すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【第2次森保ジャパン】課題は「ワントップ問題」だ【再検証】

2023-06-23 12:46:46 | サッカー日本代表
古橋と上田、前田の得点力は淋しい

 6月シリーズ、エルサルバドル戦は相手に退場者が出て参考外なので、主にペルー戦での「得点シーン以外」の日本代表を再検証してみた。課題と収穫だ。

 まず日本は中盤で点を取るチームである。その中盤はいいが、問題はワントップだ。たとえば6月シリーズで古橋亨梧は1ゴール、上田綺世はPKの1ゴール、前田大然は1ゴール。まったく貧弱だ。

 バイクでいえば中盤が「ナナハン」なのに対し、ワントップは「原付」。中盤の豪華さに比してCFが劣る。古橋はペルー戦では2点取るチャンスがあった。

 ペルー戦の前半13分、伊東純也からのアーリークロスを受けた古橋はあれをヘッドで決めていれば、圧倒的なインパクトを残せたはずだ。前半30分の三笘薫からの折り返しにもタイミングが合わず、決められなかった。厳しいようだが、この時点で失格だ。

 得点力が同じなら、強度の高いプレスが利くぶん前田のほうがベターだ。ただ、もしあの破壊的な中盤に加え、あそこにいま絶好調のFW大迫勇也がいれば、いったい何点入っていたかわからないだろう。「超絶的」なポストプレイでも大迫は図抜けている。

 そしてもうひとつの問題はプレッシングだ。日本は前がかりになった攻撃の直後で、ゴール前に5人いたケースがあった。なのにペルーの最終ラインが保持したボールに、だれもプレスに行かない。仮に行っても足ひとつ出さない。ネガティヴ・トランジションが遅い。

 ボールは敵ゴール前にあるのだ。対してプレスの駒は5人。カウンタープレスをかけるべきだ。あそこで複数人がプレスをかけてボールを奪えばゴールになった確率は高い。

鎌田と伊藤洋輝が致命的なミス

 そのほか主だったピンチの場面を挙げてみよう。

 前半23分に最終ラインからボールをもらった鎌田大地が、どフリーの状態で強い縦パスを出したがモロにカットされた。そのあとの味方の守備対応がよく大事には至らなかったが、あれは絶体絶命のピンチだった。

 また前半31分。伊東と菅原由勢が上がり切って前残りしている場面で、鎌田と遠藤航が前から相手ボールにプレスに行った。だが彼ら2人の頭を越して背後のスペースを突くパスを出された。ペルーにビルドアップされ見事にシュートまで行かれた。あれは危なかった。

 このほか後半1分。日本の最終ラインがボールを保持し、ペルーにプレスをかけられた危急の場面だ。このとき横パスをもらってあわてた伊藤洋輝は、まるで敵のセンタリングのような低い横パスを右方向に出した。敵に取り囲まれているというのに。

 たまたま逆サイドの菅原にボールが達して事なきを得たが、絶対にやってはいけないミスだった。ほかにも伊藤洋輝は1対1の守備対応で致命的なミスがあった。

瀬古のポジショニングで失点は防げた

 続く後半13分だ。菅原が矢のようなボールスピードの縦パスを古橋に入れたが、古橋はトラップミス。一発でチャンスになるケースだっただけに惜しかった。

 同26分。相手ボール時、前田の右脇にぽっかりスペースが空き、ミドルシュートを打たれた。瞬間的に遠藤が前に出てボールをカラダに当てたためゴールにならなかった。コース的には入っていてもおかしくなかった。

 最後は同37分の失点シーンだ。ペルーがゴール前に放り込んだボールを谷口がヘディングでクリアした瞬間、ボールが途中出場の瀬古と相馬の中間のスペースに落ちた。一瞬、瀬古が足を止めたため、敵に飛び込まれてシュートされゴールを決められた。

 谷口がヘディングしたと同時に瀬古が走り出していれば防げた可能性は高い。またはボールを放り込まれた瞬間に(あらかじめスペースを埋めるため)瀬古がゴール方向に同時に走り出していれば、あの場面はなかったかもしれない。

 このほか守備面では、前半のプレスは緩かった。ブロック守備でコースを切るだけ。打って変わって後半になり、日本は急に球際に厳しく行くようになった。全体にもっと強度を高めたい。守備と攻撃にプレー強度を落とさず、インテンシティ高くゲームを進めたい。

収穫は中盤の頭脳的プレイだ

 では収穫を見て行こう。

 旗手怜央と守田英正、鎌田、遠藤は自分の頭で考えて、中央で守備のバランスを取りながらプレイできる。インサイドMF1枚がアンカー脇を埋め、4-1-4-1から4-2-3-1に変化して柔軟に対応していた。また積極的に攻撃参加する右SBの菅原は、まるで忍者のように軽やかで八面六臂の活躍ぶりだった。

 他方、ビルドアップで見逃せないのは、CBの谷口彰悟と板倉滉による正確ですばらしい縦パスと持ち上がりだ。菅原もいい縦パスをもっている。また遠藤は上がった菅原のカバーリングをしっかりしていた。

 そして前半20分の場面では、旗手が遠藤とのワンツーから、すごい縦パスを繰り出してカウンターの起点になった。(このあと鎌田のダブルタッチから三笘へとボールが渡り、折り返しを菅原がシュートしたがヘディングで防がれた)。

 加えて背後にマーカーを背負って縦パスをもらった旗手は右足インサイドのワンタッチで前を向き、一瞬でマーカーをかわしていた。ゲームの先を読める機敏でテクニカルな旗手は、チームに必要だ。

 一方、日本は守備時4-4-2だった。だがCMFのカルタヘナが最終ラインに降りて3枚回ししてくるペルーに対し、後半の日本は三笘、鎌田、途中出場の前田の前3枚でプレスする形に変えた。臨機応変だった。

 また激しく上下動する三笘と組む左SBは、上がらない伊藤洋輝で適合していた。だがもし新しく試すとすれば、横浜F・マリノスの永戸勝也を推したい。

 最後は後半29分、前田の得点シーンだ。右サイドで縦パスを受けた堂安が横にいた久保にパスを出したが弱く、相手ボールになる。このとき堂安からのパスをもらいに寄って行った久保が流れで相手ボールにプレスをかける形になり、前田のゴールが生まれた。久保の好プレイだった。

【まとめ】

 このチームの売りは、三笘薫と伊東純也という両翼で前に高く張り出す2本の槍だ。かたやCFの古橋や上田、前田は代表での得点力はそれなり。前線で基点になるポストプレイも期待できない(まだいちばん近いのは上田だが)。この点は今後も模索が必要だろう。

 またチームとしてはボール保持する時間を(以前より)ふやすことをめざしながらも、ポゼッション率などよりビルドアップや「縦への速さ」を最優先している。それで正解だと思う。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【第2次森保ジャパン】三笘が... | トップ | 【U-17アジアカップ】点を取... »
最新の画像もっと見る

サッカー日本代表」カテゴリの最新記事