ハイプレスとショートパスの神戸
J1リーグで第20節が行われ、アルビレックス新潟とヴィッセル神戸が対戦した。最終ラインからグラウンダーのボールでビルドアップする新潟に対し、研究してきた神戸のハイプレスが炸裂した。狙い通りFW大迫勇也のゴールにより1-0で神戸が勝った。
13位の新潟は前節ホームでサンフレッチェ広島に2-0で勝利、6試合ぶりの白星を稼いだ。その勢いのまま今シーズン初の連勝を目指し、3位の神戸をホームに迎えた。
試合が始まってなんと驚いたことに、あのロングボール一辺倒だった神戸が、ショートパスを繋いでビルドアップしようとしている。神戸の試合はしばらく観てなかったが、いつの間に芸風を変えたのだろうか? 各チームによるロングボール対策が進んでこうなったのか?
それでもなぜかボールを握っているのは神戸の方だ。ショートパスの繋ぎ合いなら新潟のほうに分があるはずだが、新潟はなんだか神戸相手にリスペクトがすぎビビりながらやってる感じだ。思い切りが悪い。
大迫目がけてロングボールをブンブン放り込まれたらやりにくいが、「ショートパスを繋いでくる神戸」なんて怖くないはずなのに新潟は力が出せてない。
新潟のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが小島亨介。最終ラインは右から藤原奏哉、トーマス・デン、渡邊泰基、新井直人。セントラルMFは高宇洋と星雄次。2列目は右から松田詠太郎、三戸舜介、小見洋太。ワントップは谷口海斗だ。
神戸がハイプレスから大迫の先制点を呼ぶ
ポジションを見て感じることは、三戸が慣れないトップ下に配置され消えてしまっている点だ。三戸は本来サイドの切れ味鋭い選手であり、トップ下でボールをもち全体を差配するタイプではない。持ち味が殺されてしまっている感じだ。いつもの思い切りの良さがない。
松橋力蔵監督としては「伊藤涼太郎なきあとのエースは三戸だ」という見立てなのかもしれないが、ポジション的には三戸は真ん中では埋もれてしまって合わない感じだ。
一方、神戸は守備が堅いだけに、ボールを失うと帰陣が速い。新潟ボールに移った瞬間、神戸による素早いネガティブ・トランジションが発動される。彼らはあっというまにディフェンディングサードまでリトリートする。
新潟とするとやりにくい相手だ。
今日のゲームはボール非保持のチームの方が、いったん必ずディフェンディングサードまで下がるシーンが目立つ。
そんな前半15分だった。新潟のGK小島が出した短い縦パスに対し、神戸の武藤嘉紀と齊藤未月が連動してハイプレスをかけ、ボールをかっさらう。最後は武藤がボックス内の大迫にパスを出し、大迫がいとも簡単にシュートを決めた。大迫は今季13ゴール目だ。1-0で神戸がリードした。
「バックパス症候群」に陥る新潟
1点を追いかける新潟の攻撃である。ボールを保持する新潟は、ちょっとプレスをかけられるとすぐバックパスしてやり直す。縦パスのコースを作る動きがなく(あるいは神戸に縦を封じられ)、仕方なくバックパスしている。典型的な「バックパス症候群」だ。
おまけに神戸の守備のやり方との関係で、今日の新潟はボールスピードが遅く、生きたパスが少ない。位置取りをするのが遅く(またはスペースを潰され)、新潟はどうもポジショニングが悪い。
いつもの縦横無尽に強くて速いグラウンダーのショートパスを繋ぐ新潟ではない。また神戸がスペースを埋めている関係で、新潟はいつものように2タッチ以内でボールを繋げない。
完全に神戸の作戦勝ちだった。
そんなこんなで各所で小競り合いが続き、時間が経っていく。新潟は後半頭から星に代えてMF秋山裕紀を投入、同30分にはFWグスタボ・ネスカウとFW太田修介を入れる。徐々に縦パスが通るようになったが、時すでに遅し。ゴールが遠い。
今季ここまでリーグ最少14失点と、堅守を誇る神戸から新潟は得点が取れなかった。初の2連勝ならず。3試合ぶりの黒星だ。
かくてスコアは1-0のままタイムアップ。神戸の思うがままだった。新潟は注文通りにやられた試合だ。彼らはなかなか13位から上がれない。
かたや神戸は暫定2位に浮上した。勝ち点は40だ。勝ち点2差で首位・横浜FMを虎視淡々と追う。
J1リーグで第20節が行われ、アルビレックス新潟とヴィッセル神戸が対戦した。最終ラインからグラウンダーのボールでビルドアップする新潟に対し、研究してきた神戸のハイプレスが炸裂した。狙い通りFW大迫勇也のゴールにより1-0で神戸が勝った。
13位の新潟は前節ホームでサンフレッチェ広島に2-0で勝利、6試合ぶりの白星を稼いだ。その勢いのまま今シーズン初の連勝を目指し、3位の神戸をホームに迎えた。
試合が始まってなんと驚いたことに、あのロングボール一辺倒だった神戸が、ショートパスを繋いでビルドアップしようとしている。神戸の試合はしばらく観てなかったが、いつの間に芸風を変えたのだろうか? 各チームによるロングボール対策が進んでこうなったのか?
それでもなぜかボールを握っているのは神戸の方だ。ショートパスの繋ぎ合いなら新潟のほうに分があるはずだが、新潟はなんだか神戸相手にリスペクトがすぎビビりながらやってる感じだ。思い切りが悪い。
大迫目がけてロングボールをブンブン放り込まれたらやりにくいが、「ショートパスを繋いでくる神戸」なんて怖くないはずなのに新潟は力が出せてない。
新潟のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが小島亨介。最終ラインは右から藤原奏哉、トーマス・デン、渡邊泰基、新井直人。セントラルMFは高宇洋と星雄次。2列目は右から松田詠太郎、三戸舜介、小見洋太。ワントップは谷口海斗だ。
神戸がハイプレスから大迫の先制点を呼ぶ
ポジションを見て感じることは、三戸が慣れないトップ下に配置され消えてしまっている点だ。三戸は本来サイドの切れ味鋭い選手であり、トップ下でボールをもち全体を差配するタイプではない。持ち味が殺されてしまっている感じだ。いつもの思い切りの良さがない。
松橋力蔵監督としては「伊藤涼太郎なきあとのエースは三戸だ」という見立てなのかもしれないが、ポジション的には三戸は真ん中では埋もれてしまって合わない感じだ。
一方、神戸は守備が堅いだけに、ボールを失うと帰陣が速い。新潟ボールに移った瞬間、神戸による素早いネガティブ・トランジションが発動される。彼らはあっというまにディフェンディングサードまでリトリートする。
新潟とするとやりにくい相手だ。
今日のゲームはボール非保持のチームの方が、いったん必ずディフェンディングサードまで下がるシーンが目立つ。
そんな前半15分だった。新潟のGK小島が出した短い縦パスに対し、神戸の武藤嘉紀と齊藤未月が連動してハイプレスをかけ、ボールをかっさらう。最後は武藤がボックス内の大迫にパスを出し、大迫がいとも簡単にシュートを決めた。大迫は今季13ゴール目だ。1-0で神戸がリードした。
「バックパス症候群」に陥る新潟
1点を追いかける新潟の攻撃である。ボールを保持する新潟は、ちょっとプレスをかけられるとすぐバックパスしてやり直す。縦パスのコースを作る動きがなく(あるいは神戸に縦を封じられ)、仕方なくバックパスしている。典型的な「バックパス症候群」だ。
おまけに神戸の守備のやり方との関係で、今日の新潟はボールスピードが遅く、生きたパスが少ない。位置取りをするのが遅く(またはスペースを潰され)、新潟はどうもポジショニングが悪い。
いつもの縦横無尽に強くて速いグラウンダーのショートパスを繋ぐ新潟ではない。また神戸がスペースを埋めている関係で、新潟はいつものように2タッチ以内でボールを繋げない。
完全に神戸の作戦勝ちだった。
そんなこんなで各所で小競り合いが続き、時間が経っていく。新潟は後半頭から星に代えてMF秋山裕紀を投入、同30分にはFWグスタボ・ネスカウとFW太田修介を入れる。徐々に縦パスが通るようになったが、時すでに遅し。ゴールが遠い。
今季ここまでリーグ最少14失点と、堅守を誇る神戸から新潟は得点が取れなかった。初の2連勝ならず。3試合ぶりの黒星だ。
かくてスコアは1-0のままタイムアップ。神戸の思うがままだった。新潟は注文通りにやられた試合だ。彼らはなかなか13位から上がれない。
かたや神戸は暫定2位に浮上した。勝ち点は40だ。勝ち点2差で首位・横浜FMを虎視淡々と追う。