イングランドのボールスピードに目を見張る
オーストラリアとニュージーランドが共催している「女子ワールドカップ2023」は8月7日、決勝トーナメント1回戦を行い、去年の欧州女子選手権で優勝したイングランド女子代表とナイジェリア女子代表が対戦した。
試合はイングランドのFWローレン・ジェームズ(チェルシー)が85分に退場になるハプニングもあったが90分では決着がつかず、延長・PK戦の末にイングランドがベスト8進出を決めた。
もし、なでしこジャパンが決勝まで行ったら、反対側のヤマに残るのはこのイングランドかもしれない。
彼らは強くて速いグラウンダーのボールと絶妙なサイドチェンジ、ライン裏へのスルーパスで試合をリードした。支配率が高い。だがカウンター気味にプレイするナイジェリアの守備も堅く、なかなか均衡が破れない。
ナイジェリアはしなやかで力強くキレのある動きで、プレイにすごい躍動感がある。球際が激しく、フィジカルがハンパない。ボールコントロールはやや雑だが、多少パスがズレても身体能力でなんとかしてしまう。
どちらも非常にいいチームで、「片方がこれで消えてしまう」と思うともったいなく感じる。明らかに先日観たアメリカvsスウェーデンよりこの試合のほうがレベルが高い。
躍動感にあふれるエネルギッシュなナイジェリア
技術と戦術では明らかにイングランドが上だが、その差をナイジェリアはフィジカルで補って余りある。
たとえば世界ランキングで見るとイングランドは4位、ナイジェリアは40位と大きな開きがある。だが技術レベルを除けば、トータル的な「戦闘能力」ではほとんど差がない。むしろナイジェリアのほうが怖さを感じさせるくらいだ。
ポゼッション率はイングランドのほうが高いが、ナイジェリアの怒涛のカウンターも迫力があり、不思議に試合のバランスが取れている。スリリングでおもしろい。いい勝負だ。
イングランドは、長い距離でも平気でグラウンダーの縦パスを刺しこむ。それだけパスが強いのだ。ボールが出た瞬間に「ハッ」とさせられる鮮烈さ。どう見ても、なでしこジャパンのボールスピードを上回っている。
彼らは23分にFWアレッシア・ルッソ(アーセナル)が、また28分にもMFレイチェル・デイリー(アストン・ヴィラ)がシュートを放つが、ナイジェリアGKチアマカ・ナドジエ(パリFC)ががっちりセーブした。
かたやナイジェリアもカウンターでよく応戦し、超ド級の強烈なシュートを放ってくる。47分には左からのクロスに合わせたFWウチェナ・カヌ(レーシング・ルイビル)がジャンプ一番、ヘッドで叩くが、クロスバーに当たりゴールに嫌われる。
ナイジェリアはカウンター主体であるため攻撃頻度はイングランドほど高くないが、一度マイボールにするとフィニッシュまで行く確率が高い。彼らのゴムのようにしなるエネルギー感が、ほとばしる汗の匂いとともにひしひしと伝わってくる。
ジェームズが相手を踏みつけ一発退場に
そんな一進一退を繰り返し、試合は「問題の場面」に来た。
87分の出来事だ。イングランドのFWローレン・ジェームズと相手DFミシェル・アロジエがもつれて倒れた。するとジェームズが起き上がりざまアロジエの臀部を足で踏みつけ、一発退場になったのだ。衝撃的なシーンだった。
これで10人になったイングランドは延長戦を耐え抜き、かくてPK戦へ。ナイジェリアは最初の2人が外し、最後はイングランドの5人目が決めて4-2で決着がついた。
退場になったジェームズは、これで少なくとも準々決勝は欠場が確定した。さらに国際サッカー連盟(FIFA)の懲罰基準によれば、3試合の出場停止の可能性もあるという。そうなればジェームズは実質、今大会を「追放」になる。
ジェームズはグループD第3節の中国戦では2ゴール3アシストと躍動し、プレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出されていた。第2節のデンマーク戦でも決勝点を上げる活躍ぶりだった。イングランドとしては痛い結果になった。
さて欧州女王のイングランドは、この難局を乗り越えることができるのか?
オーストラリアとニュージーランドが共催している「女子ワールドカップ2023」は8月7日、決勝トーナメント1回戦を行い、去年の欧州女子選手権で優勝したイングランド女子代表とナイジェリア女子代表が対戦した。
試合はイングランドのFWローレン・ジェームズ(チェルシー)が85分に退場になるハプニングもあったが90分では決着がつかず、延長・PK戦の末にイングランドがベスト8進出を決めた。
もし、なでしこジャパンが決勝まで行ったら、反対側のヤマに残るのはこのイングランドかもしれない。
彼らは強くて速いグラウンダーのボールと絶妙なサイドチェンジ、ライン裏へのスルーパスで試合をリードした。支配率が高い。だがカウンター気味にプレイするナイジェリアの守備も堅く、なかなか均衡が破れない。
ナイジェリアはしなやかで力強くキレのある動きで、プレイにすごい躍動感がある。球際が激しく、フィジカルがハンパない。ボールコントロールはやや雑だが、多少パスがズレても身体能力でなんとかしてしまう。
どちらも非常にいいチームで、「片方がこれで消えてしまう」と思うともったいなく感じる。明らかに先日観たアメリカvsスウェーデンよりこの試合のほうがレベルが高い。
躍動感にあふれるエネルギッシュなナイジェリア
技術と戦術では明らかにイングランドが上だが、その差をナイジェリアはフィジカルで補って余りある。
たとえば世界ランキングで見るとイングランドは4位、ナイジェリアは40位と大きな開きがある。だが技術レベルを除けば、トータル的な「戦闘能力」ではほとんど差がない。むしろナイジェリアのほうが怖さを感じさせるくらいだ。
ポゼッション率はイングランドのほうが高いが、ナイジェリアの怒涛のカウンターも迫力があり、不思議に試合のバランスが取れている。スリリングでおもしろい。いい勝負だ。
イングランドは、長い距離でも平気でグラウンダーの縦パスを刺しこむ。それだけパスが強いのだ。ボールが出た瞬間に「ハッ」とさせられる鮮烈さ。どう見ても、なでしこジャパンのボールスピードを上回っている。
彼らは23分にFWアレッシア・ルッソ(アーセナル)が、また28分にもMFレイチェル・デイリー(アストン・ヴィラ)がシュートを放つが、ナイジェリアGKチアマカ・ナドジエ(パリFC)ががっちりセーブした。
かたやナイジェリアもカウンターでよく応戦し、超ド級の強烈なシュートを放ってくる。47分には左からのクロスに合わせたFWウチェナ・カヌ(レーシング・ルイビル)がジャンプ一番、ヘッドで叩くが、クロスバーに当たりゴールに嫌われる。
ナイジェリアはカウンター主体であるため攻撃頻度はイングランドほど高くないが、一度マイボールにするとフィニッシュまで行く確率が高い。彼らのゴムのようにしなるエネルギー感が、ほとばしる汗の匂いとともにひしひしと伝わってくる。
ジェームズが相手を踏みつけ一発退場に
そんな一進一退を繰り返し、試合は「問題の場面」に来た。
87分の出来事だ。イングランドのFWローレン・ジェームズと相手DFミシェル・アロジエがもつれて倒れた。するとジェームズが起き上がりざまアロジエの臀部を足で踏みつけ、一発退場になったのだ。衝撃的なシーンだった。
これで10人になったイングランドは延長戦を耐え抜き、かくてPK戦へ。ナイジェリアは最初の2人が外し、最後はイングランドの5人目が決めて4-2で決着がついた。
退場になったジェームズは、これで少なくとも準々決勝は欠場が確定した。さらに国際サッカー連盟(FIFA)の懲罰基準によれば、3試合の出場停止の可能性もあるという。そうなればジェームズは実質、今大会を「追放」になる。
ジェームズはグループD第3節の中国戦では2ゴール3アシストと躍動し、プレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出されていた。第2節のデンマーク戦でも決勝点を上げる活躍ぶりだった。イングランドとしては痛い結果になった。
さて欧州女王のイングランドは、この難局を乗り越えることができるのか?