無得点だが大会3試合の中では一番デキがよかった
立ち上がり、北朝戦がポゼッションし、なでしこが相手の攻めをクリアして弾き返すシーンが続く。だが前半10分すぎから日本は徐々にボールをキープできるようになり、同20分以降は完全にイーブンな展開に持ち込んだ。今大会、3試合の中では明らかにいちばんいいデキだ。1、2戦で見られた消極性は克服できた。結果的に0-2で負けたが上を向いていい。
この試合で出た最大の課題は、遠目からでもシュートを打てるようになることだ。シュート数は日本の6に対し、北朝鮮は11。なでしこはシュートの数が圧倒的に少なすぎる。特に前半41分の決定的な先制のチャンスをシュートで終われなかったのが悔やまれる。北朝鮮とはシュートレンジの違いがハッキリ出た。ここがテーマだろう。(なでしこサッカーのようにシュートやパスのレンジが短いことはなぜ問題なのか? についてはこの分析記事を参照のこと)
なでしこのシステムは4-4-2。スタメンはGKに池田咲紀子。最終ラインは右から高木ひかり、三宅史織、鮫島彩、宇津木瑠美。ボランチは阪口夢穂と隅田凜。右SHに櫨まどか、左SHは籾木結花。2トップは岩渕真奈と田中美南だ。
前半のなでしこは立ち上がりこそ押されたが、その後はたびたびチャンスを作った。前半21分には左サイドから決定的なクロスが入るが、惜しくも完全なオフサイド。同44分にもオフサイドにはなったが、田中美南がいいタイミングで相手最終ラインの裏のスペースに飛び出した。
前半の問題点は、チャンスは作ってもフィニッシュまで行けなかった点だ。たとえば41分。ゴール前で決定的な先制のチャンスを作ったが、なぜかシュートしない。おそらくなでしこはシュート可能なレンジが短く、かなりゴール前へ持ち込まなければシュートできないのだろう。「個の力」とも関連するが、ここは修正すべきポイントだ。結局、この差がスコアの違いに出たといえる。
4-4-2同士のミラーゲームが続く
北朝鮮のシステムは日本と同じ4-4-2だ。日本のボールになれば北朝鮮は自陣にきれいな4-4のブロックを作る。日本とくらべ力強さがあり、フィジカルも強い。だが細かい技術では日本も負けていない。
後半のなでしこは立ち上がりから盛んにポゼッションし、すっかりペースを握っている。北朝鮮は心なしか足が止まってきたようだ。だがその日本に傾きかけた勝負の流れを断ち切ったのが、後半20分に北朝鮮のキム ユンミがペナルティエリア外から決めた見事なシュートだった。この先制点で完全に試合の流れが決まってしまった。
前半から何度もチャンスは作るがシュートまで行けない日本と、ペナルティエリア外から平然とシュートを決めてみせた北朝鮮。この好対照は鮮やかだった。
だが日本は極端に消極的だった大会初戦の韓国戦や、第2戦の中国戦とくらべ、この第3戦で積極性を取り戻し、浮上の兆しは見えた。前半のチャンスで先制できていれば、試合のゆくえはまったくちがったものになっていただろう。
大会を通じて得た最大の教訓は、消極的にならないことだ。弱くて中途半端なパスをなくし、パスのボールスピードを上げること。強くて速いパスを出す。また後ろ向きなバックパスに安易に逃げる回数を減らし、ボールを持ったらまず「前を向く」クセをつけること。そしてチャンスを作ったら遠目からでも迷わずシュートに行く。これらの課題を改善できれば、「すでに技術ならある」若いなでしこ達の将来は明るい。
サッカーの目的は「パスをつなぐこと」ではない。シュートを決めて勝つことだ。パスはあくまで試合に勝つための「手段」であり、「目的」ではない。なでしこ達は、パスという手段が目的化しないよう、くれぐれも心してほしい。
立ち上がり、北朝戦がポゼッションし、なでしこが相手の攻めをクリアして弾き返すシーンが続く。だが前半10分すぎから日本は徐々にボールをキープできるようになり、同20分以降は完全にイーブンな展開に持ち込んだ。今大会、3試合の中では明らかにいちばんいいデキだ。1、2戦で見られた消極性は克服できた。結果的に0-2で負けたが上を向いていい。
この試合で出た最大の課題は、遠目からでもシュートを打てるようになることだ。シュート数は日本の6に対し、北朝鮮は11。なでしこはシュートの数が圧倒的に少なすぎる。特に前半41分の決定的な先制のチャンスをシュートで終われなかったのが悔やまれる。北朝鮮とはシュートレンジの違いがハッキリ出た。ここがテーマだろう。(なでしこサッカーのようにシュートやパスのレンジが短いことはなぜ問題なのか? についてはこの分析記事を参照のこと)
なでしこのシステムは4-4-2。スタメンはGKに池田咲紀子。最終ラインは右から高木ひかり、三宅史織、鮫島彩、宇津木瑠美。ボランチは阪口夢穂と隅田凜。右SHに櫨まどか、左SHは籾木結花。2トップは岩渕真奈と田中美南だ。
前半のなでしこは立ち上がりこそ押されたが、その後はたびたびチャンスを作った。前半21分には左サイドから決定的なクロスが入るが、惜しくも完全なオフサイド。同44分にもオフサイドにはなったが、田中美南がいいタイミングで相手最終ラインの裏のスペースに飛び出した。
前半の問題点は、チャンスは作ってもフィニッシュまで行けなかった点だ。たとえば41分。ゴール前で決定的な先制のチャンスを作ったが、なぜかシュートしない。おそらくなでしこはシュート可能なレンジが短く、かなりゴール前へ持ち込まなければシュートできないのだろう。「個の力」とも関連するが、ここは修正すべきポイントだ。結局、この差がスコアの違いに出たといえる。
4-4-2同士のミラーゲームが続く
北朝鮮のシステムは日本と同じ4-4-2だ。日本のボールになれば北朝鮮は自陣にきれいな4-4のブロックを作る。日本とくらべ力強さがあり、フィジカルも強い。だが細かい技術では日本も負けていない。
後半のなでしこは立ち上がりから盛んにポゼッションし、すっかりペースを握っている。北朝鮮は心なしか足が止まってきたようだ。だがその日本に傾きかけた勝負の流れを断ち切ったのが、後半20分に北朝鮮のキム ユンミがペナルティエリア外から決めた見事なシュートだった。この先制点で完全に試合の流れが決まってしまった。
前半から何度もチャンスは作るがシュートまで行けない日本と、ペナルティエリア外から平然とシュートを決めてみせた北朝鮮。この好対照は鮮やかだった。
だが日本は極端に消極的だった大会初戦の韓国戦や、第2戦の中国戦とくらべ、この第3戦で積極性を取り戻し、浮上の兆しは見えた。前半のチャンスで先制できていれば、試合のゆくえはまったくちがったものになっていただろう。
大会を通じて得た最大の教訓は、消極的にならないことだ。弱くて中途半端なパスをなくし、パスのボールスピードを上げること。強くて速いパスを出す。また後ろ向きなバックパスに安易に逃げる回数を減らし、ボールを持ったらまず「前を向く」クセをつけること。そしてチャンスを作ったら遠目からでも迷わずシュートに行く。これらの課題を改善できれば、「すでに技術ならある」若いなでしこ達の将来は明るい。
サッカーの目的は「パスをつなぐこと」ではない。シュートを決めて勝つことだ。パスはあくまで試合に勝つための「手段」であり、「目的」ではない。なでしこ達は、パスという手段が目的化しないよう、くれぐれも心してほしい。