日本のカウンターが冴えた
キリンチャレンジカップが6月20日に行われ、日本とペルーが対戦した。試合は4-1で日本が勝った。ポゼッション率は日本の41%に対し、ペルーは59%。日本はミドルプレスで「相手にボールを持たせて勝つ」サッカーをした。カウンターが冴えた試合だった。
前半22分に伊藤洋輝が美しいシュートを決め、その後、堰を切ったように三笘薫と伊東純也、前田大然がゴールした。三笘はこの日1ゴール1アシスト。どの得点も複数の選手が絡み、コンビネーションが生きたゴールだった。
ただペルーはエルサルバドルよりは歯応えがあったが、3月シリーズで対戦したウルグアイやコロンビアとは大きな差があった。そのため日本はミスもあったが、それが致命傷にならず通用した。
またエルサルバドル戦の前半と同じく、この試合の前半の日本は(遠藤航を除いて)相手ボールに対するプレスが緩かった。もっと球際の厳しさがほしい。
三笘のドリブルもそれほど成功率は高くなく、いつもの神がかったような鋭さがなかった。日本はゴールの場面だけに限定すれば得点力は上がっているように見えるが、肝心の強い相手とやったときにどうか? が見たい。
日本のフォーメーションは4-1-4-1。守備時4-4-2。スタメンはGKが中村航輔。最終ラインは右から菅原由勢、板倉滉、谷口彰悟、伊藤洋輝。アンカーは遠藤航。2列目は右から伊東純也、鎌田大地、旗手怜央、三笘薫。ワントップは古橋亨梧だ。
目の覚めるような伊藤洋輝の一撃
日本の1点目は前半22分だった。中央の遠藤から伊藤洋輝へ横パスが通る。すると伊藤洋輝がボックスの外から、左足でゴール左スミに豪快なシュートを決めた。目の覚めるような一撃だった。
2点目は同37分だ。右サイドの菅原がドリブルしてから中央の鎌田にパス。そのあとボールは鎌田から左サイドの三笘へと渡り、最後は三笘がボックス内へ侵入して右足でシュート。敵の足に当たってゴールになった。
右で作って左で決める。このときボールは右サイドから左サイドにかけて斜め前に進んで行った。
また同19分には、逆のパターンも見せた。
最終ラインでペルーのボールを奪い、速い組み立てから鎌田がダブルタッチで敵をかわして左の三笘にパス。三笘は大きくスペースが開いたセンターレーンに入ってくるゴール前の菅原にボールを出したが、菅原のシュートは敵にヘディングでクリアされた。
オーバーロードとアイソレーションの見本のような形だ。このケースでは逆に「左で作って右で決める」パターンである。この日の日本はこうした左右の片側に密集を作り、敵を寄せておいてサイドチェンジする揺さぶりを見せていた。
後半にプレスが厳しくなった
そして後半に入ると、日本のプレッシングがグンと厳しくなる。エルサルバドル戦と同じ展開だ。またハーフタイムで森保監督にネジを巻かれたのだろうか?
そんな後半18分。こぼれ球を鎌田が拾い、三笘に渡す。三笘が中に折り返し、今度は伊東にパス。伊東はあわててすぐシュートせず、しっかりタッチしGKをかわしてからゴールを決めた。3点目だ。
4点目は同30分だった。途中出場の久保建英が相手ボールにプレスをかけると敵がパスをミスする。これで同じく途中出場の前田大然にボールが渡り、前田がボックス内に侵入し右足でシュートを決めた。半分は久保の得点だ。
また逆に失点のシーンは同38分。ペルーのカルタヘナがサイドからクロスを入れ、谷口がヘディングでクリアしたボールをゴンサレスが左足でシュートして決めた。日本はノーチャンスだった。
進化する途上の一面なのか?
ペルーはトランジションがよくカウンターが速い。特に日本の攻めからボールを奪われた、前半10分の彼らの速攻は危なかった。またペルーは守備での寄せが速く、球際が強かった。
彼らはCMFのカルタヘナが最終ラインへ降り、3バックの形でビルドアップしてくる。また同じくカルタヘナが降り、CBサンタマリアとの2バックでのビルドアップもある。
ただし自陣から組み上げてのポゼッションというより、どちらかといえば守備やカウンターが身上であるように感じた。そんなチームにボールを「持たせた」のだから、日本が有利になるのも頷ける。
そう、日本は相手にボールを持たせて勝つサッカーをした。まずは守ってボールを奪い、そこから切り替えてカウンターというケースが目立った。ただし最終ラインからのビルドアップもスムーズだった。
例えば前半28分にCB板倉から左SB伊藤へとボールが渡る。そして伊藤が前縦の三笘にパスし、三笘が右の伊東に大きく対角のサイドチェンジを入れた組み立ては凄かった。
ただし前半のプレッシングには疑問が残る。特に日本が前がかりになって押し込みボールを失ったあと、ボールを保持する敵の最終ラインに対するプレスがない。このとき日本はプレスの駒が前に多く残っているのだから、前から圧をかければ有利になるのに詰めが甘かった。
もっとも相手にボールを持たせて勝つ、というコンセプト上、「前でのプレスはかけない」という共通認識があったのならこの限りではないが。
いずれにしても、この試合で日本はまた新しい一面をのぞかせた。相手にボールを持たせた、といってもカタールW杯のときほど深い引き方ではなかった。さて、どれが本当の顔なのだろうか? もしこれがどんどん進化していく途中の素顔なのであれば、先が楽しみだ。
キリンチャレンジカップが6月20日に行われ、日本とペルーが対戦した。試合は4-1で日本が勝った。ポゼッション率は日本の41%に対し、ペルーは59%。日本はミドルプレスで「相手にボールを持たせて勝つ」サッカーをした。カウンターが冴えた試合だった。
前半22分に伊藤洋輝が美しいシュートを決め、その後、堰を切ったように三笘薫と伊東純也、前田大然がゴールした。三笘はこの日1ゴール1アシスト。どの得点も複数の選手が絡み、コンビネーションが生きたゴールだった。
ただペルーはエルサルバドルよりは歯応えがあったが、3月シリーズで対戦したウルグアイやコロンビアとは大きな差があった。そのため日本はミスもあったが、それが致命傷にならず通用した。
またエルサルバドル戦の前半と同じく、この試合の前半の日本は(遠藤航を除いて)相手ボールに対するプレスが緩かった。もっと球際の厳しさがほしい。
三笘のドリブルもそれほど成功率は高くなく、いつもの神がかったような鋭さがなかった。日本はゴールの場面だけに限定すれば得点力は上がっているように見えるが、肝心の強い相手とやったときにどうか? が見たい。
日本のフォーメーションは4-1-4-1。守備時4-4-2。スタメンはGKが中村航輔。最終ラインは右から菅原由勢、板倉滉、谷口彰悟、伊藤洋輝。アンカーは遠藤航。2列目は右から伊東純也、鎌田大地、旗手怜央、三笘薫。ワントップは古橋亨梧だ。
目の覚めるような伊藤洋輝の一撃
日本の1点目は前半22分だった。中央の遠藤から伊藤洋輝へ横パスが通る。すると伊藤洋輝がボックスの外から、左足でゴール左スミに豪快なシュートを決めた。目の覚めるような一撃だった。
2点目は同37分だ。右サイドの菅原がドリブルしてから中央の鎌田にパス。そのあとボールは鎌田から左サイドの三笘へと渡り、最後は三笘がボックス内へ侵入して右足でシュート。敵の足に当たってゴールになった。
右で作って左で決める。このときボールは右サイドから左サイドにかけて斜め前に進んで行った。
また同19分には、逆のパターンも見せた。
最終ラインでペルーのボールを奪い、速い組み立てから鎌田がダブルタッチで敵をかわして左の三笘にパス。三笘は大きくスペースが開いたセンターレーンに入ってくるゴール前の菅原にボールを出したが、菅原のシュートは敵にヘディングでクリアされた。
オーバーロードとアイソレーションの見本のような形だ。このケースでは逆に「左で作って右で決める」パターンである。この日の日本はこうした左右の片側に密集を作り、敵を寄せておいてサイドチェンジする揺さぶりを見せていた。
後半にプレスが厳しくなった
そして後半に入ると、日本のプレッシングがグンと厳しくなる。エルサルバドル戦と同じ展開だ。またハーフタイムで森保監督にネジを巻かれたのだろうか?
そんな後半18分。こぼれ球を鎌田が拾い、三笘に渡す。三笘が中に折り返し、今度は伊東にパス。伊東はあわててすぐシュートせず、しっかりタッチしGKをかわしてからゴールを決めた。3点目だ。
4点目は同30分だった。途中出場の久保建英が相手ボールにプレスをかけると敵がパスをミスする。これで同じく途中出場の前田大然にボールが渡り、前田がボックス内に侵入し右足でシュートを決めた。半分は久保の得点だ。
また逆に失点のシーンは同38分。ペルーのカルタヘナがサイドからクロスを入れ、谷口がヘディングでクリアしたボールをゴンサレスが左足でシュートして決めた。日本はノーチャンスだった。
進化する途上の一面なのか?
ペルーはトランジションがよくカウンターが速い。特に日本の攻めからボールを奪われた、前半10分の彼らの速攻は危なかった。またペルーは守備での寄せが速く、球際が強かった。
彼らはCMFのカルタヘナが最終ラインへ降り、3バックの形でビルドアップしてくる。また同じくカルタヘナが降り、CBサンタマリアとの2バックでのビルドアップもある。
ただし自陣から組み上げてのポゼッションというより、どちらかといえば守備やカウンターが身上であるように感じた。そんなチームにボールを「持たせた」のだから、日本が有利になるのも頷ける。
そう、日本は相手にボールを持たせて勝つサッカーをした。まずは守ってボールを奪い、そこから切り替えてカウンターというケースが目立った。ただし最終ラインからのビルドアップもスムーズだった。
例えば前半28分にCB板倉から左SB伊藤へとボールが渡る。そして伊藤が前縦の三笘にパスし、三笘が右の伊東に大きく対角のサイドチェンジを入れた組み立ては凄かった。
ただし前半のプレッシングには疑問が残る。特に日本が前がかりになって押し込みボールを失ったあと、ボールを保持する敵の最終ラインに対するプレスがない。このとき日本はプレスの駒が前に多く残っているのだから、前から圧をかければ有利になるのに詰めが甘かった。
もっとも相手にボールを持たせて勝つ、というコンセプト上、「前でのプレスはかけない」という共通認識があったのならこの限りではないが。
いずれにしても、この試合で日本はまた新しい一面をのぞかせた。相手にボールを持たせた、といってもカタールW杯のときほど深い引き方ではなかった。さて、どれが本当の顔なのだろうか? もしこれがどんどん進化していく途中の素顔なのであれば、先が楽しみだ。