
「濃厚接触者」なる定義はもはやナンセンスだ
そして第三に、「濃厚接触者」なる定義の問題だ。
海外とくらべ、日本の新型コロナ感染症対策は非常に遅れており、しかも低レベルだ。
というのも「濃厚接触者」という定義は、「新型コロナはツバなどの飛沫や接触で感染するものだ」というまちがった認識に基づいているのだ。
ゆえにザックリいえば「濃厚接触者」とは、「感染者のツバが飛ぶ程度の近距離にいた者」ということになる。
これは世界的な常識でいえば、まったく錯誤した認識だ。
確かに新型コロナは初期段階ではそう定義されてきたし、「濃厚接触者」という概念も有効だとされてきた。
だが海外では、その後の研究で新型コロナは「飛沫」どころか、エアロゾル感染(空気感染)することが判明している。
つまり感染者と同じ空間を共有した人物は広く感染が疑われ、ゆえに隔離すべき人物の対象も「飛沫」とくらべはるかに広いはずなのである。
これを南アフリカ代表に即して言えば、濃厚接触者は「21人どころではない」可能性がある、ということだ。
しかも潜伏期間を考えれば、「6時間前のPCR検査」では感染を把握できない可能性もある。
こんなふうに日本の研究者の遅れた知識や大会関係者のエゴのせいで、選手が大きなリスクに晒されようとしている。
しかも選手に負担を強い、彼らはあくまで大会運営を優先するつもりでいる。
言い換えれば選手を犠牲にすることで、IOCの利権やスポンサーの利権を守ろうとしているのだ。
果たして、こんな暴挙が許されていいのだろうか?